[ サスペンス ]
三つ首塔
金田一耕助シリーズ
横溝正史 初出版: 1972年08月 平均:5.46点 採点者数:13人

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採点傾向
No.13 5点 HORNET 2017/08/18 21:14
 題名に世間が(私も)イメージする横溝作品らしさを感じて、期待して手に取ったのだが、ミステリとしてはいま一つかもしれない。
 胸糞が悪くなるような愛憎劇と濡れ場の連続、その合間にサクサク起こる殺人劇と、そういうテイストは十分「らしい」のだが、真相がちょっと一足飛び過ぎ。
 雰囲気的に「そうなんじゃないの」とは推測できても推理はできない。そもそもミスリードとなる「真犯人以外の人物」についてはアリバイが検討されていたのに、最後にいきなりの種明かしで出てきた真犯人は、どうやって、どのように犯行を重ねていたのか?の検討や説明、さらにはそれまでの伏線もほとんどないと感じる。

 一方で、当初ダントツで怪しい主人公格の男性が、良い印象に変貌していくさまこそ、意外に感じてうまくだまされた。「騙し」だと思ったら「騙し」じゃなくて本当だった、という逆の意味で。

No.12 5点 人並由真 2017/07/24 13:56
(ネタバレなし)
作者との対談で栗本薫がしきりに「この作品は××が出るんですね」と驚嘆していたのを読んだ記憶があり、どんな風にその趣向を使うのかなという興味も踏まえて読んでみた。
全体的な内容はなるほど豪速球の通俗スリラーで面白いといえば面白いが、ラストの犯人の正体は苦笑せざるを得ない。どうやって真犯人は多数の被害者の住所や居場所を把握したのだろう。
のちの金田一ものの某長編はこのリベンジかね。

あと男性主人公の身持ちの固さを最後に語る「実はそれまで〜」というのもなあ…。××喪失が×××なんて、榊一郎の「イコノクラスト」か。

No.11 7点 風桜青紫 2016/02/11 17:09
『八つ墓村』と並んで好きな横溝作品だが、なかなか賛同は得られず(笑)。推理要素はほとんどなく、もっぱらせこいエロシーンとメロドラマ風味を楽しむ小説。しかし主人公の音禰が良い感じにウブな箱入り娘で、なんだか妙に応援したくなってしまう。少女マンガのイケメンキャラみたいな高頭五郎とのやり取りといい、読んでいてにやにやが止まらない。登場人物がストリップだの双子プレイだのを披露してはポテトチップスのようにサクサク死んでいく有り様も妙に面白く(不謹慎)、読んでてワクワクできる作品だった。

No.10 6点 クリスティ再読 2015/10/18 17:31
本作はぶっちゃけミステリじゃないよ。ミステリのつもりで読むと全然つまらない。終戦直後を舞台とするヒロイン伝奇小説だと思って読むと、本作意外なくらいに面白いのだ。終戦直後の怪しいアングラワールドを地獄巡りする、横溝流ハーレクイン(ヒーロー造形がモロに「黒馬の王子様」)である。

だから77年の古谷金田一のTVドラマみたいに、とくに脚本をイジりもせず、秀才で手堅いが個性が弱い監督でも、シリーズ中三本の指に入るくらいの名作になっちゃうわけだ。煎じ詰めると弁護士事務所で怪優たちが睨み合う(第1回の幕切れ)だけで、「昭和怪人図鑑」が成立してしまう...そういうタイプの面白さだから、どうしても映像には負ける。がしかし、アングラワールドを巡るヒロインが一難去ってまた一難を潜り抜けていくうちに、元箱入り娘のブリっ子ぶりを逆に武器にしたたかに強くなっていくあたり妙に共感できるし、しかも屈折した偽悪者のヒーローだから、評者萌えるんだよ(昔の性道徳ベースだから、ヒーローが実はウブだったりする..笑)。

ベタな昭和エンタテイメントとして今は読むのが吉、77年のドラマを見るのがさらに吉。犯人がどうこうなんてハッキリ興ざめ(評者全然納得いってない)。

No.9 5点 大泉耕作 2011/04/10 12:10
台詞やプロットにはうならせてくれました。
ただ、最後の最後に幽霊を出すのはあまりに合理的な説明とはとても、とても言い難いですな。
でも、当初横溝正史は合理的解決法を既に出していたのだが、それが出版社の事情でやむを得ず怪談にしてしまったというのだそうです。情けない話だよ編集者・・・。
 それがあればもう少し良い作品に出来上がっていたかもしれない。これなら旧古谷金田一の『三つ首塔』の出来が良かったンじゃないかな? あのドラマに出てきた”三つ首”と、”塔”は安っぽかったけれど。
『幽霊男』のようなサスペンス物です。

No.8 4点 spam-musubi 2010/08/26 15:41
ミステリではあるが、サスペンスというか活劇的な部分がメイン。
それなりにスリリングな部分があるが、謎解きとしての面白さは今ひとつ。
途中まで大した伏線もなく、終盤のある場面で突然、「あ、こいつ犯人なんだ」と
わかってしまい(誰でもわかる)、違う意味でびっくりした。

全くの余談ですが、この本、30年ぶり(中学以来)の再読。
ストーリーは全く覚えていなかったのですが、「エロかった」ことだけは
鮮明に覚えていました(笑)

No.7 5点 ミステリー三昧 2009/10/14 13:58
<角川文庫>金田一耕助シリーズの代表作です。
特筆すべき点として「女性」視点で描かれていることが挙げられます。他の作品とプロットは何ら変わりないが、幾分サスペンス調が増し、鬼気迫る展開が印象的でした。また、官能的サービス精神も過剰に盛り込まれているため、推理小説ではなく「風俗小説」の名が相応しい。特にキスの描写がいやらしいです。「激しく唇を吸った」とか「全身にキスの雨をそそぐ」とか・・・
三重殺人に始まり実に多くの人間が殺害されるわけだが、それに対しての「動機」が突拍子もない。フーダニットの論理性も皆無で、トリックと呼べるモノもない。間違いなく「本格推理」と「メロドラマ」の融合は失敗しているので、評価が大きく下がる。でも、ハッピーエンドで安心した。

No.6 5点 だい様 2009/09/30 09:30
金田一耕助シリーズ

八つ墓村同様終始金田一耕助以外(宮本音禰という少女)の視点で進んでいく作品。
読みやすくはあったのだが横溝正史氏に求めているものではなかった。

No.5 5点 江守森江 2009/09/16 06:29
金田一シリーズへの接し方がまず古谷版ドラマからのパターンが多い。
当時、ドラマ(一種の風俗作品)でヒロインを演じた真野響子にそそられ、そのイメージを引きずりながら原作を読んだせいなのかミステリーではなく官能小説的な印象しか残っていない。
もっとも、横溝もミステリーに名を借りたエロ作品が結構あるのだから私の印象もあながち間違いではあるまい。

No.4 5点 nukkam 2009/04/03 17:12
(ネタバレなしです) 1955年発表の金田一耕介シリーズ第12作ではありますが名探偵としての推理らしい推理をすることもなく(登場シーンも少ないです)、殺人事件は場当たり的に解決してしまいますので本格派推理小説としては楽しめません。犯罪に巻き込まれたヒロインがこれまで全く縁のなかった裏社会の人間模様にカルチャーショックを受けていく様を丁寧に描いています。21世紀の読者視点では世間知らずのヒロインの内面描写に古臭ささを感じるかもしれませんが遺産を巡ってのサバイバル・ゲームにも通じるサスペンスと連続殺人の絡ませ方は巧妙でぐいぐい読ませます。風俗描写に力を入れすぎてせっかくの三つ首塔がいまひとつ存在感がなかったのは惜しいですが。

No.3 7点 VOLKS 2008/11/16 17:48
久々に、再読。
あー、こんな話だったかも・・・と、読み返しながら内容を思い出した。
正直に言えばその程度の内容(失礼・汗)なのだが、読ませる文章力は凄いと思う。
残念なのは名探偵金田一耕助の出番が少ないことだが、めくるめくストーリー展開と、バタバタと人がたくさん殺される様には十分引きつけられた。

No.2 5点 マニア 2008/11/05 21:49
美しい女主人公・音禰が謎の男に導かれ、莫大な遺産を賭けた戦いと、愛の逃避行に巻き込まれていくというサスペンスが中心。それゆえ、ミステリ分は極めて低い。金田一の出番も最初と最後にちょっとだけで、物語のほとんどが音禰視点で描かれている。

自分的にはあまり好みの設定ではなかったが、莫大な遺産に群がる怪しい登場人物や、おどろおどろしい怪奇趣味、エログロなど横溝特有の世界観も散りばめられていて、やはり面白かった!

No.1 7点 vivi 2008/03/05 00:52
実はかなり好きな作品です。
トリック的には、目新しいところも無い作品かもしれませんが、
この大きな陰謀=事件に巻き込まれる女性主人公に、
かなり感情移入してしまいます(^^;

バックグラウンドはかなり古めですけど、
ハッピーエンドなのも気に入っているし、
ちょっとピカレスク小説入っているサスペンスも好きです♪