[ サスペンス ]
闇からの声
ジョン・リングローズ
イーデン・フィルポッツ 初出版: 1963年06月 平均:5.60点 採点者数:5人

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採点傾向
No.5 6点 2015/11/01 12:48
再読ですが、そんなに凡作でも複雑すぎるわけでもないのに、ほとんど記憶に残っていませんでした。
冒頭の闇からの声については、探偵役のリングローズが、第4章で幽霊について詳細に分析しているので、予測は簡単につくでしょう。作者も、読者に悟らせるためにあえて丁寧に説明しているのではないかと思えます。
全体の1/3ぐらいまでは、子ども殺害の実行犯を追いつめる話ですが、リングローズの採った手段は、冒頭の幽霊の声を継承するホラーっぽいものです。しかしいくら醜悪な悪魔の首でも、雰囲気のない最初の2回の状況では、うまくいくとは思えません。
その後は黒幕の男爵をいかにして逮捕にまでこぎつけるかで、舞台となるスイス、イタリアの国境あたりの風景描写はさすがです。ほぼリングローズの視点で語られる中に、時たま男爵の視点を入れているのは、当然こうなるだろうなと納得しながらの読書でした。

No.4 5点 makomako 2015/08/09 08:15
 小説だから許されるのでしょうが、現実にこれをやったら大変なことになるでしょう。完全な思い込み操作でもあり、冤罪が続出間違いなし。
 古い小説ですが、当時は(今もか?)イギリスが階級社会であることを改めて認識させられました。
 犯人も探偵も本質的には狂的要素が強くても、外見は極めて人当たりが良く紳士的です。
 フィルポッツのほかの作品でもそうですが、平凡な描写が多く退屈してしまうところが多々ありました。感じの悪い話ではありませんが、大して面白くもなかったというのが感想です。

No.3 6点 ボナンザ 2014/04/08 21:34
話だけなら赤毛のレドメインよりもおもしろい。
読みやすさもこちらが上だ。

No.2 5点 mini 2013/10/01 09:58
今年も秋恒例の創元復刊フェアの真っ最中、相変らず読者側のニーズを全く無視したような古書市場でも安価で入手容易なものばかりが選ばれている
「闇からの声」の復刊なんて誰が喜ぶのだろう?創元だったら「灰色の部屋」とか「溺死人」とか他に選ぶものはあっただろうに
いや、そもそもフィルポッツなんか選ぶ必要性が乏しい

しかしなんである、「闇からの声」は「赤毛のレドメイン家」の陰に隠れてはいるが、意外と面白い
フィルポッツという作家はミステリー史などでは本格長編黄金時代の作家みたいに位置付けされる事が多いが、それは「赤毛」と「闇からの声」が1290年代前半に書かれているからだと思う
ところがミステリー長編は1890年代から書いていたらしく、ミステリーなのかは不明だが晩年には戦後の1950年代の作まであるという驚くほど息の長い活動歴だ
第1次大戦を跨いで前世紀から書き続けた最後の作家みたいな感じで、悪く言えば前世紀の遺物
つまり作風が古臭いのも当然なわけで、本格黄金時代の他作家とと同列に扱うのもためらわれる
そう考えると乱歩御大が「赤毛」をまるで黄金時代を代表するかのように喧伝したのがフィルポッツにとって良くなかったと思えて仕方が無い

「闇からの声」にしても、謎解き的に見れば”闇からの声”の正体などたしかに馬鹿馬鹿しいのだが、これは主人公を事件に引き込む為の単なる導入部であって、これを謎の核心部と捉える方がおかしい
森事典で森英俊氏はこの部分を酷評しているが、森さん、それはちょっと視点がずれているような
「闇からの声」は1925年の作だが、結局のところ主眼は犯人との心理闘争であり内容的には1910年代のサスペンス小説を引き摺ったものと割り切れば腹も立たない
作者にとっては「赤毛」はどちらかと言えば異色作で、本来はこういうのを書きたかった作家なんじゃないかなぁ
少なくとも「赤毛」よりは面白かったという点ではTetchyさんと同感

ところでフィルポッツの未訳作を今後出すとしたら、長編なら森事典でも言及されている「The Jury」あたりだろうけど、それよりも”クイーンの定員”にも選ばれた中編集「フライング・スコッツマンの冒険」が気になる、1作しか収録されてないのかな?

No.1 6点 Tetchy 2008/07/30 19:00
本格物の『赤毛のレドメイン家』とは違い、最初から犯人が解っていて、それを証拠立てて犯人を追い詰める、刑事コロンボシリーズに代表される倒叙型サスペンス物。
探偵役の元刑事リングローズと犯人のバーゴイン卿との心理戦はけっこう読まされる。
『赤毛のレドメイン家』よりも面白く読めた。

この元刑事が事件を手がける発端となる「闇からの声」の正体は、読んだ当時は、ちょっと無理があるなぁと思ったが、野沢雅子氏や大竹のぶ代氏が現役として頑張っている今、かなり説得力のある真相だと考え改めた。