2008年の日本推理作家協会賞短編部門受賞作である表題作を含む作品集。
氏の作品を読むのは初めてですが・・・評価は如何に?
①「迷走」=救急隊員が主人公。怪我人を病院へいち早く運ばなければならない筈の救急車を、隊長が病院の周りをうろつかせていた理由とは、というのが本作のテーマ。最初は登場人物の相関関係がよく分からなかったが、最後は納得。でも、他にいい方法あるんじゃない?
②「傍聞き」=『かたえぎき』とは、『傍らにいて、人の話を聞くともなしに聞く』こと。自分の耳で直接聞くよりも、人が話をしていることを傍で聞くことの方が真実味を感じるという人間心理が本作のテーマ。さすがに、協会賞受賞作らしく上質な作品で、オチも見事。
③「899」=消防士が主人公で、タイトルは火災現場での要救助者を意味する。火災現場に取り残された筈の乳児が突然消えた理由は、というのがテーマ。乳児の体に残った1つの特徴から、事件の背後にあったものが明らかになる・・・ラストは爽やか。
④「迷い箱」=元受刑者の受け入れ施設が舞台。再就職が決まり新しい人生を歩む筈だった男が自殺を図った理由とは、というのがテーマ。捨てるに捨てられないものを一旦入れておくための箱、がタイトルの意味。ラストで判明する、無口な男の本音がやりきれなさを誘います。
以上4編。
どれもなかなかの出来。短編らしい小気味いいプロットと切れ味、そしてラストの余韻を感じる作品が並んでます。
(4編とも、自分を犠牲にしても他人を助ける職業の現場を舞台に、ある登場人物がとった不可解な行動がミステリの核になるという仕掛け。)
ただ、あまりにも作風がカブりすぎでしょう・・・「横山秀夫」と!
作者名を伏せられて読んだら、これ絶対横山秀夫の作品だと思ってましたねぇ。
他作品がどうなのか分かりませんが、そこはどうしても気になる。
(やはり②が一番の秀作。④もなかなか) |