[ 短編集(分類不能) ]
豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件
倉知淳 初出版: 2018年03月 平均:6.00点 採点者数:2人

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採点傾向
No.2 7点 虫暮部 2018/07/17 12:19
 倉知淳の、特に短編の文章はまぁ普通である。軽妙なユーモアを交えてはいるもののほんの味付け程度で、可笑しくて笑いが止まらなくなったりはしない。逸脱があっても適度な範囲内に留まり、コレだ!と言う存在感を主張しない文体。邪推するなら、文体(ハード)の過度の主張はミステリ要素(ソフト)の妨げになると考えているフシがある。それはそれでひとつの見識だろう。
 殊更にそんなことを思ったのは「夜を見る猫」のせい。この話の文章だけ明らかに熱量が多い。猫ちゃんの愛らしさを読者に伝える為に一字一句でも多く奉仕させるべく脳細胞を総動員した跡が窺われる。そしてそれが、妨げどころか、謎と詩情と田舎の風景の融合を果たした濃厚猫萌えミステリとして見事に成立しているのである。この路線で行けば天下取れるかも?

 表題作で語られていない情報をひとつ。凍らせた豆腐を解凍すると水分が分離して、ボソボソした中途半端な高野豆腐の如き物体になるので、見た目や感触で区別出来るようになる。

No.1 5点 YMY 2018/06/25 20:27
思わず脱力してしまうユーモア作品。
どう見ても豆腐の角に頭ぶつけて死んだとしか思えない殺人事件を描く表題作、死体の枕元にケーキが三つ、口には長ネギが1本突っ込まれた殺人を追求する「薬味と甘味の殺人現場」、連続殺人事件に便乗する男の誤算を捉える「変奏曲・ABCの殺人」など6編が収録されている。ひねりがもう一つ足りない憾みがあるものの、ばかげた設定と奇妙な論理が笑える本格推理。猫丸先輩シリーズが好きな方にはおすすめ。