蟷螂の斧さんの登録情報
平均点:6.00点 採点数:1066件

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採点傾向好きな作家

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No.1006 6点 秘密の友人- アンドリュー・クラヴァン 2017/03/19 16:35
法月綸太郎氏の「ミステリー通になるための100冊(海外編)」で紹介された一冊で、我孫子武丸氏の推薦本とのこと。精神科医のコンラッドは殺人罪で起訴された少女エリザベスを看ることになる。彼女は二重人格で「秘密の友人」が現れるという。この辺まではエログロ描写のあるサイコキラーものか?と思いきや、途中から物語は全く違う展開となって行きます。タイムリミット系エンターテイメントと言っていいのでは。犯人は犯行を否認するのですが、ある人物が言う印象的な言葉でラストを迎えます。

No.1005 4点 夜は千の目を持つ- ウィリアム・アイリッシュ 2017/03/14 20:07
法月綸太郎氏の「ミステリー通になるための100冊(海外編)」で紹介された一冊。いまなら「ホラー」に分類されるかも・・・とありましたが、まったくその通りでした(苦笑)。タイムリミットものの著者らしさは垣間見れたのですが、嗜好と一致せず、この評価。

No.1004 6点 そして医師も死す- D・M・ディヴァイン 2017/03/07 16:35
本作のトリックは、パトリック・クエンティン氏のパズルシリーズで一度お目にかかって以来です。結構気に入っているプロットの一つです。主人公、婚約者、未亡人の色恋沙汰に気を取られ過ぎてしまいました。それが作者の罠だったのか?(笑)。

No.1003 5点 システィーナ・スカル- 柄刀一 2017/03/03 09:44
表題作~ミケランジェロの「最後の審判」を見てショック死した老婦人。その老婦人が持っていた人骨から過去の首切り事件の謎を追うというものです。首切りの根拠は、今一つ説得力がないような・・・。また、ショック死の原因は「最後の審判」が○○○に見えるというもの(新説?)ですが、私にはこじつけのようにしか思えませんでした(苦笑)。

No.1002 6点 複雑な殺人芸術- 評論・エッセイ 2017/02/21 22:32
1997年から2006年の評論集。「ミステリー通になるための100冊(海外編)」1ミステリー幼年期、2探偵小説の黄金時代、3アフター・ザ・ゴールドラッシュ、4アメリカ探偵小説の自立、5フレンチはお好き?、6あいつの名はポリスマン、7スパイ・ストーリー、8追憶のネオ・ハードボイルド、9一発屋(?)たち、10ミステリーは進化する?と各項目10冊程度の作品と2、3行の簡単な紹介文。気になったのは「夜は千の目を持つ」ウィリアム・アイリッシュ~今ならホラーに分類されるかも。「殺人四重奏」ミシェル・ルブラン~女優殺しの四段返しの真相をロンド形式で描いた。「秘密の友人」アンドリュー・クラヴァン~我孫子武丸が絶賛しているのでリストに追加。の3冊です。
続いて14作品の評論。本書を手に取ったのは、「わが子は殺人者」パトリック・クェンティンの解説文を読みたいがためのものでした(笑)。「騙し絵の檻」ジル・マゴーンは著者と森英俊氏が絶賛していますが、さてどうでしょうかといったところ。
次の「初期クイーン論」は難解でした。探偵小説を数学定理に当てはめ説明していると思うのですが、なんとなくこじつけのような気もします。いわゆる後期クイーン的問題「「作中で探偵が最終的に提示した解決が、本当に真の解決かどうか作中では証明できないこと」も、そもそも証明してくれなくても読者は困らないのでは?。読後感は、評論家気質(多読で良く分析している)のほうが作家気質を上回っているような気がしました。お気に入りの作家の1人なので創作活動(本格長篇)で頑張ってもらいたい。

No.1001 5点 赤い橋の殺人- シャルル・バルバラ 2017/02/19 17:27
裏表紙より~『19世紀中葉のパリ。急に金回りがよくなり、かつての貧しい生活から一転して、社交界の中心人物となったクレマン。無神論者としての信条を捨てたかのように、著名人との交友を楽しんでいた。だが、ある過去の殺人事件の真相が自宅のサロンで語られると、異様な動揺を示し始める。』~

1855年の作品で、「罪と罰」(1866)への影響があった作品かも?ということで拝読。共通点は主人公の思想が似ていること、貧しさからの殺人があること、そして苦悩といったところです。まあ比べてもあまり意味はない?。200Pの中編ですが主人公の幻想や苦悩は結構濃いめに描かれていました。本作や、初のミステリー長篇といわれる「ルルージュ事件」(1866)がフランス生まれであることが興味深かった。

No.1000 8点 罪と罰- フョードル・ドストエフスキー 2017/02/14 17:28
アメリカ探偵作家クラブが選んだミステリBEST100(1995)の第24位。初の長編ミステリーといわれる「ルルージュ事件」と同じ1866年の発表です。いやはや、かなりストレスがたまる読書となりました。第一点は登場人物表がないのでよくわからない。さらに主人公「ラスコーリニコフ」が「ロジオン・ロマーヌイチ」になったり「ロージャ」になったり(笑)。第二点は一人一人の会話が非常に長い。ロシア人はおしゃべりなのかな?。ミステリー要素の観点からは、予審判事ポルフィーリィとのやり取りが読みどころでしたね。まあ刑事コロンボよりも得体が知れず、ねちっこいかもしれません。


(ネタバレ)純文学的な意味合いは、さておき、動機について裁判では「病的な偏執狂の発作」と結論づけています。それが妥当なのかもしれません。あと、印象に残ったのは主人公のソーニャへの告白で「自分のために、自分一人だけのために殺そうと思ったんだ。」「婆さんでなく自分を殺したんだ」に対し、ソーニャの言葉「殺す権利があるの?」でした。

No.999 6点 ポアロのクリスマス- アガサ・クリスティー 2017/02/04 18:06
裏表紙より~『聖夜に惨劇は起きた!一族が再会した富豪の屋敷で、偏屈な老当主リーの血みどろの死体が発見される。部屋のドアは中から施錠され、窓も閉ざされているのに、犯人はどうやって侵入したのか?休暇返上で捜査にあたるポアロは被害者の性格に事件の鍵が隠されていると考えるが…』~

著者にとっては珍しい密室物!。メインはやはり例のごとく意外な犯人像ですかね。結構楽しめたのですが、今一歩高評価にできなかった点は、ポアロの心理的何とか。これは駄目とは言いませんが、まったく面白くない(笑)。あと、怪しそうで怪しくないとか、怪しそうではないがなんとなく気になるとか、著者の作品では必ず感じることができるのですが、本作にはそれがなかった。読者はあるイメージを植え付けられるのですが、それがミスディレクションとして機能しなかった。悪く言えば嘘をつかれた感じ。伏線はたくさんあるのですが、前記と反作用を起こしてしまい驚きに繋がらなかったということです。残念。

No.998 4点 鬼警部アイアンサイド- ジム・トンプスン 2017/01/28 12:21
裏表紙より~『何者かが放った一発の銃弾がサンフランシスコ市警察の敏腕刑事ロバート・アイアンサイドから下半身の自由を奪ってしまった。だがその手腕を見込んだ警察は、彼を顧問として迎え、手足となる三人の部下を与える。車椅子を駆り、卑劣な犯罪との闘いの日々は続く…謎めいた脅迫事件、有力者の息子が起こした轢き逃げ事件、そしてアイアンサイドの部下マークが関わる傷害致死事件。鬼警部を窮地に追いこむ事件の連続、その背後でほくそ笑む黒幕とは?』~

謳い文句にノワールの巨匠が人気TVシリーズのオリジナル・ストーリーを書き下ろしたとありますがイマイチでしたね。アイアンサイドの「善」を前面に出したため、著者の特徴である「悪」が引っ込んでしまった感じ。プロット、キャラクターもいま一歩といったところ。動機、犯行方法もすっきりしない。

No.997 7点 江戸川乱歩傑作選- 江戸川乱歩 2017/01/22 21:40
「二銭銅貨」(評価5)「D坂の殺人事件」(評価5)「心理試験」(評価6)
以上3作品は書評済。
「二廃人」(評価8)湯治場で出会った二人の老人。意気投合し過去の犯罪を告白する。意外な結末に哀愁感が漂う作品。
「赤い部屋」(評価7)99人を間接的に殺害してきた男。さて100人目は?。現在ではユーモアミステリーに分類されるかも。
「屋根裏の散歩者」(評価6)「陰獣」の原点?。でもエロチックではない。明智小五郎が禁じ手を(笑)。
「人間椅子」(評価7)醜い貧乏な職人が豪勢な椅子を製作しホテルに納める。その椅子の中に男は潜む。やがてその椅子は女性作家のもとへ。
「鏡地獄」(評価4)鏡に狂った男の物語。
「芋虫」(評価8)読者を選ぶ作品。傷痍軍人を夫に持った妻の物語。この時代乱歩氏にしか書けなかった作品かも。
バラエティに富んだ作品集でした。

No.996 7点 天国は遠すぎる- 土屋隆夫 2017/01/17 10:40
裏表紙より~『自殺した若い娘砂上彩子の遺書には、死を誘う歌としてジャーナリズムを賑わせる「天国は遠すぎる」の歌詞が記されていた。翌日、県庁の課長深見浩一が失踪、絞殺体で発見された。深見は土木疑獄の中心人物。容疑はアルプス建設工業社長尾台久四郎に向けられたが、尾台には完壁なアリバイが。この3人を結ぶ線はあるのか?』~

1959年の作品なので、本邦でのアリバイトリックものとしては結構初期の作品群になるのかも?。非常に丁寧に書かれており好感が持てました。2件目のトリックは、うまい組み合わせで非常に新鮮に感じられました。当然見抜くことはできませんでしたが(笑)。著者の作品はこれで7作目となりますが、今のところ外れはないです。

No.995 6点 こわされた少年- D・M・ディヴァイン 2017/01/13 13:25
裏表紙より~『霧の濃い夜、16歳のイアンは家を出た。優秀な生徒だった彼は、ある出来事を境に不良仲間に入り、急に金回りが良くなり、挙げ句の果ての出奔だった。姉は単なる家出と考えていたが警察に。ニコルソン警部と姉の捜査から家族の秘密・不良仲間との関係・学校での出来事・轢き逃げ事故など様々な手がかりが出てくるが。彼に何が起こったのか、生死は…。そして姉が襲撃される。』~

警部ニコルソンと少年の姉アイリーンの視点で交互に語られます。前半は事件も起こらず、捜査状況や家族関係が描かれるだけなので、やや緊迫感に欠ける印象です。後半、アイリーンが襲われるあたりから盛り上がってきます。本作はミスディレクションをメインにした作品という感じを受けました。

No.994 7点 私家版- ジャン・ジャック・フィシュテル 2017/01/05 10:56
裏表紙より~『友人ニコラ・ファブリの新作。それが彼をフランスの第一級作家に押し上げることを私は読み始めてすぐに確信した。以前の作品に比べ、テーマは新鮮で感動的、文体は力強く活力がみなぎっている。激しい憎悪の奔流に溺れながら、この小説の成功を復讐の成就のために利用しようと私は決意した。本が凶器となる犯罪。もちろん、物理的にではない。その存在こそが凶器となるのだ…。』~

前半はミステリー的な要素はほとんどありません。「あらすじ」を読んでいなければ普通の小説のようです。後半になって、倒叙ものとしてミステリーらしくなります。本作については、アイデアが秀逸であると思い高評価としました。実際にあった事件にヒントを得たようですが、その事件から逆転の発想へとつなげるところが優れていると思います。

No.993 4点 死者を起こせ- フレッド・ヴァルガス 2017/01/03 13:28
裏表紙より~『愛称マルコ、マタイ、ルカの、それぞれ専門の異なる若く個性的な歴史学者と元刑事が、ともに暮らすパリのボロ館。その隣家に住む引退したオペラ歌手の婦人が怯えていた。ある朝突然、見知らぬ木が庭に植えられていたというのだ。ボロ館の四人がその木の下を掘るが何も出ない。そして婦人は失踪した。いったい何が起こったのか?気鋭の女流が贈る仏ミステリ批評家賞、ル・マン市ミステリ大賞受賞の傑作。』~
木が庭に植えられたという謎で引っ張っていきますが、ミステリー的には弱いかなといった感じです。ダイイングメッセージも出てきますがフランス語を知らないと無理!!!(笑)。2014年Twitter企画「フランスミステリベスト100」の7位にランクインした作品。ミステリー部分より4人のキャラクターや生活ぶりなどのユーモア部分が高評価の要因なのかもしれません。

No.992 5点 炎の背景- 天藤真 2016/12/27 09:14
「BOOK」データベースより~『新宿歌舞伎町で酔いつぶれた「おっぺ」こと小川兵介は、見馴れぬ場所で目を覚ました。傍らには初対面の通称ピンクルと、もうひとり恰幅のいい中年男。何故かしら男の脇腹には深々とナイフが刺さり、とうの昔に冥途へいらしたご様子だ。山荘の屋根裏に閉じ込められている状況下、前夜の記憶を手繰りラジオのニュースを聴くに及んで、抜き差しならない罠に落ちたのだと悟るおっぺんとピンクル。突如爆発した山荘を命からがら脱出した二人は、度重なる危難を智恵と勇気と運の強さで凌ぎながら、事件の真相に迫ろうとするが…。』~
若い男女の逃避行。著者の作品の特徴であるユーモアは、ややおとなし目でした。もう少しドタバタ調でもよかったのではと思います。二人は性に関し、お互いトラウマを持っており、その点が副主題(青春ミステリー)になっています。「ピンクル」が水死しそうになったあと、「おっぺ」がマッサージする場面があるのですが、非常に微笑ましいものでした。真相やラストについては爽快感不足か?。

No.991 8点 恐怖の誕生パーティー- ウィリアム・カッツ 2016/12/23 14:19
事前情報(読むきっかけ)はクリスティ氏のある短篇がモチーフであるらしいとのことだけでした。何も知らず読んだ結果、それが大正解!!。読後はコーネル・ウールリッチ氏の作品(1948)を思い起こしました。本サイトでは本作の書評1件のみでしたが、読書Mではまあまあの数の書評が載っています。結構ネタバレ気味の内容が多いので先に読まなく良かった(ホッ)。著者の作品の翻訳は3~4冊程度みたいです。高評価の理由は、心理サスペンスもので登場人物が少なく読みやすいことと、ラストがドンピシャと壺にハマったということです。

No.990 5点 肖像画(ポートレイト)- 依井貴裕 2016/12/17 21:14
著者の文章は、ややとっつきにくいところがあり相性が良くない。3人称でありながら主語がない文章など。殺人事件が起こったあと、一人が行方不明、一人は部屋に閉じこもり顔を見せない。そのような状況で、警察が来ても「開かずの間」を開けないという不自然さ。開けると物語が成立しないのかもしれないが。また焼死体が部屋にあるにも拘わらず臭わないなどは興ざめです。まあ、ミスリードや伏線の回収などは標準以上であるとは思います。

No.989 5点 死の贈物- パトリシア・モイーズ 2016/12/15 09:15
裏表紙より~(略)『クリスタル未亡人の誕生日には、例年外国人に嫁いだ、三人の娘が集うのが習いであった。スシス人医師に嫁いだ長女ブリムローズはバースデーケーキを、オランダ人園芸家に嫁いだ次女バイオレットは真紅のバラを、アメリカ人大富豪に嫁いだ三女ダフォディルはシャンパンをもって、ドーバー海峡を渡ってくるのだ。主任警視ヘンリ・ティベットにしてみれば、今回の特別任務~被害妄想にかかった老未亡人のおもり役などは心外であった。しかしパーティーの席では毒見役をかって出た。未亡人はケーキを食べ、シャンパンを飲み、バラの香りをかぎ・・・次の瞬間、未亡人は大きくあえぎ、床に倒れたのだ!殺人は行われた。予知された殺人を許し、苦悩するヘンリは、ヨーロッパを舞台に執念の調査を開始した』~

メインはハウダニットになりますが、それは非常に特殊なもので専門家以外の読者が解くことは不可能でしょう。フーダニットについては、前半部分は誰もが怪しくないという筋書であり、クリスティ氏の逆バージョンのような気がします。従って、やや盛り上がりやメリハリにかけるきらいがあります。推理というより、ヘンリ主任警視の調査が主体の物語であると思いました。なお、「著者あとがき」は完全にネタバレしていますので、絶対先に読まないよう注意が必要です。

No.988 7点 恩讐の鎮魂曲- 中山七里 2016/12/09 10:50
前作で御子柴弁護士の過去が判明した結果、「死体配達人」と揶揄され仕事も激減している。そんな中での少年院時代の恩師の殺人事件。この被告人である恩師が一筋縄ではいかない人物であった。リーガル的なテーマは「緊急避難」と耳慣れないものです。緊急避難の寓話「カルネアデスの板」は、船が転覆し海に投げ出された男が板にしがみついた。そこに別の男がしがみつこうとしたが、板は二人の重みには耐えられそうもなく、男はあとから来た男を突き飛ばし水死させた。殺人罪で裁判にかけられたが無罪となったというもの。まだ国内では殺人での判例はない?。まあ、本作の主題はやはりシリーズを通しての「贖罪」でしたね。今回は結構御子柴弁護士の内面に迫ったものが描かれていました。事務員洋子がチョイ役でかなり登場したので、次作は洋子との絡みがあるのかどうか期待するところ大(笑)。

No.987 8点 今はもうない- 森博嗣 2016/12/07 13:00
作中作の主人公・笹木の西之園嬢に対する恋愛物語が主体であり、密室事件はおまけのようなもの。どんくさい笹木がメインで頭脳明晰な犀川の出番が少ないことが残念という意見もありそうですが、私的にはこちらの展開の方が楽しめました。応援した笹木が頑張ってくれました!(笑)。シリーズでは、今のところ「すべてがFになる」が1位で「本作」が2位ですね。

No.986 4点 残酷な夜- ジム・トンプスン 2016/12/02 18:34
裏表紙より~『身長5フィート、肺病病みの殺し屋リトル・ビガーは、近く開かれる裁判の重要証人の口を封じるため、ニューヨーク州の小さな田舎町にやって来た。真面目な学生を装って標的の家に下宿した彼は、美しいが自堕落な妻を誘惑、下宿で働く片脚の女や世話好きの老人など、周囲の人間を巧みに利用しながら着々と暗殺計画を進めていく。しかし、冷徹なプロの殺人者であるビガーにも予想もつかなかった展開が彼を待ち受けていた…。全篇を覆いつくす暴力と死の暗い影、歪んだ世界の歪んだ愛、そして戦慄のクライマックス。魂の暗黒を描き出すパルプ・ノワールの鬼才ジム・トンプスンの埋もれた傑作。』~
「サヴェッジ・ナイト」翔泳社版で読みました。主人公は殺し屋であるのですが、学校に通いバイトもするというもの。この辺は笑えるのですが・・・。標的をどうやって殺害するのか?といったサスペンスものではありません。どちらかといえば、殺し屋の内面を描いた作品といえるのかも。ラストもあまりピンと来なかった。残念です。

No.985 7点 世界短編傑作集3- アンソロジー(国内編集者) 2016/11/30 21:53
「キプロスの蜂」アントニー・ウイン~(7点)車中で女性が死亡。猛毒のハチに刺されたあとが見つかる。発表は1925年で、当時ではかなりショックのあるトリックであったと思う。
「堕天使の冒険」パーシヴァル・ワイルド~(6点)あるクラブ。ブリッジで勝ちすぎるメンバーに疑惑を抱いた主人公。彼はいんちきを暴くが逆襲にあってしまう。実話に基づくものらしい。トリックよりストーリーが楽しめた。
「茶の葉」エドガー・ジェプスン& ロバート・ユーステス~(7点)トルコ風呂で男の刺殺体が発見された。直前、一人の男が風呂から上がり、他には誰もいなかった。そして兇器も発見されず。本作が有名なトリックの元ネタだったとは・・・。
「偶然の審判」アントニイ・バークリー~(9点)Aにチョコレートの試作品が届く。偶然居合わせたBは不要であれば欲しいという。Bは妻Cと賭けをして負けたのでチョコレートをプレゼントすることになっていた。「毒入りチョコレート」の元ネタ。登場人物が少ないのにどんでん返しがある。単純で素晴らしい。長編「毒入りチョコレート」は多重解決がメインとなり、本トリックがかすんでしまっている印象。長編は、多重解決(どうでもいい推論)アレルギーに陥った作品(苦笑)。
「密室の行者」ロナルド・ノックス~(8点)修行者が密室(体育館)の中のベッドの上で餓死。周りには食料があったのに。後発の小説で本作の名はよく目にしていたが、内容は知らなかった。ビックリ仰天。
「イギリス製濾過器」C・E・ベチョファー・ロバーツ~(4点)教授が密室(窓は開いている)で濾過器に入った毒で死亡。これがトリック?というレベル。
「ボーダー・ライン事件」マージェリー・アリンガム~(5点)チンピラが射殺される。死体の左右には夜警がいた。よって犯人は逃走できない。犯人は近くのカフェにいたが、そこからは射殺することはできない。どちらかというと脱力系。
「二壜のソース」ロード・ダンセイニ~(7点)男と一緒にいた少女が行方不明になった。男は家から外出することもなく、毎日薪をつくっているだけ。ダール氏(後発)の作品集を先に読んでいるため、「奇妙な味」に免疫ができてしまっている。よって驚きがなかったことが残念。
「夜鶯荘」アガサ・クリスティー~(6点)アクリスはディックに好意、しかしジェラルドと結婚。彼女は夢でディックがジェラルドを殺す夢を見る。著者らしいサスペンス。
「完全犯罪」ベン・レイ・レドマン~(6点)完全探偵(すべての犯罪を暴ける)と自称するが、実は最近の事件で犯人を誤って逮捕してしまったか?。屁理屈?論理的?なところが面白い。

No.984 6点 警官の紋章- 佐々木譲 2016/11/25 15:15
「笑う警官」「警察庁から来た男」に続く、北海道警察シリーズ第三弾。本作で警察の組織がらみの犯罪に決着がついたと言っていいのでしょう。3部作で終了かと思って本作を手に取ったのですが、その後もシリーズ化されていました。プロット勝負の警察小説と捉えているので、4作以降どのような展開になるのか興味をひかれます。また佐伯警部補と小島百合の関係がどうなっていくのか?も(笑)

No.983 6点 安達ヶ原の鬼密室- 歌野晶午 2016/11/20 11:11
著者の特徴といえば、バラエティーに富む作品を提供してくれるということでしょうか。本作では、それを一冊の中に閉じ込めたといった印象を受けました。そして、読み終えるとある共通点が”浮かび上がる”といった洒落た作品になっていると思います。表題作は長編で読んでみたい気もしましたが、やはりトリックを隠す点では難しいのかもしれません。如何せん「痕跡」を隠しとおすことには、かなり策を労することになるでしょう。作中作の「密室の行水者」の題名について。著者は小学生の頃読んだロナルド・ノックス氏の「密室の行者」(未読)に衝撃を受けたそうです。そこからのヒントでしょうか?。

No.982 4点 ホット・ロック- ドナルド・E・ウェストレイク 2016/11/12 18:20
笑いのツボが違っているため、あまり楽しめなかった。二転三転くらいが私にとって限度でした。

No.981 7点 傷だらけのカミーユ- ピエール・ルメートル 2016/11/08 22:08
裏表紙より~「カミーユ警部の恋人が強盗に襲われ、瀕死の重傷を負った。一命をとりとめた彼女(アンヌ)を執拗に狙う犯人。もう二度と愛する者を失いたくない。カミーユは彼女との関係を隠し、残忍な強盗の正体を追う。『悲しみのイレーヌ』『その女アレックス』の三部作完結編。イギリス推理作家協会賞受賞、痛みと悲しみの傑作ミステリ。」~
出だしから圧倒される展開でした。プロット勝負で警察小説の王道を行くような感じです。ついつい感情移入させられてしまいました。これがシリーズ最終作となり残念です。

No.980 6点 ロアルド・ダールの幽霊物語- アンソロジー(海外編集者) 2016/11/08 22:04
「BOOK」データベースより~「幽霊物語の目的はぞっとさせることにある。読者をぞくぞくさせ、不安な気持にさせなければならない―あるTVシリーズの企画のため、原作となる幽霊物語を選定することになったロアルド・ダールは、まずこのような基準を設けた。そして、この基準を厳格に守りながら、古今の作品を読みついでいった。諸々の事情で企画そのものは中止となったが、ダールの手もとには、14篇の宝石が残った。有名無名を問わず、本物の幽霊物語だけが放つ妖しい光。闇の向こうの恐怖が、あなたの安眠をさまたげずにはおかない。」~
ベストは「W・S」~絵葉書(差出人W・S)が、ある作家のもとへ届く。内容は作家を誉めているようでもあり、逆に悪意があるようにもとれる。絵葉書の発信場所が徐々に作家の住まいに近づいてくる。不安になった作家は警察に電話する。そして警官がやって来て氏名を名乗るのだが・・・。幽霊物語ということで、各作品の結末が予想されてしまう点がもったいない。前提なしで読んだら、結構インパクトのある作品集であると思います。なお、ダール氏自身の作品はありません。「女主人」(「キス・キス」に収録)は当初、幽霊物語だったようですが、その秘訣をつかんでいなかった為、結末を現在のように変えたとのことです。

No.979 6点 幻の女- 五木寛之 2016/11/08 22:00
(再読)著者の作品「蒼ざめた馬を見よ」が登録されたのを機会に本作もということで・・・。表題作「幻の女」は女性の生理をメインにした珍しい作品です。デパートの売り上げを伸ばすため、生理休暇を1ヶ月停止するというもの。女性陣は当然反対するのですが、工作に負けてしまい、ある条件を飲むことになります。そこで主人公の女性が取った行動とは・・・。この作品の表紙はムンクの「叫び」です。作中のラストでも、ムンクの「叫び」を夕焼けの情景となぞらえて効果をあげていると思いました。なお、大河小説「青春の門」の続編を、新年より23年ぶりに再開するとのことです。84才お元気ですね。

No.978 6点 蒼ざめた馬を見よ- 五木寛之 2016/11/08 21:59
(再読)直木賞受賞作品で、冷戦時代の賜物といったような感じを受けます。短篇なので若干物足りなさはありますが、筋は謀略物で今読んでも面白いですね。主人公が壁に飾ってある額をずらし、隣の部屋にいる重要人物を覗き見る場面があります。その額の絵は、ムンクの絵としか書いてありませんが、次の展開から予想すると、題名はあの有名な「叫び」ということになるでしょう。著者はムンクが好きで他の著書の表紙にも使っています。そんなことで「叫び」が表紙の「幻の女」を次の書評にしたいと思います。

No.977 4点 拾った女- チャールズ・ウィルフォード 2016/11/08 21:54
ノワールに分類されるようですが、どこがノワール的なのかよく分かりません。解説者の杉江松恋氏は「これは、ある男女のやりきれない恋愛物語である。」としていますが、どこが恋愛?(単なる出会いでは?)この辺もよく理解できませんでした。後半の違和感が伏線になっているとのことですが、「ああ、そうなんですか」という程度のものです。ミステリー的な伏線とニュアンスが違う気がします。結局のところ、掴みどころのない小説ということになるのでしょうか。

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