いわゆる「多重解決型」を狙ったミステリー。
1つの殺人事件を連作形式で綴るのが特徴的な作品。
~小学校の女性教師が自宅で死体となって発見された。傍らには彼女の命を奪ったアンティーク時計が。事故の線も考えられたが、状況は殺人を物語っていた。ガラス切りを使って外された窓のロック、睡眠薬が混入されたチョコレート・・・平凡だったはずの女性教師の殴殺事件は予測不能の展開を見せる~
①「虚飾の仮面」=第1話は教え子の小学生たちの推理。その結果は、意外な犯人へ辿りつく。
②「仮面の裏側」=第2話の探偵役は①で犯人と目された人物。天真爛漫で誰からも愛された人物と思われた被害者に、実は意外な面があることが判明。
そして、①とは違う人物を真犯人とする結果に・・・
③「裏側の感情」=今度は②で犯人と目された人物が探偵役に。またしても、被害者の違う一面が分かり、そして意外な人物が被害者と関わっていたことが分かる。最終的には違う人物を真犯人として指摘する。
④「感情の虚飾」=③で真犯人と考えられた人物が主役。最後に辿りついた結論はかなり意外なものに。
「多重解決」といえば、当然「毒チョコ」が有名ですし、本作の「作者あとがき」でも「毒チョコ」を意識している旨が書かれてます。
まぁ、好みは分かれるかもしれませんが、個人的には面白いと思いますね。
本サイトの「毒チョコ」の書評でも書きましたが、ミステリー作品の真相なんて、作者の匙加減1つですから、こういった実験精神溢れる作品があっても何ら構わないと思いますね。
「プリズム」というタイトルには、「多重解決」という以外にも、被害者の人物像そのものが見る人(生徒や友人、恋人など)によって多面的に変わって見えるという意味も含んでいるのが印象的。
「連作形式」というプロットも嵌っていると思います。
トータルでは、一気読みできる佳作という評価。 |