[ 本格/新本格 ]
模倣の殺意
「新人賞殺人事件」改題
中町信 初出版: 2004年08月 平均:5.81点 採点者数:16人

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採点傾向
No.16 7点 名探偵ジャパン 2017/06/11 01:21
名前だけは知っていましたが、世に出回っている作品をなかなか目にする機会がなかった、私にとっての幻のミステリ作家、中町信。その存在も忘れかけていた頃、偶然本書と出会い、早速読んでみました。
私は読前に出来るだけ情報を遮断して読む派なので、解説やあとがきは元より、表紙をめくってすぐにあるあらすじも、意識して視界から外して読み始めます。知っていたのは、本作が相当昔に書かれたものである、ということだけ。本作の初登場は昭和四十七年、西暦にして1972年だそうではありませんか。
読了してまず、「その時代にこれをやった作品があったのか」と驚きました。未だに多くの作家が書き続けている、あの仕掛けに対して、「それは中町信が四十年前に通った道だっ!」と言いたくなります。
「あれ」がアクロイドパターン。「あれ」がオリエント急行パターン、「あれ」がABCパターン(おお、全部クリスティだ)と、トリックの系譜にオリジン作品の名前が冠せられるのであれば、「これ」は「模倣の殺意パターン」と呼ばれるようになっても良いのではないでしょうか?
どうしてこれだけのものを書ける作家が「幻」扱いされているのでしょうか? 本作だけの一発屋だったのでしょうか? それを確かめるためにも、これからも中町信の作品を積極的に探して読んでいきたいと思います。

No.15 7点 斎藤警部 2015/10/19 11:47
推理作家の卵による盗作を巡る紛糾と犯罪のストーリーは面白くて読みやすい。登場人物の絡み合いも適度に複雑で興味を唆る。 そして「あの」メイントリックが明かされた瞬間、驚き! に半拍遅れてしゅうぅ~と空気が抜けて物語の体積がしぼんでしまう感覚。振り返れば意外にも浅い内容。。しかしその内容を実際以上に膨らまして見せること自体に本作の勝負トリックが掛かっているのだから一種のアンチクライマックスも当然の帰結。やっぱり推理小説として豊かな作品と私には思える。ましてこのトリックをビートルズ解散からさして間もない日本で世に問うたってんだから(私の採点には影響しませんが)。

鮎川氏の書評「じっくり腰を据えて読みすすんでいくと、やがて、どうみても中町氏の書き誤りではないかと考えざるを得ない結論に達するのだが云々」は唆られますね。氏がこの傾向のトリックを自分でキメてくれてたらなあ(たとえば幻の「白樺荘」で、とか)と妄想せずにいられないじゃないですか。

忘れられていた作家「中町信」が再び脚光を浴びられたのは本当に良かった。
創元推理文庫の表紙、秀逸と思います。レジでびっくりする人も続出したとかしないとか。

No.14 5点 ボンボン 2015/02/15 13:42
大きな箱に、謎解きの小箱がたくさん入ってるが、終盤で大きな箱のほうが見えてくると面白くなる。
最終的な犯人について、登場人物が推理小説のあり方について議論する何気ない会話の中で示されていたのが愉快だった。
全体にほとんど深みは無いが、二人の素人探偵については、好意的に見ることができた。

No.13 7点 ボナンザ 2014/04/08 01:18
タイトルがかっこよくなった。
トリックはともかく、その演出がすごい。

No.12 5点 アイス・コーヒー 2013/06/06 18:38
最初にある男が死に、二人の人物が男の死を追う、という話。某書店で売れ残っていた中町氏のデビュー長編の本書を店頭でプッシュしたところ、その意外なトリックが人気を呼び再び幻の名作として話題になっている。
勿論良くできた話で個人的には満足。この本が最初に発表された当時を考えると偉大だし、かなり論理的に作られていると思う。
ただし、これらのトリックは乱発されすぎて現代においては印象が薄れる。人物がかけていないのも致命的だ。着想はよく出来ているのだが、その点が少し残念。

No.11 5点 メルカトル 2013/05/02 22:23
約40年前に書かれた事実を考慮すれば、確かにこのトリックは驚嘆すべきものかもしれない、いやきっとそうなのだろう。
もし当時に読んだのなら素直に驚けたであろうが、やはり今日ではややありふれたトリックとして認識されてしまっているため、ああ、そうだったのか、くらいにしか感じなかった。
現在、非常に話題になっている上、意外なほど売れ行きが好調なので読んでみる気になったのだが、期待が大きかったのも手伝って、残念ながら思ったほどの出来栄えではなかったように思える。
こうした構造にしては、緊迫感やサスペンス性が不足しているのも減点の対象となってしまいそうである。
辛辣かもしれないが、私に言わせれば、この作品を喜んで読める読者は幸せ者だと思う。
さて、私はまた再読に戻るとしよう・・・。

No.10 6点 haruka 2013/04/12 23:17
トリックは現在となっては目新しいものではないが、発表された時代を考えると称賛に値すると思う。途中でアリバイ崩し等の小ネタも挟みつつ、すべての謎を明らかにしてゆくプロットが見事。

No.9 5点 いけお 2012/08/29 16:50
叙述ものであると謳われていたが、それでもだまされた。
しかしトリックのみの作品だし、被害者と同姓同名はちょっと強引だと思う。

No.8 5点 2012/07/07 14:08
まったく予想していなかった、かなり意外性のある真相とトリックなのだが、さして驚くことはなかったし、興奮することもなかった。分析するに、真相がわかれば、こんな話はまずないだろうとの考えのほうが、驚愕度に勝っていたということなのでしょう。
かといって、つまらないかというとそうでもなく、二人の素人探偵が並行して地道に謎を解きほぐしていく過程は、ほどほどに楽しめた。

No.7 4点 蟷螂の斧 2012/05/28 15:29
<復旧再登録>創元推理文庫版。本作品のあとに類似のトリックが多く発表されたため、双葉社版(当初)のプロローグを変更したとのこと。双葉社版のプロローグは完全にネタばれになっているので、本書では、その部分をカットしたのですが、その結果、「被害者は○○○○であった」が唐突であり、意外性を感じられず、まったく面白くありませんでした。「それはないでしょう」といった感じです。プロローグで謎を残すような記載があれば評価はかなりアップしたと思います。残念です。

No.6 6点 3880403 2011/05/18 18:47
(文庫版読了)
衝撃はさほどなかったし、ありがちだったが、まぁやられた。
文章は読み易い。

No.5 7点 2010/03/06 14:58
創元版が出る以前、『新人賞殺人事件』として出版されていたのを借りて読んだ作品です。
創元版の解説にも書かれているとおり、当時は各章の最初に載せられていたのは日付だけではなく、それが明白な伏線になっていたのです。その伏線には早い段階で気づいたのですが、それでもカットバックを最終的にどうまとめるのか気になり、おもしろく読めました。また、その伏線自体に作者が目をつけたところにも感心したものです。鮎川哲也による書評で、「書き誤りではないかと考えざるを得ない」ところがあるとされていたのも、この点でしょう。創元版で削除されたのは、現在では露骨過ぎるからでしょうね。
しかし、たとえ全体的な仕掛けを考慮に入れなくても、アリバイや思い違いによる手がかりだけでも、それなりのミステリのアイディアと言っていいぐらいではないでしょうか。

No.4 6点 こもと 2009/11/28 21:51
 長編ではあるが、印象としては小品であり、同時に良品であるとも思う。 こぢんまりと品よくまとまった作品。
 正直、先は読める。 どこかで読んだ気がするなぁ、というような。 でもそれは、今の時代であるからこそ、だとも思う。
 逆に言えば、40年近く前に書かれたこの作品に、現在巷にあふれかえっている多くのトリックの方が、似ているのだと思うから。
 ただ、メイントリックに、ちょっとばかりご都合主義が垣間見えてしまったのは、否めない。

No.3 6点 E-BANKER 2009/11/23 14:24
旧作名「新人賞殺人事件」を創元推理文庫にて復刻させた作品。
いわゆる「叙述トリックもの」です。
まずは構成が面白いですね。冒頭1つの事件(殺人または自殺)が起こり、それを被害者の関係者である2人が別々に捜査していき真相に近づいていきますが、導かれる結論はなぜか食い違う・・・という展開。
当然そこに「仕掛け」があります。
ただ、この「仕掛け」はどうですかねぇ・・・一応伏線は張られていて、読み手が気づくことも可能ですし、確かに被害者に対する形容詞が引っ掛かり続けるんですけど・・・
叙述トリックに慣れた身にとっては、どうしてもサプライズは小さめですね。

No.2 6点 nukkam 2009/02/12 16:18
(ネタバレなしです) 本格派の技巧派と評価される中町信(1935-2009)の1971年発表のデビュー作ではありますが社会派推理小説全盛時代の作品だけあって謎の魅力を前面に出した作品ではありません。名探偵の知識や技術も警察の組織力も持たない一般人が地道に一歩ずつ謎を調べていく展開は松本清張のスタイルに近いです。2004年の改訂にあたって読者への挑戦状が挿入されたそうですが、読者が謎解きに参加している気分を味わせていないのでこの挑戦状は違和感があります。といってもパズル性が弱いというだけのことで、大いなる偶然に頼った仕掛けは賛否両論あるでしょうが大胆な真相が待っています。新本格派ムーヴメントが起きた1980年代後半以降だったらもっと謎解きプロットを派手にする演出が出来たかもしれません。そういう意味では時代を先取りした作品とも言えそうです。なお本書は何度か再版されていますがタイトルが「そして死が訪れる」、「新人賞殺人事件」、「新人文学賞殺人事件」と頻繁に変更されています。

No.1 6点 ロビン 2009/01/19 23:05
う~ん、評価が難しい作品。(以下、若干ネタばれです)
これ系のトリックは、やっぱり真相が分かったときの衝撃度、カタルシスが勝負だと思うので、中途で真相の匂いがしてしまうとダメだと思うんです。「なるほど」とは思えたけど、それは驚きではなくて納得。なので厳しい目で。