蟷螂の斧さんの登録情報
平均点:6.00点 採点数:1062件

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採点傾向好きな作家

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No.1062 4点 双生児- 折原一 2018/01/16 21:16
裏表紙より~『安奈は、自分にそっくりな女性を町で見かけた。それが奇怪な出来事の始まりだった。後日、探し人のチラシが届き、そこには安奈と瓜二つの顔が描かれていた。掲載の電話番号にかけるとつながったのは…さつきは養護施設で育ち、謎の援助者“足長仮面”のおかげで今まで暮らしてきた。突如、施設に不穏なチラシが届く。そこにはさつきと瓜二つの女性の願が描かれていて…“双生児ダーク・サスペンス”。』~
短い章で、人物の視点が変わり、複数の話が進行し、過去と現在が行き来する。よって読者はいつも通りに混乱するのである(苦笑)。トリックは二つ。メイントリックは、著者としては初めて?と思うが、う~ん、どうなのかなといったレベル。登場人物の一人が二重人格らしい設定なのだが、効果的ではなかった。残念。

No.1061 9点 カラマーゾフの兄弟- フョードル・ドストエフスキー 2018/01/15 18:14
(ネタバレあり)「罪と罰」はアメリカではミステリーとしても読まれています。アメリカ探偵作家クラブが選んだミステリベスト100の24位にランクイン。高野史緒氏の「ミステリとしての『カラマーゾフの兄弟』」「カラマーゾフの妹」を読むと「罪と罰」よりも本作の方がミステリー度は数段上ということがわかります。今回、サイトに登録されたのを機にミステリー面(犯人は誰か)を中心に拝読。高野史緒氏は○○を真犯人としています。さて、どうなのか?・・・。なんとなんと、推理するまでもなく序文にて○○が主人公であると著者は明言しているではありませんか。本作(第一部)では○○は決して主人公ではありません。よって第二部(本作の13年後)で○○が主人公となり全貌が明らかにされることになるわけです。つまり、必然的に○○が犯人となる?。ところが、著者が死亡し、第二部は書かれることはなかった。もし完成すればミステリー的には「倒叙式の完全犯罪」ものとなったのかも?。一般的に、犯人は△△の暗黙の指示で●●が実行したという解釈のようです。しかし、著者はその点非常に曖昧にしています。当然です!○○が犯人なのですから(笑)。その点の検証。犯行時、ドアが開いていたか否かが論点。逮捕された◇◇(冤罪)は「窓は開いており、生きている父を見た。ドアは閉じていた」部屋に入っても殺してもいないと主張。その後、現場から逃げる◇◇を見た召使「窓は開いており、ドアも開いていた」。両者とも嘘をつく必然性はない。よって、アリバイのない○○がドアを開けた可能性がある。●●は自分が犯人と告白し自殺する。犯行時、●●は癲癇を起こし寝ていた。仮病というが、犯行後わざわざうめき声を立て看護人を起こす必要はない。ドアは被害者に開けてもらったというが、時間的経過の観点からドアは開いていたという証言と矛盾。凶器の処理、返り血がないなどの不審点。遺書に自分が殺したと書いていない。現金が封筒に入っているのを知っているので、封筒を破り金をとりだす必要もない。等々●●が犯人とする根拠は乏しい。一方、○○が犯人とする根拠。○○のアリバイはない。2日前○○は”闘士”になったと明言。父が母の話をすると、眼が燃え唇が震えだし癇癪を起した。このあたりが動機となるような気がする。第二部の題名が「偉大なる罪人の生涯」?も気になる。一番関心を持った記述は「母屋は中二階のある平屋建てで、隠し部屋があり、思いがけない階段もある」という点です。どんな意図があってこんなのことを書いたのか?。犯人が隠れていたとの大伏線では???などと妄想が膨らみました。

No.1060 7点 ディレクターズ・カット- 歌野晶午 2017/12/30 20:09
シリアル・キラーが、TVの「やらせ番組」で無軌道な行動をとる若者を襲った。TVディレクターは、若者を囮にし殺人鬼の逮捕劇を生中継することを計画するのだが・・・。題名から予想されるどんでん返しを期待していたら、まったく別方向からの一撃が待っていました(笑)。ラストで、「ディレクターズ・カット」の真意が明らかにされるあたりはうまい。

No.1059 5点 断崖- 石原慎太郎 2017/12/24 10:03
本格ミステリ・フラッシュバックで紹介された1冊ですが、本格ものではありません(苦笑)。新聞記者が、海に流れ着いた記憶喪失の少年の過去を探るというものです。1962年の発表なので、当時の社会派ブームに乗った作品なのかも?。第一発見者の行方不明、少年がトラックに突っ込まれ大怪我をする、少年が発見時、高価な宝石を持っていたなどの謎を提示、関係者を地道に訪ねていくという展開です。最終章は新聞記者の口から語られるのですが、犯人の告白にした方が効果的だったような・・・。

No.1058 9点 屍人荘の殺人- 今村昌弘 2017/12/17 10:28
クローズドサークルとハウダニットの設定は秀逸です。途中で、そっちの方向に行っちゃうのかい?と思わせるのですが、うまく収斂します。第2の事件のホワイダニットが惜しい。ないものねだりですが、もし血縁関係があったらよかったなどと思う次第です。

No.1057 5点 裁く眼- 我孫子武丸 2017/12/13 12:03
「落ち(特性)」だけであれば、短編でも良かったような。犯人の「特性」より「動機、結構気に入っています。(笑)」の方をメインに描いて欲しかった。「殺戮にいたる病」の異常性のように。そうすれば、蘭花ちゃんのキャラクターと犯人の異常性が対比され、結構傑作になったかも?。

No.1056 5点 時限病棟- 知念実希人 2017/12/05 22:26
裏表紙より~『目覚めると、彼女は病院のベッドで点滴を受けていた。なぜこんな場所にいるのか? 監禁された男女5人が、拉致された理由を探る……。ピエロからのミッション、手術室の男、ふたつの死の謎、事件に迫る刑事。タイムリミットは6時間。謎の死の真相を掴み、廃病院から脱出できるのか!?』~

脱出ゲームとフーダニットの物語。フーダニットのプロットはどんでん返しもあり、楽しめました。だだ、脱出ゲームの方がタイムリミットものにしては緊迫感がない。その点が残念でした。

No.1055 5点 ここから先は何もない- 山田正紀 2017/11/30 16:52
「星を継ぐもの」に不満があったという著者の発言に魅かれ拝読。結局、どのような不満かは分かりませんでしたが・・・。当初、人間ドラマが不足している点かなと思いつつ読んだのですが、どうも違っていたようです。題名「ここから先は何もない」と関係があるのかも???。正直、SFは大の苦手です。本文中に『―ハァー?という感じだ。いったい何を言っているのか。まるで意味が通じない。』とあります。まったく、その通り(笑)。特にジェネシス到着予定がパンドラに到着した真相や犯人像?。言わんとすることは分かるのですが、イメージできません(涙)。

No.1054 5点 本格ミステリ・フラッシュバック- 事典・ガイド 2017/11/25 23:05
本格と謳われていますが、サスペンス、警察小説、社会派などに分類されると思われるものも含まれています。本書の価値は1957年から1987年の30年間に絞ったことでしょうか。もう少し早く読んでいれば、掘り出し物が多数発見され、評価は上がっていたかも。本書で紹介されている作品のうち、既読で高評価のものは、別途ガイドブックで紹介されたものが大部分でした。紹介文にそそられて興味の湧いた作品30冊ぐらいをピックアップしてみましたが、本サイトの評価では残念ながら5点台が多かったですね。気になった作品は石原慎太郎氏の「断崖」と荒木一郎氏(元歌手)の「シャワールームの女」あたり。なお、カスタマーレビューに「作家紹介も小林信彦の項などいい加減過ぎる」とのコメントがありました。私も「貸しボート十三号」の紹介内容に疑問(もう少し調べた方がいい)を持ちました。紹介者は市川尚吾氏です。氏は作家の乾くるみ氏と知りビックリ仰天。まあ、好きな作家なのでいいか?(笑)。

No.1053 7点 文豪の探偵小説- アンソロジー(国内編集者) 2017/11/21 10:30
江戸川乱歩氏の前の時代、明治から大正の作品集です。よってミステリー要素を含んだ純文学といって良いかも。現在のカテゴリーに無理やり当てはめてみました。敬称略、( )は採点。
「途上」谷崎潤一郎・・・プロバビリティの殺人(5)
「オカアサン」佐藤春夫・・・安楽椅子探偵(6)
「外科室」泉鏡花・・・衝撃の動機・ホワイダニット(8)
「復讐」三島由紀夫・・・ラストの一行・ホラー系(7)
「報恩記」芥川龍之介・・・ホワイダニット(8)
「死体紹介人」川端康成・・・猟奇風・奇妙な味(7)
「犯人」太宰治・・・どんでん返し(7)
「范の犯罪」志賀直哉・・・リドルストーリ―(8)
「高瀬舟」森鷗外・・・社会派(8)
ミステリー要素だけを評価すれば、もっと低くなるのですが、さすが文豪と呼ばれているだけのことはあります。読ませます(笑)。

No.1052 5点 怪奇探偵小説名作選〈4〉佐藤春夫集-夢を築く人々- 佐藤春夫 2017/11/13 15:48
裏表紙より~『谷崎潤一郎とともに探偵小説のジャンルも開拓し、のちに文壇の重鎮的存在となった佐藤春夫の、幻想美溢れる作品世界。初期の代表作「西班牙犬の家」、探偵小説の先駆けとなり谷崎が絶賛した「指紋」、新しい方法意識で小説世界の幅を広げた未来都市小説「のんしゃらん記録」の他「女人焚死」「女誡扇奇譚」など、幻想・耽美的作品を収録。また評論として「探偵小説評論」「探偵小説と芸術味」も収録。』~
探偵小説(的小説?)としては「指紋」「オカアサン」「「女人焚死」あたりか。「指紋」は1908年警視庁が指紋制度を採用、その10年後の作品です。当時としては新鮮な題材であったのかも。「オカアサン」(1926)は買い取ったインコの言葉だけから前の持ち主の生活を推理するもの。「九マイルは遠すぎる」のパターンを先取りしています。「女人焚死」は足を縛られた女性の焼死体が発見される。他殺か自殺かというもの。その他、全体的には幻想譚的な作品が多かった。ミステリーの歴史を知るには役立つと思います。次回は、江戸川乱歩氏の前の時代、明治から大正初期の作品集「文豪による探偵小説」を手にする予定。

No.1051 5点 ドクター・デスの遺産- 中山七里 2017/11/10 15:08
刑事犬養隼人シリーズの第4弾。臓器移植、子宮頸がんワクチン問題に続き、今回は安楽死問題。~警視庁に少年から「悪いお医者さんがうちに来てお父さんを殺した」との通報が入る。ドクター・デスという安楽死を生業とする人物の存在が・・・。~ミステリーとして「どんでん返し」はありますが、読後はミステリーより問題提起の方がウェイトが大きいとの印象。よってマイナス1ポイント。最近著者の作品は「社会派」が多い(苦笑)。

No.1050 6点 ねずみとり- アガサ・クリスティー 2017/10/30 20:48
裏表紙より~『若夫婦の山荘に、大雪をついて五人の泊り客、そして一人の刑事がやってきた。折しも、ラジオからは凄惨な殺人事件のニュースが流れはじめる。やがて、不気味なほどの緊張感がたかまり、舞台は暗転した!マザー・グースのしらべにのって展開する、スリリングな罠。演劇史上類をみないロングランを誇るミステリ劇。』~1幕、2幕とも同じ舞台で演じられます。こういうスチエーションがなぜか好みなんです。ある犯人像を著者が書かないわけがないと思っていたので、やっと出会った感じ(笑)。

No.1049 5点 死のロングウォーク- スティーヴン・キング 2017/10/23 11:46
ロングウォークという競技。ゴールはない。歩行速度が落ち、3回警告を受けると射殺されるというもの。そこには「死」だけがある。近未来のSFに近い設定です。ミステリーを読む立場からすると、少年たちは何故このようなゲームに参加するのか?、主宰者の大佐とはいったい何者か?といった謎に興味を持つはず。しかし、本書の解答は?・・・・・。死ぬことがわかっていて参加するのでクローン人間かな?と思いましたが違っていました(苦笑)。解説によると登場人物の心理描写やキャラクターの魅力がメインとのこと。なお、米澤穂信氏の「インシテミル」は本書を意識して書かれたとのコメントがあり、本書を手に取ってみました。

No.1048 5点 紳士同盟- 小林信彦 2017/10/17 18:26
(東西ミステリー1985版の45位)国産コン・ゲーム小説の嚆矢とのこと。ユーモアもあり楽しめました。オチがラストページに来たらもっと評価が上がったと思います。なお、薬師丸ひろ子さん主演で映画化されているとのことですが、小説の人物像とはまったくイメージが違います(苦笑)。

No.1047 4点 愚者のエンドロール- 米澤穂信 2017/10/11 20:23
副題からクリスティー氏の「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」のオマージュと思ったら、まったく関係はなく、バークリー氏の「毒入りチョコレート事件」のオマージュでした(苦笑)。多重解決ものが苦手であること、青春ミステリーではあるが恋愛ものではないことなど、好みからかけ離れておりこの評価。

No.1046 5点 なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?- アガサ・クリスティー 2017/10/09 08:14
ダイイングメッセージだけで一冊の物語を書き上げてしまったことに感服。著者に対しては、どうしても本格ものを期待してしまいます。本作は冒険小説風、青春ミステリー風でした。

No.1045 7点 消えたタンカー- 西村京太郎 2017/09/26 19:22
「赤い帆船(クルーザー)」もスケールの大きな話でしたが、本作もそれに劣らないスケールの大きさでした。裏表紙に「インド洋上で原油を満載したマンモスタンカーが炎上沈没した。」とあり、どこが「タンカー消失」なの?などと思いながらの読書。ラスト、成る程と納得。中盤は、殺人鬼と警察との攻防が楽しめました。

No.1044 5点 闇からの声- イーデン・フィルポッツ 2017/09/22 17:07
東西ベスト(1986年版)74位。ほぼ100年前の作品ですが、オカルトチックにならない点に好感を持ちました。題名の「闇からの声」の謎は、あまり主題とは関係なく、あくまでも犯人を追いつめていく物語です。ただ、探偵の心理の吐露や、犯人の心理を読む言い回しが、ややクドイ。それによってスピード感が削がれてしまって勿体ない感じがした。なお、少年の声の真相は微笑ましいものでした。

No.1043 6点 パズル崩壊- 法月綸太郎 2017/09/15 13:05
ホテルの部屋で切断された女性の上半身と男性の下半身が腰の部分でつなぎ合わされた惨殺死体が発見された。好みのサイコものか?と期待するも単純なパズルものでした。1992年から1995年に発表された短篇(パズル、オカルト風、パロディ、その他)です。パズルものの内容が、徐々にパズルものではなくなってゆく、さも崩壊していくような順に並んでいます。やはり白眉は「カット・アウト」ですね。「燃え尽きた残像」を改題したものですが、旧題の方がマッチしていると思います。ポロック氏の抽象画「カット・アウト」と原爆写真が謎に絡むところが印象的な作品。

No.1042 6点 大いなる幻影- 戸川昌子 2017/09/11 10:10
東西ミステリーベスト100(1986年版)の77位。オムニバスに近い感じで、アパートの住人(老嬢となっているが、現在の感覚ではまだまだ若い女性)の秘密が語られる。その部分は、どちらかというとサスペンスより一般小説に近い感じがします。ミステリー的には、誘拐の真相一本の方がよかったのかな?という印象です。宗教家とそれに関わる○○のオチがあるのですが、かえってピントがボケてしまったような・・・。誘拐>○○、誘拐=○○、誘拐<○○、作者はどれなのかなと悩んでしまいました(苦笑)。

No.1041 8点 Wの悲劇- 夏樹静子 2017/09/09 13:08
東西ミステリーベスト100(1986年版)の75位。倒叙でありながら、いとも簡単に偽装工作が警察にバレてしまう。そんなことでは、先行きが不安になりますが・・・・・・。なるほど、裏があったのですね。このプロットには感心。民法第八百九十一条第二項は、素人なので知りませんでした。勉強になりました(笑)。

No.1040 8点 赤い帆船(クルーザー)- 西村京太郎 2017/09/05 13:58
十津川警部のデビュー作とのこと。松本清張氏の「火と汐」が出てきた辺りで、オリジナリティの観点から、かなり心が折れてしまいました。ところがどっこい、○○○○でした。この反転。かなりハイレベルなトリックには感心しました。もう一つのトリックもオリジナリティがあります。チョット危ういところもあるのですが、スケールが大きく、また発想もいい。なお、犯人像はこの人以外考えられないし、もしそれ以外の人物であれば、面白くもなんともない作品になってしまいます。よって倒叙式に近いものだと思います。時刻表トリックが苦手なので、トラベル・ミステリー以前の作品を何点か読んでみたい。

No.1039 6点 一本の鉛- 佐野洋 2017/08/31 19:11
東西ミステリーベスト100(1986年版)の55位。1959年の作品です。30代の人には、この題名の意味が判らないかもしれませんね。昔はこのような誤りがあったのかも?。今だったら大変なことに?!。題名、動機の隠蔽、犯人像に特徴がある作品でした。

No.1038 5点 ローズマリーの息子- アイラ・レヴィン 2017/08/28 17:21
「ローズマリーの赤ちゃん」(1967年)の30年後に発表された続編。前作でローズマリーは悪魔教団に呪いをかけられ昏睡状態となったのですが、27年ぶりに目を覚まします。当時6歳だった息子は33歳に。そして悪魔の子であるアンディは平和運動組織の指導者として全世界の人々から愛されていました。しかし、ローズマリーは、アンディに悪魔の血が半分流れていることが不安であり、またアンディが時々本性を現すことで徐々に疑心暗鬼になっていきます。やがて2000年の祭典(全世界同時にローソクを灯す)でクライマックスを迎えるのですが・・・。結構楽しめたのですが、ラストが残念です。

No.1037 7点 リリアンと悪党ども- トニー・ケンリック 2017/08/27 19:29
東西ミステリーベスト100(1986年版)の89位。あるトラブルで主人公バニーとエラとは天敵になった。しかし、孤児のリリアンと3人で大富豪の親子役を引き受ける羽目になる。バニーはエラを口説くがそっぽを向かれっぱなし。リリアンは9歳でタバコを吸うのである。こんな3人が大富豪の親子を演じられるのか?といったドタバタ喜劇です。後半は誘拐劇でバニーと誘拐犯と情報局の知恵比べのコンゲームになります。海外ものでは、中々笑いのツボに嵌まるものがないのですが、本作は笑えました。ただ、もう少しリリアンに活躍してほしかった気持ちはありますね。

No.1036 6点 壁-旅芝居殺人事件- 皆川博子 2017/08/20 21:59
裏表紙より~『芝居小屋桔梗座の最後の日、特別出演をした役者の立花が四綱渡りで落ち死んだ。そして奈落からは絞殺死体が発見される。じつは15年前の桔梗座でも、落下事件があり、奈落で殺人が起こり、役者が一人姿を消していた。小屋主の娘・秋子が時を隔てて起こった事件の真相に迫る。』~
第38回(昭和60年)日本推理作家協会賞作品。160頁の中編ですが、少し苦労しました。芝居用語、特に奈落の構造がいま一つ頭に入ってきませんでした(苦笑)。ラストのオチは「お初」かもしれません。推理小説としては初期の作品で、皆川ワールド(幻想的雰囲気)がまだ表現されていなかったですね。

No.1035 6点 真昼に別れるのはいや- 笹沢左保 2017/08/16 21:55
有栖川有栖氏のアリバイ講義で紹介された作品の最終回。「アリバイがない場合」のカテゴリに属する作例として挙げられています。どういうこと?と思いましたが、普通に第3者の証言によるアリバイがないということでした。アリバイに関しては、面白い試みではありますが、「うーん」とうなるほどではなかったですね。最初から犯人はこの人物しかいない状況なので倒叙に近い物語です。よって、犯人が言うところの「ある場所にいた」という「アリバイ崩し」と動機探しがメインでした。デビュー間もない作品で、著者曰く「本格味とロマンを融合させようと努力した」ということです。当時は本格味のある推理小説に恋愛要素を含ませることは、タブーとされていたとあり時代の変遷を感じさせられます。

No.1034 5点 津和野殺人事件- 内田康夫 2017/08/14 19:58
友人との会話で私が「ミステリーを読んでいる」というと、「誰の本をよんでいるの?、西村京太郎?内田康夫?」との質問。友人はミステリーは特に読んでいないのですが、やはりTVドラマ(十津川警部、浅見光彦シリーズ)の影響で両氏の名前が出てきたようです。ということで、まだ一冊も読んでいなかった内田康夫氏の作品。旅情ミステリーと銘打っているとおり、その雰囲気は良いと思います。津和野の歴史や、キリシタン弾圧の背景が物語に結びつき、よく溶け合っていました。ミステリー的には、犯人に関するプロットが好みでなく、そこが残念な点でした。

No.1033 4点 天井男の奇想 倒錯のオブジェ- 折原一 2017/08/11 10:54
同じような題名が多く紛らわしい。また改題も多いし・・・。てっきり読んでいるものと勘違いしてました。天井裏の男、一階の大家の老女、二階の暴力男から逃げている人妻の各視点で語られるのですが、遅々として話が進みません。繰り返しの表現が著者の特徴でもあるのですが、本作はサスペンス感がないため、かなりイライラ(苦笑)。叙述もスッキリ感がなかったので辛目の評価です。

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