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平均点:5.76点 採点数:706件

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採点傾向好きな作家

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No.706 6点 素敵な日本人- 東野圭吾 2017/11/18 11:45
 9編から成るノンシリーズの短編集。そつがないよなぁ、というのが率直な感想ですね。1編30ページ程度の分量の中で、スッと物語に入らされて、ストンと落とされる感じ。
 落され方が印象的な「レンタルベビー」と、グッときた「水晶の数珠」が良かったですかね。逆に、倒叙形式の2編はそうでもなかったかな。
 全短編に独創的な仕掛けが施されている訳ではないので、どのような期待感をもって読まれたかによって評価は分かれるような気がしますが、個人的には、こういう安心して読める短編集って嫌いじゃないです。

No.705 5点 τになるまで待って- 森博嗣 2017/11/12 18:37
 「手品」のトリックは判りやすかったですねぇ。これ、その場にいたら絶対に気付くと思うのですよねぇ。でも、これを捨てネタにして、「事件」の真相に一捻り加えるお考えなのね…と期待していたら、あらら、犀川センセ登場であっさり解決しちゃいましたねぇ。うーん、そうなのね。
 とはいえ、読みやすかったこと、さらに、もう暫くこのシリーズを読み進めたくなったことも事実なので、この採点にします。

No.704 3点 痛み かたみ 妬み- 小泉喜美子 2017/11/09 22:45
 中公文庫版で読了。1980年、双葉社刊行の短編集に、4短編を増補して再編集したものだそうです。
 表題となっている3作品も含めて、正直、結末が容易に想像できたり、「それで?」と問いかけたくなるような作品が多かったですね。うーん、「入手困難・幻の短篇集の増補復刊」という謳い文句に惑わされちまったなぁ…って感じ。
 ちなみに、増補した4短編のうち3作品は少女向け月刊誌に掲載されたものらしく、相当なイマイチ感が漂っています。最終話の「ヘア・スタイル殺人事件」などは、イマイチどころか、これってどうなの?というレベル。読者挑戦モノというか、クイズスタイルなのだけれども、ちょっと痛すぎたかな。

No.703 5点 サンタクロースのせいにしよう- 若竹七海 2017/11/04 22:42
 友人の紹介で、一戸建ての家に住む女性(銀子さん)と同居することとなった女性(柊子)が主人公。料理や家事を行うことで家賃はタダ。さらに、銀子さんは有名俳優の娘で、極めてマイペースなお嬢様で…という設定。
 ビターな展開も多少あったけれども、同居する2人を含め、個人的に憎めない登場人物が多くて、全体的に読み心地は良かったかな。とはいえ、ミステリとしての評価は消極的にならざるを得ないかな…ということで、この採点に。

No.702 7点 ホワイトラビット- 伊坂幸太郎 2017/11/03 22:50
 仙台の住宅街で人質立てこもり事件が発生。そこに絡んでくる様々な人たち…。お馴染みの黒澤さんも登場して…。
 もっと詳しく書きたいけれども、未読の方の楽しみを奪うことになりそうなので、やめておきましょう。見事な構成力で、兎に角楽しく読ませていただきました。久方ぶりに(?)伊坂幸太郎さんの実力を再確認できた感じ。面白かったですよ。

No.701 6点 小さいそれがいるところ 根室本線・狩勝の事件録- 綾見洋介 2017/10/29 00:06
 2017年『このミステリーがすごい!』大賞の最終選考に残った「隠し玉」作品。
 舞台は根室本線の架空の駅「東羽帯駅」。とはいえ、「羽帯駅」は存在するようですし(表紙のイラストも、ネットで確認した限りでは「羽帯駅」っぽい。ちなみに,この駅も廃止が決定しているそうで…)、他の駅は実名で登場しているので、何となくイメージはし易かったです。いわゆる”鉄ちゃん”の習性とか、秘境駅の醍醐味とか、それはそれで面白かったかな。(単に私の「鉄分」が他の方々に比して高めだからかもしれませんが…)
 正直、ミステリーとしては弱いと言わざるを得ませんし、青臭ささも多分にあるのですが、伏線の配置とか、歴史的・地理的事実の噛ませ方などは、基本的ではありますが、巧く整えられていると感じましたね。
 表紙を見てウキウキしてしまうような「鉄分高め」の同志の方は、試しに読まれてみては?(ただしマニアック度は決して高くないので、「鉄分補給」にはならないような気がしますが)

No.700 10点 黒いトランク- 鮎川哲也 2017/10/23 22:40
 これは凄い。美しい。精緻で凛とした美しさがあります。
 ちなみに、トランク・犯人・被害者それぞれの動きがポイントになるのですが、複雑かつ重層的で、それらを追い掛けるだけでも一苦労です。頭の中だけでの整理は相当に困難で、メモは必須かもしれません。正直、ワタクシもちょっと面倒で諦めてくなった瞬間もございました。
 しかし、その先には何とも言えない快感が待っています。最終盤の「Xトランク・Zトランク取り換え問題」の真相が判明した瞬間は、雷に打たれたような感覚になりましたね。複雑さの中におけるシンプルさ、このコントラストは極めて美しい。そして、実は全て読み終わった後にこそ、本当の楽しみがあるような気がします。(いやはや、様々な人とモノの動きを反芻すること自体が楽しいではありませんか!)

No.699 6点 歪笑小説- 東野圭吾 2017/10/17 22:32
 ~笑小説シリーズ第4弾。今回は、出版社・編集者・作家の関係に特化した短編集です。連作短編と言ってもいいかな。業界ネタというか楽屋ネタという捉え方もできるのでしょうが、ソコも含めて面白い。シリーズの他作品と比して表面的な”毒”は弱いものの、底流に流れている”毒” 自体に結構ハマりました。
 この作品は、東野圭吾だからこそ書けるのだろうし、読者としても笑えるのだろうなぁ、そんな気がしました。

No.698 6点 とってもカルディア- 岡嶋二人 2017/10/15 19:11
 土佐美郷(とさみさと)&織田貞夫(おださだお)の「山本山コンビ」が活躍するユーモア長編。2人は「三度目ならばABC」にも登場していて個人的には名コンビぶりが印象に残っているのですが、80年代の作品ということもあって、肌に合わない方もいらっしゃるかも。
 ちなみに、この「とってもカルディア」ってタイトル、一定年齢以上の方は何か記憶の片隅に引っかかるものがあるのではないでしょうか。それもそのはず、「カルディア」ってのは、1984年に富士フイルムが発売した新型カメラの名前でして、そのCMコピーが「とってもカルディア」だったのですねぇ。当時、小泉今日子を起用したCMが何種類か相当期間流れていたものです。CMソングに「なんてったってアイドル」が採用されていたこともあって、一定の方の記憶には残っているかもしれません。
 そしてこの作品は、富士フイルムが話題作りのため、若手のミステリー作家に小説を書かせてみようということになり、講談社に持ち掛けたことから生まれたとのこと。いやぁ、時代だなぁ…って感じるのは私だけでしょうか。(広報手法は勿論のこと、カメラに対する意識という意味でもね。CMでは「ハイテク全自動」ってナレーションされていましたしねぇ。“ハイテク”ですからねぇ。)
 その経過もあるのでしょう。確かに作品中では全自動カメラ「カルディア」が登場し、その新機能も含めて一定重要な役割を果たしています。とはいえ、決してクライアントにいい顔しながらも手を抜いて…という作品ではなく、しっかりと練られていると思います。相当にご都合主義な面はあるのですが、まぁ、読みやすいし、何よりも様々な意味で当時を思い出せたので、私は結構楽しかったな。

No.697 6点 幽霊刑事- 有栖川有栖 2017/10/12 23:07
 「むむ?有栖川サンっぽくない導入部だぞ」というのが、序盤の率直な感想でした。何といっても主人公が「幽霊」ですからねぇ。これはどうなの?という若干の不安も正直ありました。
 しかし、途中からグングン加速。主人公はもとより相棒の早川クンのキャラもあって、心地よく読み進められました。読者に推理させるよりも、展開をひたすら追っていく要素の方が多く(私の読み方がそうだっただけかもしれませんが…)、その意味では、確かにいつもの作風とは異なるような気がしますが、最終的には「やっぱり有栖川作品はいいよねぇ」という印象に見事に変わっていましたね。

No.696 4点 レジまでの推理 本屋さんの名探偵- 似鳥鶏 2017/10/08 09:37
 西船橋の書店を舞台とした連作短編集。
 個々の短編としては、正直「そこまでやる意味、ある?」とか「そこまではしないでしょ、普通」等々、思ってしまったのですよねぇ。
 一方で、最終話の仕掛けは、決して嫌いではないし、連作短編として巧くまとめていらっしゃると思います。織り込ませている主張にも、同意いたします。
 うーん、でもねぇ…残念ながらその主張は、作品全体を包んでいるというよりも、むしろ邪魔をしている側面も少なからずあると思うのです。総合的に、敢えてこの採点で。

No.695 6点 恋愛採集士- 日野草 2017/10/05 21:19
 諦めきれない恋や忘れられない愛を掬い上げるため、依頼されたターゲットの理想の相手を演じて目的を遂行する女性「ユキ」が主人公。
 作者の出世作「GIVER」と類似した雰囲気の連作短編で、どの短編も一定の仕掛けが用意されています。ページをめくらせる力は十分にあります。
 マイベストは、とある"テスト"のシーンが印象に残る「茜さす」。逆に、最終話は多分に「ありがち」な印象で、前4話で期待を高められただけに、ちょっと勿体ない印象も受けたかな。

No.694 6点 モモンガの件はおまかせを- 似鳥鶏 2017/10/03 21:05
 楓ヶ丘動物園シリーズ第4弾。今回は連作短編です。
 現場は全て「楓ヶ丘動物園」の外側なのですが、飼育員や獣医師のメインメンバー(桃本、七森さん、服部くん、鴇先生)が引き続き活躍してくれています。
 正直、ご都合主義感が目立つ短編もあったのですが、最終話「愛玩怪物」の真相はなかなかに面白かったですね(動物に詳しい方はすぐ気付くのかもしれませんが)。読みやすいコミカルなやり取りの中で、ペットに係る社会派的な主張も全編にわたってなされており、そのバランスにも好感をもちました。

No.693 6点 θは遊んでくれたよ- 森博嗣 2017/09/30 19:38
 Gシリーズ第二弾。
 シンプルな設定なのだけれども、むしろそれが心地よかった(=丁度よかった)かな。キャラも結構イイ感じです。まだこのシリーズは2作品しか読んでいないのですが(つまり順番通り読んでいるということですが)、S&MシリーズやVシリーズよりも気楽に楽しめそうなので、今後も気が向いたときに読み進めてみようかな。

No.692 5点 元気でいてよ、R2-D2。- 北村薫 2017/09/23 21:53
 角川文庫版で読了。集英社文庫版から、書き下ろし短編1編が加わっているそうです。
 筆者自身が「まえがき」で述べているとおり、「陰のある」短編が揃っています。「腹中の恐怖」の直接的な怖さも良いのですが、「マスカット・グリーン」の、何気ない“気付き”の怖さも嫌いじゃない。「さりさりさり」の、うっかりすると見落としそうな描き方も良かったかな。
 決して派手な仕掛けはないのだけれども、こういう短編集も結構好きなんですよねぇ。

No.691 6点 動かぬ証拠- 蘇部健一 2017/09/18 16:47
 ラスト1ページの「イラスト」で決定的な証拠なりが示されるという、その発想は面白い。イラストだからこその衝撃というのも、確かにありますしね。
 イラストを活かしたという意味では、「しゃべり過ぎの凶器」がベストかな。「天使の証言」も含めた2篇は、作者らしくないというと失礼かもしれないが、内容としても端正で、なかなかの良作。
 一方で、作者らしい作品としては「逆転無罪」と「宿敵」が双璧で、どちらもラストのイラストが効いています。私は「くっだらねぇ…」っていう感情は、ある種、爽快感に似ていると思っておるのです。根拠はないけど。でもスカッとしましたぜ。
 今回の蘇部健一ワールドは、結構幅広でストレスもなく、私は正直楽しかったな。

No.690 5点 ビブリア古書堂の事件手帖6- 三上延 2017/09/15 23:26
 今回の題材は全編にわたって「太宰治」であります。個人的には太宰治は嫌いではない、というか本当は好き。なので、もっと楽しめてもよかったような気がするのですが、「面白くないわけではなかったのだが…」というのが、読後の率直な印象でしたね。
 太宰にまつわる薀蓄も楽しかったし、一応の反転も嫌いではないのです。一方で、恐らくは、一般人の感覚と凄くかけ離れた方々(栞子譲や五浦クンも例外ではない)が多すぎることが一因だと思うのですが、心の片隅に「何だかなぁ~」って部分を持ちながら読み進めたことも事実。私の心が荒んでいただけという可能性も否定できないのですが。
 採点はこの辺りで。

No.689 5点 御手洗潔の挨拶- 島田荘司 2017/09/09 22:30
 「数字錠」は、人間ドラマとしての評価は別として、トリック自体は平素。例の"割合"の件は、読中に気付く方も多いのでは。
 「疾走する死者」は、いかにも島荘というトリック。読者への挑戦状付きですが、某長編を先読していた者としては微妙な印象も。
 「紫電改研究保存会」は、既視感はあるけれども、全体の雰囲気が好き。
 「ギリシャの犬」の暗号にはなるほどと思ったけれども、数多くの点で無理があるなぁ…などと思ったりも。それを言っちゃあ、ミステリ読みとしてダメか。
 全体として、詩情的な雰囲気や御手洗潔の味を感じ取るべき短編集かな。

No.688 5点 Φは壊れたね- 森博嗣 2017/09/05 23:00
 Gシリーズ第一作ですね。
 西之園萌絵や国枝センセ等のレギュラーメンバー(?)が登場するという安心感に加え、新メンバーの面々も個性的でありましたので、「このシリーズも一定読み進めてみようか」とは思わせられました。と、いう全体的な雰囲気に加え、本書の謎自体もなかなかに魅力的でしたので、終盤までの期待感は相当に高まったわけでございます。
 しかし、最終的なミステリとしての印象としては、相当な肩透かし感&消化不良感を抱いたなぁ…と。これ、芯の部分はギリギリ短編レベルではないのかな…と。まぁ、終盤前まで楽しめたのは事実だし、きっと近いうちに続編にも手を出したくなるであろうから、この辺りの採点にしようかな…と。

No.687 6点 白戸修の事件簿- 大倉崇裕 2017/09/01 22:57
 お人好しな性格であるがゆえに、様々な事件に巻き込まれてしまう大学生「白戸修」が主人公の短編集。必ずしも探偵役を務めるという訳でもなく、純粋に巻き込まれただけ、という短編があるのも、なかなか楽しい。
 ハラハラさせる展開がありつつも、全体の雰囲気としては「ほのぼの調」であることも好印象。何より、全ての短編の結末が爽やかなのがイイ。
 個人的には、第一話「ツール&ストール」と最終話「ショップリフター」が特に良かったかな。

No.686 7点 四季- 森博嗣 2017/08/27 18:58
【夏~冬の書評】
 「春」のみを読んで投稿してから約1年。「春」読了の時点では、幼少期の真賀田四季押しに、多少引き気味になり、すぐに続編「夏」を手にする気にならなかったワタクシでございました。それがなぜか、約1年を経て読んでみたくなった次第。間もなく夏が終わるからでしょうか。
 で、「夏」は、真賀田四季が13~14歳の設定。ミステリ要素云々は措きつつ、「すべてがFになる」の作品世界の懐かしさもあって、多少テンションは上がりました。
 このテンションのまま「秋」へ。真に楽しむためには、S&MシリーズとVシリーズを読破しておくことが必須です。なお、数年前にネタバレサイトで図らずも真相を知ってしまっていたワタクシとしては、読中に絶妙な悔しさを体験しました。嗚呼、勿論自分が悪いのだけれども、純粋な気持ちで読みたかった。
 最後の「冬」。これはもう、半分は哲学書ではないのか。ちょっとついて行けない感じも受けたかな。
 全編を通じて、ミステリと称していいものか、やや迷うところではあるのですが、20作品以上を費やした壮大なミステリと捉えられないこともないし(いや、無理があるか?)、いやはや、作者はどの時点でどこまで構想していたのかと気にせざるを得ないスケール感に敬意を評してこの採点としましょう。(完全に森ファン限定の作品であって、普遍性は無いけれどもね。)

No.685 5点 囲碁殺人事件- 竹本健治 2017/08/20 14:20
 ゲーム三部作の第一弾ですね。「涙香迷宮」にあやかってか、講談社文庫でシリーズごと復刊され、本屋に平積みされておりました。
 正直、想像していたよりもストレートな本格作品といった印象でしたね。ただし、個人的には暗号モノに拒否感があり、かつ、囲碁にも詳しくないだけに、本当の面白さを感じ取れたのかどうか、自信がないです。おそらく、囲碁好きな方はもっと楽しめるのでしょう。
 ちなみに、収録されていた短編「チェス殺人事件」の魅力については、私は全く感じることができませんでした。誰か教えてください。

No.684 6点 プレゼント- 若竹七海 2017/08/18 20:44
 葉村晶と小林舜太郎警部補が交互に登場し、最終話は二人共に登場する形式の短編集。主人公が毎回変わることについては、各話ごとに雰囲気が変わって飽きがこないので、個人的には好みのタイプ。倒叙形式も挟んだりして読み得な印象を受けました。
 個人的なベストは、極めて典型的ではあるものの綺麗に纏めている葉村パートの「再生」かな。

No.683 7点 探偵は女手ひとつ- 深町秋生 2017/08/14 11:34
 娘と二人暮らしの元警官・椎名留美。山形市で探偵をしているが、依頼される仕事の多くは、農家の手伝い、パチンコ店での並び代行、雪かき等々で、半ば便利屋状態。そこに、元上司の警察署長から、さくらんぼ窃盗犯の特定に関する依頼が入って…という設定で、短編集がスタートします。
 正直、想像以上に楽しめました。短編集が進むにつれて依頼のハードさが増してくるのですが、周りを固める脇役陣が魅力的で、山形弁の醸し出す雰囲気に何かほっとさせられつつ、最終的にはスカッとできたのが何よりも良かったかな。ミステリ的な捻りも、敢えてこねくり回していない分、好感が持てましたね。

No.682 5点 物件探偵- 乾 くるみ 2017/08/11 16:34
 不動産をテーマにした6編から成る短編集。各短編の扉には、不動産屋や賃貸雑誌で見かけるような「間取り図」が挿入されていて、まさに「不動産ミステリー」といった趣きです。ミステリーとしては小粒なのですが、不動産の勉強にもなったし、その点も含めれば楽しめたと言えるかな。
 ちなみに、探偵役の不動尊子は、どの短編でも終盤だけに登場。登場パターンがいつも一緒というのはアリだとしても、キャラ自体は平面的で魅力をあまり感じなかったなぁ…と。多少勿体ないような気もしました。

No.681 6点 なんでも屋大蔵でございます- 岡嶋二人 2017/08/08 20:13
 なんでも屋(いわゆる便利屋)を営む「釘丸大蔵」を探偵役とする短編集。
 軽快なテンポで非常に読みやすく、読中感・読後感ともに良いので、軽く読書したい気分の方に最適です。反転も十分に楽しめますがが、「いやいや、犯人もそこまでは普通やらないよねぇ」と感じた部分も正直ございました。まぁ、ちょっと気になった程度であって、全体に流れる温かい雰囲気への評価の方が勝りましたけれども。
 最終話の展開から続編を求めたくなる読者も多いものと思われますが(勿論、私もその一人)、岡嶋二人のコンビを解消した今となっては、さすがに難しいでしょうか。ちょっと残念です。

No.680 7点 ほうかご探偵隊- 倉知淳 2017/08/06 16:15
 ミステリーランド作品。これまでミステリーランド作品は10冊位読んでいると思うのですが、それらの中で、この作品は、「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」という、ミステリーランドのコンセプトに最も忠実だと思いますね。本格作品の楽しみを次世代に伝えたいという想いが伝わってきて好感が持てます。ミステリ入門編としても、極めて正しい作品と言えましょう。
 とは言っても、内容としては、入門編として安易に纏めているものではなく、このサイト愛好者も十二分に楽しめると思います。舞台は基本的に小学校内、登場人物も無暗に増やさない、読みやすく温かな筆致、その中での捻り具合…巧いなぁ、と感心いたしました。
 ちなみに、読後にふと考えてみたら、この作者さんの作風って、ミステリーランドにすごくフィットしていますよねぇ。

No.679 6点 双蛇密室- 早坂吝 2017/07/30 21:49
 上木らいちシリーズ第4弾。
 いやはや、バカミスであることは間違いないのですが、これを怪作と呼んでといものかどうか。賛否両論ありましょうが、とにかく、やってくれちゃってます。
 タイトルどおり、蛇がらみの2つの密室が登場。そのうち2つ目の密室は肩透かし感満点でして、さすがにこれはいただけない。無理があり過ぎるし、面白味もない。
 問題は1つ目の密室(物語全体の真相とも言える)。これも無理があり過ぎると言えばその通りなのだけれども、個人的には初めて見たパターンであることは間違いなく、その発想力には驚かされました。らいちシリーズなだけに、藍川刑事がよく見る悪夢の真相の一部は、完全ではないけれども、きっとこの手のものであろういったレベルまでは想像がついたとは言え、全ては見通せなかった。確かに、このシリーズでデビューしたこの作者ならではで、独創的ではあります。
 でも、物語全体としてはどうなのか。その心意気や良しとすべきなのか、いやいや、突っ込みどころ満載で拙い点を(文章も含めて)一つひとつ挙げるべきなのか。どう評価すべきなのか、正直判断に迷うなぁ。

No.678 6点 GIVER- 日野草 2017/07/29 18:25
 第一話・第二話の復讐代行譚の流れで、第三話も同様かと思いきやそうでもなく、多少のギアチェンジ。個々の短編の反転も効いているし、短編集全体として見ると、主人公の成長譚として捉えることも可能で、その構成力は素直に評価したいと思います。

No.677 7点 探偵さえいなければ- 東川篤哉 2017/07/23 16:03
 烏賊川市シリーズの短編集。このシリーズとしては第三弾の短編集に当たる(と思います)。
 作者の原点と言うべきシリーズですが、いつもの鵜飼杜夫、二宮朱美、戸村流平の三人が揃って登場する短編はありません。というか、三人とも登場しない短編すらございます(砂川警部と志木刑事は登場するから、辛うじて烏賊川市シリーズということになるのかな?)。でも、このシリーズは主要三人以外のサブキャラクターがいい味を出していて、前短編集で個人的にツボだった、ゆるキャラ探偵「剣崎マイカ」が(1短編のみとはいえ)再登場してくれたことが嬉しい。凄く嬉しい。
 いずれの短編も水準以上の出来栄えにありますが、個人的には何といっても「剣崎マイカ」が見事に解決する「ゆるキャラはなぜ殺される」がベスト。ユルすぎるとか、バカバカしいとか、批判もあるでしょうが、私には無関係。ゆるキャラを活かしきったプロットは秀逸と言ってよいのではあるマイカ。そして作者としては、今後も彼女のキャラを積極的に使うべきではあるマイカ。
 他の四短編も、なかなかの出来栄えです。倒叙形式もあり、かつ、反転が心憎い作品も多くて好感を持ちました。緩いユーモアを巧く活かしながらの、極めて堅実な短編集と言えると思います。(様々な意見はあろうかと思うのですが。)

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