蟷螂の斧さんの登録情報
平均点:6.00点 採点数:1052件

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採点傾向好きな作家

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No.1052 5点 怪奇探偵小説名作選〈4〉佐藤春夫集-夢を築く人々- 佐藤春夫 2017/11/13 15:48
裏表紙より~『谷崎潤一郎とともに探偵小説のジャンルも開拓し、のちに文壇の重鎮的存在となった佐藤春夫の、幻想美溢れる作品世界。初期の代表作「西班牙犬の家」、探偵小説の先駆けとなり谷崎が絶賛した「指紋」、新しい方法意識で小説世界の幅を広げた未来都市小説「のんしゃらん記録」の他「女人焚死」「女誡扇奇譚」など、幻想・耽美的作品を収録。また評論として「探偵小説評論」「探偵小説と芸術味」も収録。』~
探偵小説(的小説?)としては「指紋」「オカアサン」「「女人焚死」あたりか。「指紋」は1908年警視庁が指紋制度を採用、その10年後の作品です。当時としては新鮮な題材であったのかも。「オカアサン」(1926)は買い取ったインコの言葉だけから前の持ち主の生活を推理するもの。「九マイルは遠すぎる」のパターンを先取りしています。「女人焚死」は足を縛られた女性の焼死体が発見される。他殺か自殺かというもの。その他、全体的には幻想譚的な作品が多かった。ミステリーの歴史を知るには役立つと思います。次回は、江戸川乱歩氏の前の時代、明治から大正初期の作品集「文豪による探偵小説」を手にする予定。

No.1051 5点 ドクター・デスの遺産- 中山七里 2017/11/10 15:08
刑事犬養隼人シリーズの第4弾。臓器移植、子宮頸がんワクチン問題に続き、今回は安楽死問題。~警視庁に少年から「悪いお医者さんがうちに来てお父さんを殺した」との通報が入る。ドクター・デスという安楽死を生業とする人物の存在が・・・。~ミステリーとして「どんでん返し」はありますが、読後はミステリーより問題提起の方がウェイトが大きいとの印象。よってマイナス1ポイント。最近著者の作品は「社会派」が多い(苦笑)。

No.1050 6点 ねずみとり- アガサ・クリスティー 2017/10/30 20:48
裏表紙より~『若夫婦の山荘に、大雪をついて五人の泊り客、そして一人の刑事がやってきた。折しも、ラジオからは凄惨な殺人事件のニュースが流れはじめる。やがて、不気味なほどの緊張感がたかまり、舞台は暗転した!マザー・グースのしらべにのって展開する、スリリングな罠。演劇史上類をみないロングランを誇るミステリ劇。』~1幕、2幕とも同じ舞台で演じられます。こういうスチエーションがなぜか好みなんです。ある犯人像を著者が書かないわけがないと思っていたので、やっと出会った感じ(笑)。

No.1049 5点 死のロングウォーク- スティーヴン・キング 2017/10/23 11:46
ロングウォークという競技。ゴールはない。歩行速度が落ち、3回警告を受けると射殺されるというもの。そこには「死」だけがある。近未来のSFに近い設定です。ミステリーを読む立場からすると、少年たちは何故このようなゲームに参加するのか?、主宰者の大佐とはいったい何者か?といった謎に興味を持つはず。しかし、本書の解答は?・・・・・。死ぬことがわかっていて参加するのでクローン人間かな?と思いましたが違っていました(苦笑)。解説によると登場人物の心理描写やキャラクターの魅力がメインとのこと。なお、米澤穂信氏の「インシテミル」は本書を意識して書かれたとのコメントがあり、本書を手に取ってみました。

No.1048 5点 紳士同盟- 小林信彦 2017/10/17 18:26
(東西ミステリー1985版の45位)国産コン・ゲーム小説の嚆矢とのこと。ユーモアもあり楽しめました。オチがラストページに来たらもっと評価が上がったと思います。なお、薬師丸ひろ子さん主演で映画化されているとのことですが、小説の人物像とはまったくイメージが違います(苦笑)。

No.1047 4点 愚者のエンドロール- 米澤穂信 2017/10/11 20:23
副題からクリスティー氏の「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」のオマージュと思ったら、まったく関係はなく、バークリー氏の「毒入りチョコレート事件」のオマージュでした(苦笑)。多重解決ものが苦手であること、青春ミステリーではあるが恋愛ものではないことなど、好みからかけ離れておりこの評価。

No.1046 5点 なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?- アガサ・クリスティー 2017/10/09 08:14
ダイイングメッセージだけで一冊の物語を書き上げてしまったことに感服。著者に対しては、どうしても本格ものを期待してしまいます。本作は冒険小説風、青春ミステリー風でした。

No.1045 7点 消えたタンカー- 西村京太郎 2017/09/26 19:22
「赤い帆船(クルーザー)」もスケールの大きな話でしたが、本作もそれに劣らないスケールの大きさでした。裏表紙に「インド洋上で原油を満載したマンモスタンカーが炎上沈没した。」とあり、どこが「タンカー消失」なの?などと思いながらの読書。ラスト、成る程と納得。中盤は、殺人鬼と警察との攻防が楽しめました。

No.1044 5点 闇からの声- イーデン・フィルポッツ 2017/09/22 17:07
東西ベスト(1986年版)74位。ほぼ100年前の作品ですが、オカルトチックにならない点に好感を持ちました。題名の「闇からの声」の謎は、あまり主題とは関係なく、あくまでも犯人を追いつめていく物語です。ただ、探偵の心理の吐露や、犯人の心理を読む言い回しが、ややクドイ。それによってスピード感が削がれてしまって勿体ない感じがした。なお、少年の声の真相は微笑ましいものでした。

No.1043 6点 パズル崩壊- 法月綸太郎 2017/09/15 13:05
ホテルの部屋で切断された女性の上半身と男性の下半身が腰の部分でつなぎ合わされた惨殺死体が発見された。好みのサイコものか?と期待するも単純なパズルものでした。1992年から1995年に発表された短篇(パズル、オカルト風、パロディ、その他)です。パズルものの内容が、徐々にパズルものではなくなってゆく、さも崩壊していくような順に並んでいます。やはり白眉は「カット・アウト」ですね。「燃え尽きた残像」を改題したものですが、旧題の方がマッチしていると思います。ポロック氏の抽象画「カット・アウト」と原爆写真が謎に絡むところが印象的な作品。

No.1042 6点 大いなる幻影- 戸川昌子 2017/09/11 10:10
東西ミステリーベスト100(1986年版)の77位。オムニバスに近い感じで、アパートの住人(老嬢となっているが、現在の感覚ではまだまだ若い女性)の秘密が語られる。その部分は、どちらかというとサスペンスより一般小説に近い感じがします。ミステリー的には、誘拐の真相一本の方がよかったのかな?という印象です。宗教家とそれに関わる○○のオチがあるのですが、かえってピントがボケてしまったような・・・。誘拐>○○、誘拐=○○、誘拐<○○、作者はどれなのかなと悩んでしまいました(苦笑)。

No.1041 8点 Wの悲劇- 夏樹静子 2017/09/09 13:08
東西ミステリーベスト100(1986年版)の75位。倒叙でありながら、いとも簡単に偽装工作が警察にバレてしまう。そんなことでは、先行きが不安になりますが・・・・・・。なるほど、裏があったのですね。このプロットには感心。民法第八百九十一条第二項は、素人なので知りませんでした。勉強になりました(笑)。

No.1040 8点 赤い帆船(クルーザー)- 西村京太郎 2017/09/05 13:58
十津川警部のデビュー作とのこと。松本清張氏の「火と汐」が出てきた辺りで、オリジナリティの観点から、かなり心が折れてしまいました。ところがどっこい、○○○○でした。この反転。かなりハイレベルなトリックには感心しました。もう一つのトリックもオリジナリティがあります。チョット危ういところもあるのですが、スケールが大きく、また発想もいい。なお、犯人像はこの人以外考えられないし、もしそれ以外の人物であれば、面白くもなんともない作品になってしまいます。よって倒叙式に近いものだと思います。時刻表トリックが苦手なので、トラベル・ミステリー以前の作品を何点か読んでみたい。

No.1039 6点 一本の鉛- 佐野洋 2017/08/31 19:11
東西ミステリーベスト100(1986年版)の55位。1959年の作品です。30代の人には、この題名の意味が判らないかもしれませんね。昔はこのような誤りがあったのかも?。今だったら大変なことに?!。題名、動機の隠蔽、犯人像に特徴がある作品でした。

No.1038 5点 ローズマリーの息子- アイラ・レヴィン 2017/08/28 17:21
「ローズマリーの赤ちゃん」(1967年)の30年後に発表された続編。前作でローズマリーは悪魔教団に呪いをかけられ昏睡状態となったのですが、27年ぶりに目を覚まします。当時6歳だった息子は33歳に。そして悪魔の子であるアンディは平和運動組織の指導者として全世界の人々から愛されていました。しかし、ローズマリーは、アンディに悪魔の血が半分流れていることが不安であり、またアンディが時々本性を現すことで徐々に疑心暗鬼になっていきます。やがて2000年の祭典(全世界同時にローソクを灯す)でクライマックスを迎えるのですが・・・。結構楽しめたのですが、ラストが残念です。

No.1037 7点 リリアンと悪党ども- トニー・ケンリック 2017/08/27 19:29
東西ミステリーベスト100(1986年版)の89位。あるトラブルで主人公バニーとエラとは天敵になった。しかし、孤児のリリアンと3人で大富豪の親子役を引き受ける羽目になる。バニーはエラを口説くがそっぽを向かれっぱなし。リリアンは9歳でタバコを吸うのである。こんな3人が大富豪の親子を演じられるのか?といったドタバタ喜劇です。後半は誘拐劇でバニーと誘拐犯と情報局の知恵比べのコンゲームになります。海外ものでは、中々笑いのツボに嵌まるものがないのですが、本作は笑えました。ただ、もう少しリリアンに活躍してほしかった気持ちはありますね。

No.1036 6点 壁-旅芝居殺人事件- 皆川博子 2017/08/20 21:59
裏表紙より~『芝居小屋桔梗座の最後の日、特別出演をした役者の立花が四綱渡りで落ち死んだ。そして奈落からは絞殺死体が発見される。じつは15年前の桔梗座でも、落下事件があり、奈落で殺人が起こり、役者が一人姿を消していた。小屋主の娘・秋子が時を隔てて起こった事件の真相に迫る。』~
第38回(昭和60年)日本推理作家協会賞作品。160頁の中編ですが、少し苦労しました。芝居用語、特に奈落の構造がいま一つ頭に入ってきませんでした(苦笑)。ラストのオチは「お初」かもしれません。推理小説としては初期の作品で、皆川ワールド(幻想的雰囲気)がまだ表現されていなかったですね。

No.1035 6点 真昼に別れるのはいや- 笹沢左保 2017/08/16 21:55
有栖川有栖氏のアリバイ講義で紹介された作品の最終回。「アリバイがない場合」のカテゴリに属する作例として挙げられています。どういうこと?と思いましたが、普通に第3者の証言によるアリバイがないということでした。アリバイに関しては、面白い試みではありますが、「うーん」とうなるほどではなかったですね。最初から犯人はこの人物しかいない状況なので倒叙に近い物語です。よって、犯人が言うところの「ある場所にいた」という「アリバイ崩し」と動機探しがメインでした。デビュー間もない作品で、著者曰く「本格味とロマンを融合させようと努力した」ということです。当時は本格味のある推理小説に恋愛要素を含ませることは、タブーとされていたとあり時代の変遷を感じさせられます。

No.1034 5点 津和野殺人事件- 内田康夫 2017/08/14 19:58
友人との会話で私が「ミステリーを読んでいる」というと、「誰の本をよんでいるの?、西村京太郎?内田康夫?」との質問。友人はミステリーは特に読んでいないのですが、やはりTVドラマ(十津川警部、浅見光彦シリーズ)の影響で両氏の名前が出てきたようです。ということで、まだ一冊も読んでいなかった内田康夫氏の作品。旅情ミステリーと銘打っているとおり、その雰囲気は良いと思います。津和野の歴史や、キリシタン弾圧の背景が物語に結びつき、よく溶け合っていました。ミステリー的には、犯人に関するプロットが好みでなく、そこが残念な点でした。

No.1033 4点 天井男の奇想 倒錯のオブジェ- 折原一 2017/08/11 10:54
同じような題名が多く紛らわしい。また改題も多いし・・・。てっきり読んでいるものと勘違いしてました。天井裏の男、一階の大家の老女、二階の暴力男から逃げている人妻の各視点で語られるのですが、遅々として話が進みません。繰り返しの表現が著者の特徴でもあるのですが、本作はサスペンス感がないため、かなりイライラ(苦笑)。叙述もスッキリ感がなかったので辛目の評価です。

No.1032 4点 黒いアリバイ- ウィリアム・アイリッシュ 2017/08/06 13:31
邦題の「黒」シリーズは4作で、本作が未読でしたので手に取りました。しかし、あとがきによると原題でのBLACKものは6作あるとのこと。調べたら「喪服のランデヴー」と「恐怖の冥路」の原題がBLACKものでした。サスペンスものなので、真相は期待していませんでしたが、あまりにも予想通りで拍子抜け(苦笑)。本作は短編を寄せ集めたようで、味気なく物足りませんでした。何故かと考えたのですが、それは背景に恋愛が絡んでいなかったからかもしれません。

No.1031 8点 火の虚像- 笹沢左保 2017/08/04 13:12
有栖川有栖氏のアリバイ講義で紹介された作品。あまり読まれていない作品のようです。有栖川氏は当然読んでいるわけで、氏の読書量はどれだけのものなのか?と変な感心をしてしまいました。なお「炎の虚像」と改題されています。どちらかというと犯人はすぐ推測できるので、倒叙形式に近い作品ですね。よってアリバイ崩しが主体。テレビ業界の仕組みをうまく利用した殺人事件であると思います。トリックが解明され、成る程と思っていたところ、さらにもう一つのサプライズが用意されていました。何とこれが「善意」であるところが憎らしい。拾い物をしたという感じの佳作です。

No.1030 7点 暗い傾斜- 笹沢左保 2017/07/30 10:32
有栖川有栖氏のアリバイ講義(「マジックミラー」)で紹介された作品。トリック自体は先例がありますが、それをアリバイトリックに応用したのは初めてかもしれません。高知の室戸岬で事件が起き、一方東京でも同じ日に事件が起きる。この場合、実は共犯者がいたでは面白くとも何ともないので、読者は犯人の移動方法を考えるのですが・・・といった作品です。笹沢左保氏の数作品が、前記のアリバイ講義で紹介されていますので続けて読んでみるつもりです。

No.1029 4点 闇のよぶ声- 遠藤周作 2017/07/23 13:38
謳い文句に「心理的探偵法を用いた著者唯一の推理小説」とあります。探偵側からの心理的探偵法なるものは、神経科医による予知夢を利用したもの。これは非科学的であり、導入部分で読者に対し不信感を持たせてしまい、失敗であったかもしれません。まあ、実は裏はあるのですが・・・。犯人側からは完全犯罪を狙ったもので、そ自体は成功しています。こちらも心理的な操作でのトリックですが、先例はありましたね。本作での疑問点は被害者の立場です。クリスティ氏の「ABC殺人事件」での被害者ABはそれ自体がトリックなので理解できるのですが、本作における被害者4人のうち3人については、必然性の面でどうも理解することができませんでした。また、真相の判明が犯人の告白によるもので、推理小説としては残念な点です。以上、ミステリー要素だけに絞った書評でした。

No.1028 5点 セイレーンの懺悔- 中山七里 2017/07/19 18:38
入社2年目の女性TVレポーターの成長物語でもあり、TV報道の在り方について批判的立場での物語でもありました。全体的にもっと毒々しさがあっても良かったのかなとの印象です。ラストの宮藤刑事の一言に変な感動をしてしまいました(苦笑)。

No.1027 5点 カササギの計略- 才羽楽 2017/07/14 12:44
恋愛小説としては、とても楽しめました。ミステリーとして評価すると、まあ普通かな~といったところ。「ホワイト」より「ブラック」の方が大好物なもんで・・・。

No.1026 5点 アポロンの嘲笑- 中山七里 2017/07/08 19:11
本作の後に発表された「月光スティグマ」も阪神淡路大震災と東日本大震災を扱っており、社会派的要素が強い作品でした。「アポロン(太陽神)」、「月」と続いたわけで、次は「星」?と思っていたら、今月発売される「ネメシスの使者」が「仮説上の恒星」という意味もあるみたい。ギリシャ神話の「女神」が正解みたいですが・・・。本作は逃亡劇を中心とした社会派人間ドラマといったところ。その面では筆力で読ませてくれ高評価です。しかしミステリーの面ではやや物足りません。著者の専売特許「どんでん返し」を期待し過ぎたか?(苦笑)。

No.1025 5点 テミスの剣- 中山七里 2017/07/04 13:46
あらすじが物語全体の半分まで紹介されています。これは読むのに辛い。これからどうなるのか?の楽しみを奪われてしまう・・・。最近の著者の作品は社会派よりのミステリーが多いような気がします。本作も冤罪がらみ。後半、物語が急展開するのですが、既視感がありあり(苦笑)。他作品に比べインパクトは弱かったかも。

No.1024 6点 ヒポクラテスの誓い- 中山七里 2017/07/01 14:25
内容紹介では短篇とは記載されておらず、途中まで読んで短編と知る(苦笑)。一篇毎はそれほどのオチもなく、凍死は○○であった、交通事故は○○であったと続く。それだけかい!?・・・。しかし、ラストは連作短編ということで、うまく纏まっていました。主人公の真琴と古手川刑事との絡みがあるのですが、さてどうなるのか?。続編の「ヒポクラテスの憂鬱」(未読)でもコンビを組んでいるようです。著者のインタヴューでは「古手川は女性に対して完全に不信感を抱いているタイプ」としているので、先が楽しみです。

No.1023 7点 神様の裏の顔- 藤崎翔 2017/06/24 17:49
最後の一行的な終わり方であれば、もっとインパクトがあり評価はアップしたと思います。ラストは一件一件丁寧な説明ではあるのですが、一件のみで、あとは読者の想像にお任せでもよかったのかも?。神様と呼ばれた元教師もアッチ系は人間的でよかった(笑)。適度のユーモアがあり楽しめました。

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