傍聞き
作家:長岡弘樹 初出版: 2008年10月 平均:6.38点 採点数:8人

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No.8 6点 メルカトル 2012/03/19 21:51
うーむ、どの作品も無難にまとめているが、言い換えればどれもこれもインパクトに欠けるということだろうか。
読み方が悪いせいなのか、私の頭が弱いせいなのか、一度本を置いてブランクが空くと、それまでのストーリーがほとんど思い出せないという珍現象が頻繁に起こった。
もう自分にはミステリを語る資格がなくなったと言うことか。
悲しい現実を突きつけられた作品だが、決して面白くなかった訳ではなく、それなりに楽しめたと思う。
それぞれの短編に教訓のようなものが示唆されているのも、一つ良いポイントであろう。

No.7 6点 haruka 2012/02/27 21:19
無駄な描写を削ぎ落とし、明確な謎を提示したうえで、説得力のある落ちを用意している。短編のお手本のような作品だが、お話として出来すぎている感あり。

No.6 7点 ボンボン 2012/02/26 10:12
消防士や刑事など社会的に役割を持つ人々を主人公に、その業務に絡む人生の一場面を切り取った短編集。どれもそれぞれの課題は残されたまま、何かが大転換するわけではないが、その人の心に転機になるような変化が起き、じんわりと温かい読後感を残す。一つ一つちょっとした謎が仕掛けられている。その部分だけ、少し不自然な作り物っぽい感じがしてしまったが、それでも全体的には、滑らかな展開で上手い。

No.5 7点 akkta2007 2012/02/13 18:44
4編からなる短編集の集まりであるが、どれも読みやすく納得の出来る作品ばかり・・・
満足であった。長岡氏の他の作品も読んでみたい。

No.4 7点 まさむね 2011/12/10 17:53
 4話で構成される,人情ミステリ短編集。どの短編も,軽快で切れ味のあるプロットで,余韻を残す温かな結末も素晴らしい。「短編の良さ」を堪能できる作品が揃っています。
 中でも,日本推理作家協会賞(短編部門)受賞作である「傍聞き」は秀逸。「色々な意味で厚みのある短編」とだけ述べておきましょう。しかも良質。お見事。
 人に薦めたくなる短編集です。

No.3 6点 E-BANKER 2011/10/26 21:02
2008年の日本推理作家協会賞短編部門受賞作である表題作を含む作品集。
氏の作品を読むのは初めてですが・・・評価は如何に?

①「迷走」=救急隊員が主人公。怪我人を病院へいち早く運ばなければならない筈の救急車を、隊長が病院の周りをうろつかせていた理由とは、というのが本作のテーマ。最初は登場人物の相関関係がよく分からなかったが、最後は納得。でも、他にいい方法あるんじゃない?
②「傍聞き」=『かたえぎき』とは、『傍らにいて、人の話を聞くともなしに聞く』こと。自分の耳で直接聞くよりも、人が話をしていることを傍で聞くことの方が真実味を感じるという人間心理が本作のテーマ。さすがに、協会賞受賞作らしく上質な作品で、オチも見事。
③「899」=消防士が主人公で、タイトルは火災現場での要救助者を意味する。火災現場に取り残された筈の乳児が突然消えた理由は、というのがテーマ。乳児の体に残った1つの特徴から、事件の背後にあったものが明らかになる・・・ラストは爽やか。
④「迷い箱」=元受刑者の受け入れ施設が舞台。再就職が決まり新しい人生を歩む筈だった男が自殺を図った理由とは、というのがテーマ。捨てるに捨てられないものを一旦入れておくための箱、がタイトルの意味。ラストで判明する、無口な男の本音がやりきれなさを誘います。
以上4編。

どれもなかなかの出来。短編らしい小気味いいプロットと切れ味、そしてラストの余韻を感じる作品が並んでます。
(4編とも、自分を犠牲にしても他人を助ける職業の現場を舞台に、ある登場人物がとった不可解な行動がミステリの核になるという仕掛け。)
ただ、あまりにも作風がカブりすぎでしょう・・・「横山秀夫」と!
作者名を伏せられて読んだら、これ絶対横山秀夫の作品だと思ってましたねぇ。
他作品がどうなのか分かりませんが、そこはどうしても気になる。
(やはり②が一番の秀作。④もなかなか)

No.2 7点 HORNET 2011/01/10 13:15
 人情話の中にミステリが含まれている,といった感の短編集。一つ一つの話がよく練られており,伏線もうまく張られていて,「上手だな」と感じました。それぞれに心温まる結末が用意されていて,読後感もよい作品です。

No.1 5点 江守森江 2009/10/17 17:09
日本推理作家協会賞・短編部門受賞の表題作を含む作者の第二短編集。
人を救う職業に従事する(異なる)主人公の人情ミステリを4話揃えた。
各話に謎(何故)があるが、丁寧に描き過ぎ(作者に隠蔽する気がないのかも)で先の捻りが察せる。
しかも、捻り方がマンネリ気味なのでミステリ短編集としては微妙、その一方でマンネリな捻りを捨て駒に暖かな結末を導き人情小説として読後感は良く素晴らしい。
※人情小説として楽しむなら邪道だが、ミステリとして楽しむなら表題作を先に読み堪能してから残り3話を流し読めば良い。