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平均点:5.77点 採点数:764件

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採点傾向好きな作家

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No.764 6点 レタス・フライ- 森博嗣 2018/07/17 23:31
 文庫版で読了。10の短編・掌編で構成されています。うち、収録作品の中では長めの2短編の感想を。
 「ラジオの似合う夜」は、それ単体でも読めるのですが、Vシリーズを読まれてからの方が「ああ、あの方ですね」という付加価値があって、より楽しめると思います。
 「刀之津診療所の怪」も同様に、それ単体でも読めます。で、登場人物からして、こっちはGシリーズを読んでからなのでしょうね…と思わせておきながら、実はVシリーズとの関係が重要だったりするパターン。いや、正確にはVシリーズというよりも、これまで発表されてきた短編集の中の1編が重要なのかも。でもコレって、個人的には終盤1ページで「ん?何だっけ。記憶にあるような、ないような…」と気になり、最終的には他の方のブログで判明できたもの。確かに判明した後は「!」となりましたが、普通はソコまでは把握していないのではないかなぁ。真に楽しめるのは、コアな森ファン限定のような気がします。
 他の短編&掌編は、如何にも作者らしい作品で、人によって好き嫌いが大きく分かれると思いますが、個人的には積極的な評価は控えたいかな。ちなみに、最終話の「ライ麦畑で増幅して」は、私が未読の作品(Xシリーズ?)と関連がありそうなのだけれども、現時点ではよく分からなかったですね。

No.763 6点 ライオンは仔猫に夢中- 東川篤哉 2018/07/14 16:06
 近年、複数のシリーズによる短編を書き続けている作者。各シリーズの使い分けというか、シリーズの特徴について、作者はどこまで拘っているのか、微妙なところがあるのですが、ついこの間読んだ「探偵少女アリサ」シリーズと比べてみると、本書は、本格度はやや高め、ギャグは低めといったところでしょうか。短編自体の練り具合も、本書の方が堅実かも。気軽に読む分には、いいかな。

No.762 4点 ホテル・カリフォルニアの殺人- 村上暢 2018/07/14 13:41
 「このミステリーがすごい!」対象の「超隠し玉」として刊行された作品。で、この「超隠し玉」というのは、「このミス」大賞15周年記念として、これまで応募された未刊行作品の中から、受賞には及ばなかったものの、編集部が「今こそ世に出したい」と選び抜いた作品だそうです。
 まぁ、つまりは過去の応募作の中から掬い上げた(拾い上げた?)作品でして、私はこの点に興味をそそられて本書を手にしたわけですが、読後は「なるほど、その年に受賞等の栄誉に浴しなかったのは妥当というべきなのだろうなぁ…」と妙に納得したというのが率直な感想です。
 このミス大賞としては珍しいド本格路線で、密室も含めて複数のトリックを詰め込んだ姿勢は、確かに一定評価するべきなのだろうと思います。
 しかしながら、簡潔に述べるとすれば「全体的に荒く、そしてイタい」。まずは、トリックが荒い。現実味がなさすぎます。何でも音楽と結びつけようとする姿勢も個人的にはイタかった。登場人物の設定にも無理が目立ち、かつ、魅力も薄い。それと、作者には酷かもしれませんが、そもそもの文章力が・・・。
 色々と書いてしまいましたが、本格愛を感じたのも事実。次作が発表されれば、何気に読んでしまう可能性はあります。

No.761 5点 探偵少女アリサの事件簿 今回は泣かずにやってます- 東川篤哉 2018/07/08 18:16
 探偵をやりたくて仕方がない10歳の美少女・有紗(アリサ)。しかも両親ともに名探偵で、国内外で活動中。なんか某アニメ作品の少女版って感じもしますねぇ。そして両親不在の際、アリサの子守役を依頼される「なんでも屋」の橘良太(31歳独身)。この2人のコンビによる連作短編集第2弾ですね。
 正直、各短編のネタ自体は、どれも小粒です。何かに使えるかも…とネタ帳にメモっておいたヤツを引っ張り出してきました…ってところか。何気にテレビを見ていて思いついたネタもありそう。まぁ、軽く読む分には悪くないのだけれどもね…。
 ちなみに、この2人のコンビって、アリサの両親の設定も含めて、結構使い勝手がいいような気がするので、大事に(?)使うって手法はないものかなぁ。逆に使い勝手がいいからこそ、軽い短編にフィットするものなのかな。

No.760 6点 御手洗潔のダンス- 島田荘司 2018/07/05 20:59
 ミタライ感全開(?)の短編集。好き嫌いは結構別れるのかも。
①山高帽のイカロス:これぞ島荘といった短編。この味を楽しめるかどうか。
②ある騎士の物語:伏線が分かりやすいかも。ちなみに、実際に実行するのは難しいと思うなぁ…。
③舞踏病:前2作ほどの「大技」はないのですが、何気に好き。
④近況報告:石岡による、御手洗の近況報告。ここで触れられた分野がその後、御手洗作品のテーマになってくる。その意味でも、この短編は純粋に御手洗ファンに向けた作品と言えるのでは。

No.759 6点 少女キネマ- 一肇 2018/07/01 19:05
 どのように分類すればよいのだろう。全編にわたり完全に青春小説であって、一部ミステリー要素も含むってところか。
 作者の情熱を感じさせつつ語り口は軽妙で、癖のある登場人物たちも含めて、楽しませてはもらいました。青春小説として様々な要素を混ぜ込んだ姿勢も嫌いではない。
 しかし、読中に何とも言えない暑苦しさと青臭さを感じたことも事実。例えば、「自分探しをするのは結構だけど、迷惑かけちゃだめだよね」とか、とある真相に対して「え?それだけのこと?」などと感じてしまったりね。嗚呼、私にとって青春はどんどん遠いものになっているのだなぁ、何とも面倒な中年になったものだなぁ…と、少し悲しくなったりして。

No.758 7点 ブルーローズは眠らない- 市川憂人 2018/06/24 19:06
 鮎川賞受賞作「ジェリーフィッシュは凍らない」に続く、シリーズ第2弾。
 二つのストーリーが交互に語られるスタイルの、正統派本格作品。トリック・プロットともに実に良く考えられています。色彩的な要素の絡ませ方にも好感。
 一方、犯人として、目的を果たしたいのであれば、自分以外の第三者を巻き込まない、さらに安全で効果的な手法があったのではないか…との疑問が残ったのも事実ですね。

No.757 6点 チョコレートゲーム- 岡嶋二人 2018/06/18 22:36
 リーダビリティが高く、グイグイと読まされました。ほぼ一気読みに近かった。トリック自体に特筆すべき点はないのですが、伏線の配置や転換も含めて、巧く纏めている印象です。
 他方、もっと根深い組織的な闇があるのかと思いきや…うーん、事件後になぜ同級生たちが揃って口を閉ざそうとしたのか、違和感も残りました。親父と警察が「チョコレートゲーム」に関して、しっかりと情報共有するべきであったろうに。ミステリとは直接関係ないけれども、何とも切ない話ではあります。

No.756 6点 εに誓って- 森博嗣 2018/06/16 18:29
 Gシリーズ4作目。今回は、どのシリーズでも作者が1度は仕掛けてくる、あっち系でございました。ストレスなく読み進められたし、個人的には好印象。ミステリーの中身としては、これまで読んだ4作品の中で最も整っていたような気がします。

No.755 5点 漱石先生の事件簿 猫の巻- 柳広司 2018/06/10 22:42
 「吾輩は猫である」のパスティーシュとしては優れているのだと思います。原典の雰囲気を十分に醸し出していますし、久しぶりに原典を再読してみたくなりましたしね。
 一方、ミステリーとしては、制約も多いのでしょうが、正直今一つか。「矯風演芸会」の捻りは好きなのですがねぇ。

No.754 7点 猫丸先輩の推測- 倉知淳 2018/06/06 23:24
 猫丸先輩の何とも言えないほっこりとした雰囲気が、まずはイイですね。作者の作風に極めてフィットしたキャラですよねlぇ。「たわしと真夏とスパイ」における商店街の旦那衆のやり取りですとか、「カラスの動物園」における女性デザイナーの妄想的思考ですとかの、決して押しつけがましくないユーモアも好印象。
 まぁ、真相自体に驚くべき何かがある訳ではなく、むしろ想定できでしまう短編もあったりはするのですが、それも含めて受け入れたくさせる描き方が、やはり作者の技量なのでしょうね。こういう、全体的な優しさを感じる作品って好きだな。

No.753 6点 メビウス・レター- 北森鴻 2018/06/02 21:48
 ぐいぐい読ませる引力がありますし、練られたプロットでもあります。作者の意欲も感じましたし、総合的には楽しめたと言えます。
 一方で、判り易いものも含めて、随分詰め込んでいるなぁ、その詰め込み具合が積極的な評価に繋がるかは別なような気がするのだけれどもなぁ…とか、最終的には、とある犯人の動機がどうにも理解しがたいなぁ…等々の感想もございましたね。

No.752 4点 子どもの王様- 殊能将之 2018/05/30 22:03
 ミステリーランド作品。小野不由美「くらのかみ」、島田荘司「透明人間の納屋」とともに、ミステリーランド第一回配本の一角を占めた作品です。私は文庫版で読んだのですが、ノベルス版の作者あとがきによれば、当初は第二回配本の予定で依頼を受けていたものの、「某先生」が原稿を落としたために、第一回配本に回ったようです。へぇー、それは知らなかったなぁ。ちなみに「某先生」って誰なんでしょうね。
 内容としては、純粋なジュブナイルとして読めば、まぁ、悪くはないのだろうなぁ…といったところ。しかし、他のミステリーランド作品の多くは、(摩耶雄嵩の「神様ゲーム」のように、かなり突っ走った感のある作品もあるけれども、)大人が読んでも十分に楽しめる作品であることと比較すると、多少物足りなく感じたことも事実ですね。

No.751 8点 アルファベット・パズラーズ- 大山誠一郎 2018/05/27 22:43
 これは、面白かった。私は好きです。
 何といっても、この連作短編の約半分を占める、最終話「Yの誘拐」が印象的です。賛否両論あるのだと思うのですが、誘拐サスペンスからの、終盤の怒涛の展開は純粋に楽しめましたねぇ。隠れた(?)名作と言ってもいいのでは?
 (文庫版の)前半3短編も、個人的には、パスラーとして実は好きなタイプ。「いやいや、気づくだろ!」的な突っ込みも楽しみの一つということで…ダメですか?
 総合的に、この採点としましょう。

No.750 7点 最後の命- 中村文則 2018/05/22 23:32
 少年時代の、ある事件を共有する幼馴染から、7年ぶりに突然の連絡があった。「お前に会っておきたい」。その後、“私”の自室で馴染みのデリヘル嬢の死体が発見される。当初疑われる“私”。しかし、部屋の指紋から幼馴染が最有力容疑者となり…という流れ。作者として初めて映像化された作品でもあります。
 「ミステリー的要素の色濃い文学」なのか「文学的要素の色濃いミステリー」なのか、その境界線上にあるような作品なのでしょう。でも、自分としては、これは実は精巧に意図された「藪の中」的作品なのではないかと思っています。
 読み返してみますと、なかなか細やかな伏線が配置されています。で、とある人物が辿り着いた一定の推論も示されます。ここで、その裏まで推論(妄想?)したくなる私は、少数派なのか否か。深読みし過ぎなのかなぁ?
 勿論、文学としても読ませる内容ですし、時にはこういう読書もいいよなぁ…と思わせてくれた作品でした。

No.749 6点 小説X あなたをずっと、さがしてた- 蘇部健一 2018/05/19 21:46
 中編「あなたをずっと、さがしてた」(表題作)と短編「四谷三丁目の幽霊」で構成。
 表題作は「衝撃の恋愛ミステリー」という触れ込み。”衝撃”のレベル感も含め、敢えて多くは語らないけれども、まぁ、小奇麗に(?)まとめていると思います。
 ・・・というような一般的な感想は聞きたくないという声がこのサイト閲覧者から聞こえてきそうな気がします(空耳ですか?) では、率直な感想を。「どうしちゃったんだよ、蘇部センセ!『六とん』系をもっと読ませてくれよ。事情もあるんだろうし、時にはソッチ系に行ってもいいけど、また戻ってきておくれよ。俺、本当は脱力系が好きなんだよ!」
 そういう視点では、短編の「四谷三丁目の幽霊」の方が、多少なりとも(私の思う)作者らしさが表れているような気がします。それと、全般にわたる拙い文章にも、作者らしさを感じざるを得ず、何故かほっとします。
 まぁ、短時間で読めてしまうし、隠れ蘇部ファンは読んでみてもいいかも。

No.748 6点 人間動物園- 連城三紀彦 2018/05/17 23:41
 事件の経過は、なかなかスリリングで楽しめました。違和感というか、疑問がどんどん広がっていく流れの中で、終盤まで持っていかれます。構図の転換(正確に言えば、1つ目の転換)も、さすがは連城と感心。
 一方で、2つ目の転換というか、端的には犯人の動機ということになるのでしょうが、ちょっと理解しがたい面がありました。エピローグはちょっと読み疲れを感じたりも。

No.747 6点 象と耳鳴り- 恩田陸 2018/05/12 21:20
 2000年版の「本格ミステリ・ベスト10」で第5位を獲得した短編集。恩田作品の中でも、ミステリ度が高い作品なのであろうということで、手にした次第です。
 しかし、ロジックというよりも、感性で読むべき作品も多かったかなぁ …という印象。スッと引き込ませてくれるリーダビリティの高さもあって、好短編集であることは間違いないと思うのですが。

No.746 4点 太宰治の辞書- 北村薫 2018/05/06 21:55
 「円紫さんと私」シリーズの最新作。前作の「朝霧」から17年を経た「私」は、引き続き「みさき書房」に勤め続けており、「連れ合い」との間に中学生の息子がいる境遇。オンタイムで接していた方々にとっては、これだけで、郷愁?を感じるのではないでしょうか。
 しかし、ここは、この作品単体での冷静な評価を。正直、「私」の姿を借りた、作者の文学論評(とまでは言わなくても文学的エッセー)の場と感じずにはいられません。確かに、個人的には、知的好奇心をくすぐられたし、太宰の「女生徒」も読み返したりしたのですが、自分勝手な一言を申し上げるとすれば「自分が望むこのシリーズとは、そういう類のものではなかった」ということになります。文学的な素養なく、生れて、すみません。

No.745 5点 珈琲店タレーランの事件簿4- 岡崎琢磨 2018/04/29 22:43
 シリーズ初の短編集(だと思う)。
 悪くない短編もあるのですが、全体としては、青臭さもあって、積極的なコメントは差し控えたい。切り上げてこの点数というのが率直な印象かな。

No.744 5点 少年たちのおだやかな日々- 多島斗志之 2018/04/22 23:22
 各短編の主人公は中学生男子で統一されており、タイトルとは裏腹にというか、いや、ある意味でタイトルどおりと言うべきなのか、決しておだやかではない少年たちが描かれています。
 その描き方や、反転を含めた構成は巧いと思います。ただし、結末は爽やかとは程遠いものばかりで(単に後味悪いだけの短編も…)、まぁ何というか、癒されたい気分の時にはおススメできませんね。

No.743 7点 失踪HOLIDAY- 乙一 2018/04/19 22:01
 短編「しあわせは子猫のかたち」と中編「失踪HOLIDAY」で構成されています。
 「しあわせは子猫のかたち」は、真相自体は容易に想像できるのですが、幽霊との共同生活がほのぼのとしているし、いわゆるイイ話で雰囲気はいいですね。
 「失踪HOLIDAY」については、芳しくない評価もあるようですが、ミステリーとしてなかなかの良作ではないのかという気がします。正直、私は反転を想像することはできず、完全に嵌められました。読後感も含めて、結構好きです。

No.742 7点 顔のない肖像画- 連城三紀彦 2018/04/15 22:24
 反転の妙、そして何よりも作者の騙しの技巧が楽しめる、高水準の短編集。7つの各短編の当初の発表時期が1983年~1993年と一定の幅があるからなのか、バラエティも豊かです。
①「潰された目」:これは巧い。敢えて多くは語りますまい。
②「美しい針」:似たプロットの他作家の作品が思い浮かんでしまい、キモの部分は序盤で気付いてしまった。ちょっと損した気分。
③「路上の闇」:緊張感溢れる展開の後のオチの妙。私は全然気づかなかったですね。
④「ぼくを見つけて」:連城の十八番「誘拐モノ」。流石です。
⑤「夜のもうひとつの顔」:これも巧い。やられた。好編。
⑥「孤独な関係」:油断ならない展開から、ある意味驚きの真相。反則ギリギリの感もあるが、部長の気持ちはよく分かる。
⑦「顔のない肖像画」:言葉足らずを承知で書けば、「滅びの美学」的な連城らしさを感じる作品。個人的には疑問符の箇所がないではないが、まさに「反転」と言える舞台設定も含めて、お見事。

No.741 5点 さらば愛しき魔法使い- 東川篤哉 2018/04/11 22:13
 「魔法使いマリィ」シリーズ第3弾の短編集。終わり方からして、シリーズ完結なのかしら、その割には唐突すぎるというか、あっさりしているような気もするなぁ…と思っていたら、新たに続編短編も書かれているとのことで、暫くはこのシリーズが続きそうです。
 内容としては、ワンアイディアを活かしたものばかりで、いかにも日常生活の中で思い浮かびました的なものです。軽く読みたい気分の時にはフィットすると思うのですが、評価は分かれそうですね。個人的には、第1話のポルシェネタなど、何気に好きなタイプなのですが。
 一方で、今回はラブコメ的な割合が高く、ギャグも上滑り気味な印象。この点については消極的な評価になるかな。

No.740 6点 珈琲店タレーランの事件簿3- 岡崎琢磨 2018/04/07 22:56
 関西バリスタ大会中に起きた異物混入事件に、出場者の一人でもある美星が挑む。2年前の同大会でもトラブルが起きていたらしい…。
 個人的には、2年前のトラブルの真相も含めて、それなりに捻りが効いているし、ロジカルでもあると思うのですが、突っ込みたくなる点も多々ありましたねぇ。現実味もないですしねぇ。こんな悪意渦巻く大会ってのもねぇ。

No.739 6点 人形はライブハウスで推理する- 我孫子武丸 2018/04/04 23:14
 人形探偵シリーズの4作目。今回は短編集です。短編ごとに、出来栄えはマチマチといった印象ですね。
 ベストは、5話目の「腹話術志願」でしょうか。本格度の高いなかなかの好短編。最終話「夏の記憶」も、インパクトという点はさておき、ちょっと切なくなる物語で好印象。
 嘉夫と睦月の関係については…まぁ、良しとしておくかってところでしょうか。続編は出ないのかなぁ…。

No.738 6点 共犯マジック- 北森鴻 2018/03/29 23:03
 連作短編の名手らしい作品で、昭和史に残る数々の事件の使い方(?)も上手いです。よくもまぁ、繋げたよなぁ…と感心するのですが、それがもの凄い爆発力を生んでいるものでもないよなぁ…という気もいたしました。

No.737 6点 美女- 連城三紀彦 2018/03/26 23:14
 8篇から成る短編集。個人的な感想としては、ハマった作品と、そうでもない短編の両極端に分かれましたね。ベスト3は、順不同で「夜の右側」、「夜の二乗」及び「美女」。
 「夜の右側」は、いかにも連城らしい凝縮型の捻り。「夜の二乗」は、本格どっぷりの上質な連城作品。ある1点に意識が及ぶか否か。「美女」は、大人こそが噛みしめるべき作品で、これまた連城らしい。個人的には、ミステリー云々は措きつつ、最も記憶に残るかも。
 解説で一押しの「喜劇女優」については、その趣向は認めつつも、結末が想像しやすいし、何よりも途中から面倒くささが先立ってしまって、前述の3作品には及ばない印象。単純に私の読み方が浅いだけのような気もするのですが。

No.736 7点 遠縁の女- 青山文平 2018/03/21 23:28
 3編で構成される短編集。どの短編にも、自分の中にきっちりとした「筋」を持つ主人公が登場します。(多少の語弊はあるかもしれませんが)清々しく、ちょっと羨ましくもあります。
 ベストは、最もミステリーとしての味付けのある「遠縁の女」でしょうか。最初から最後まで、隙なく固められている印象で、グイグイ読まされました。
 他の二編「機折る武家」と「沼尻新田」も、しみじみとイイです。特に「機折る武家」は、ミステリーとは言い難いし、派手な展開があるものでもないのですが、様々な点で心に沁み込んできましたね。

No.735 6点 贋作『坊ちゃん』殺人事件- 柳広司 2018/03/18 20:14
 四国から東京に戻って3年後の「坊ちゃん」が、赤シャツ自殺騒動の真相を追って山嵐とともに元の赴任地を再訪する…。
 本家「坊ちゃん」の詳細は忘れてしまっていたものの、「いかにも坊ちゃんが言いそう、又はやりそう」という描き方がまずは楽しい。他の登場人物の使い方を含めて、本家への作者の愛情を強く感じましたね。
 赤シャツ自殺騒動の真相はもとより、本家「坊ちゃん」が全く違った姿で解釈されていく様が読みどころで、久しぶりに「坊ちゃん」をじっくりと読んでみたくなりましたね。

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