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平均点:6.46点 採点数:149件

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採点傾向好きな作家

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No.149 6点 世界の終わり、あるいは始まり- 歌野晶午 2019/01/18 20:05
 ネタバレをしています。

 これまでに読んだことのないタイプの小説でした。いろいろな展開や、意外な結末があり、濃い作品でした。はっきりとはしないラストだったのですが、主人公の想像によって色んな結末が見れたため、これもありかと思います。
 同作者の、"密室殺人ゲーム"シリーズとは、ある意味真逆な作品でした(私の勝手な感想)。

 以下、苦手だった部分。
 主人公が想像をめぐらす前の部分が、やや長いと思いました。
 中盤まで、読むのに苦労しました。いろいろなことを想ってしまい、読むのが苦痛でした。

No.148 6点 眼球堂の殺人~The Book~- 周木律 2019/01/16 18:27
 ネタバレをしています。

 
 非常に奇妙な建造物の中で閉じ込められた男女。連続殺人。非常にわくわくしながら読みました。さらに、ラストには叙述トリックありのどんでん返し、意外な結末があり、満足しました。
 ちなみに、自分は、眼球堂に水を入れて移動すること、盲点の柱的なものだけなんとな~く察しました。他のことは予想できませんでした…;; 
 善知鳥神は造道静香かと思ってたり(笑) 驫木は警戒されるので被害者をコントロールできない→協力者→回収していない善知鳥神の存在…まで予想しましたが、深浦は造道を疑っていたんでしたね…もうすこし考えるべきでした(叙述トリックの難易度が高いため、藍子=神までたどり着くのは、自分ではやはり無理か(笑))
 "神"という名の人物を出すことで、神の視点や、普通のゴッドの意味と混同させている点もうまいと思いました。

 以下、好みではなかった部分
 驫木のはやにえまで、退屈でした。私が、頭パープリンのため、インテリっぽい難しい会話が理解できず、150pぐらいまで苦痛でした;;
 各分野の天才達が集まった設定が、あまり活きてないような。好みの問題かもしれませんが。天才達が己の分野の知識を用いて、驫木のはやにえ問題をそれぞれの視点で推理していく…という展開を期待していました。(まあ、あまり難しい話になると、それはそれで私の頭が追いつきませんが)
 叙述トリックとしては目新しいものではないとはいえ、もうすこし作中作を匂わせ(ヒントなど)ないと、難易度が高いように思えました。

 奇妙な建物でのクローズドサークルはやはりワクワクするもので、作風も本格色が強い。シリーズ化されているとのことなので、次も楽しみです!

No.147 6点 そして名探偵は生まれた- 歌野晶午 2019/01/13 14:45
 ネタバレをしています。
 "館という名の楽園で"は過去に書評した事があり、端折ります。

・そして名探偵が生まれた。
 密室物ですが、それ自体は面白くありませんでした(笑)。話として面白く、アンチミステリ?的なお約束を裏切った展開は、ある意味、麻耶作品みたいでした(あまり知りませんが)。
 影浦のキャラが面白く、殺されてしまったのが残念でした。師匠を継いだ助手が名探偵となる熱い展開だったのですが、やったのが助手なのはさらに残念;;

・生存者、一名
 孤島サバイバルのサスペンス要素のおかげで、一気に読み終えました。話としても面白かったです。
 しかし、"生存者が一人で、男性"であることが、途中で明かされる→しかし、島にはどこにもいない→胎児だった・・・という発想の作品は、他の作者の作品でも使われており、ある点でそのトリックに気づいてしまいました。その使い方は、他作品のほうが良いと思います。
 爆破テロをして罪悪感を感じないようなクズ共が悲惨な目にあうのは、後味が悪くならなくてよいのですが、永友の胎児が死んでしまうことだけ心が痛みますね。

・夏の雪、冬のサンバ
 キノシタがショーグンでないことは、なんとなく察しました(笑) 日本史のことはあまりよく知らない私なのですが、木下といえば藤吉郎ですよね。たしか、将軍になれなかったような気がします。
 百万が"円"でないのも、なんとなく察しました。
 後のことはわかりませんでした! まさか、卵が伏線だったのですね。

No.146 7点 皇帝のかぎ煙草入れ- ジョン・ディクスン・カー 2019/01/13 13:09
 ネタバレをしています。

 ベンが犯人かと思っていました。今回も見事に外れました(笑) 意外な犯人が楽しめる作品でした。
 書斎のドアと絨毯の様子から、トビイが嘘をついているという博士の推理は見事でした。
 145pの、トビイに対しての博士の言葉は、論理と感情が合わさっていて、カッコイイですね。

 以下、いちゃもん点。
 意外な犯人を演出したいがために、犯人に有利な嘘や証言者、偶然の類が多すぎでした・・・。ネッドの"かぎ煙草が見えた"との発言は、鈍い私も流石におかしいと思いましたが、茶色い手袋の人物が犯人と思ってネッドを犯人候補からはずしてしまいました。
 オルゴールの件がちょっとよくわかりませんでした。ベンジャミンの証言から、かなり長時間鳴ったはずでは? 警察が誤って鳴らしてしまった際の、駆けつけたトビイの様子から、トビイがどの辺にいたかの記載が無かったので、音の大きさがよくわかりませんでした。
 イヴが起きている状態で犯行を行うのはリスキー→トビイは犯人ではないと推理したのですが(実際みられてるし)、結局窃盗はしたのね・・・。殺人よりはバレ辛いかもしれませんが。
 
 ジャンル分けするとしたら、何でしょうかね? ワットダニット・・・?

No.145 6点 扉は閉ざされたまま- 石持浅海 2018/12/30 22:32
ネタバレをしています。

 非常に論理的?ロジカル? 当てはまる言葉がわかりませんが、すごかったです。
 探偵は天才ですね! どんなに些細な情報でも記憶し、その中から推理に役立つ情報を洞察し、犯人にたどり着く。人間に思えませんでしたw ホームズばりですね(よく知りませんが)。
 倒叙形式の推理小説は、犯人が犯したミスを発見できるかが、読者が考える問題だと思います。しかし、私は全く分かりませんでした;; 被害者がド近眼ということを心にとどめておいたんですが…。唯一、動機だけ、なんとな~く察しました。

 難癖をつけるようで申し訳ないのですが、200pぐらいまでドアストッパーがどうのこうののシーンが多くて、やや盛り上がりが遅かった気がします。犯人の犯行は最初のページからあり、考える要素やヒントは出ているのですが、物語的盛り上がりシーンも遅い気がしました。
 探偵による犯人特定シーンは、非常に論理的で面白いのですが、帰納的な気がします。だからこそ、あの結末なんでしょうが。特に、安東を犯人から外すシーンは、動機が元になっているような?
 碓氷優佳のキャラクターは、推理小説によく出そうな見た目と性格(?)で、嫌いでしたw

 私は、最後、犯人が自殺すると予想したんですが、死ななかったですね。その意味での、探偵の「私を抱かなかったことを後悔する」発言だったと感じたんですが。犯人は、どうしても優佳とは付き合えないハズでは?

No.144 6点 館という名の楽園で- 歌野晶午 2018/12/28 19:23
ネタバレをしています。

 150ページ前後ながら、楽しめました。個人的には、推理小説としてでなく、通常の小説としての面白さも感じました。

 メイントリック自体はすぐに思いつきましたが、いかに大広間が円形で模様など方角を混乱させる仕組みであろうと、簡単に騙せるものではないと思ってしまいました。つぎに、大広間が回転するのでは?とか考えましたが、動いたら揺れなどで簡単にわかってしまいますね。

 役の人数を増やし、殺人数も増やし、こてこての密室(作中の昔話にはありましたが)なんかあったら、さらに私好みの館ものだったんですがw

No.143 6点 續・日本殺人事件- 山口雅也 2018/12/28 00:37
ネタバレをしています。

 前作に引き続き、独特な世界観が大好きな作品でした。
 巨人の国のガリヴァーは、リューゾーの人力車がバイクに変形するところがお気に入りですw 
 実在の船は、わたしの頭が悪いのか、あまり理解が出来ませんでした。ただ、非常に面白かったのでアリでした。しかし、あのメタっぽい結末は好きではありません。なんだか寂しい気分になるし、あれのせいでシリーズが終了(この続編はありませんよね?)してしまうぐらいなら、全てサムの妄想でよかったと思います。

 エクボさんも出てこなかったし、前作より大分暗い印象でした。もっとたくさん、カンノンシティーの物語を見たかった・・・残念。

No.142 7点 五つの時計―鮎川哲也短編傑作集〈1〉- 鮎川哲也 2018/12/24 19:52
ネタバレをしています。

 非常に濃厚な短編集でした。すべての感想を書くと、無駄に長くなってしまうので、特に面白いと感じたものだけ書きます。道化師の檻は大好きなのですが、過去に読んだ短編集にも収録されていたので、端折ります。

・五つの時計
 この小説で一番でした。蕎麦屋の問題は、あれこれ悩みましたがわかりませんでした。解決まで読み、あっ そーーか!と言ってしまいました。答えを聞いて、むしろ単純に思えるようなトリックは好みです。

・白い密室
 意外な結末で楽しめました。作中作?によるトリックや、被害者が作る密室など、面白い要素がてんこ盛りでした。犯人にとっての偶然や、多人数の嘘や思惑が絡みまくっていて、真相の推理がほぼ不可能なことが、ややマイナス。

・薔薇荘殺人事件
 第一の殺人が人間違いだったと推理するのは難しいと思いました。また、色覚異常関連は推理小説でやったら出てきますが、あんまり魅力を感じません。
 ロープがあるのにサンダルを使わざるを得ない人物が犯人というのは、納得度がたかったです。ただ、犯人は自分に不利な証拠を隠したり、捜査を撹乱するような行為をしているため、"あえてロープを使わずにサンダルを使った"ことも撹乱として考えても問題は無い気はしますが・・・? 第二の殺人は突発的な感じはしますが、他にチャンスは無かったのでしょうか?
 文句ばっかり書きましたが、かなり楽しめました。

・悪魔はここに
 おとの面を逆さにしたのは被害者→ローマ字論者→OTOを逆から読んでもOTO…回文…? と、馬鹿なことを考えていましたw なぜ、OKAMEが思いつかなかったのか…。
 クローズドサークルで、連続殺人。短編にもかかわらず、かなり盛沢山でした。作中の"私"の、絵馬子さんは天使だから殺人するわけない発言は、ヘイスティングズを思い出しましたw

 私は少々、鉄道トリックや時刻表トリックの類が苦手です。しかし、この作品は満足できました。

No.141 6点 魔術師- ジェフリー・ディーヴァー 2018/12/24 12:44
ネタバレをしています。

 かなり昔に読んでいた本で、大掃除をしているときに出てきました。どうやら書評をつけていなかったようです。

 推理小説というよりも、テレビドラマのような感じで、とても読みやすかったです。
 犯人の真の狙いも予想外でした。

 はっきりとは覚えていませんが、たしか銃の暴発による死亡を装ったシーンがあったような気がします。ちょっと無理がある気もします。

No.140 5点 ぼくらの時代- 栗本薫 2018/12/13 19:53
 ネタバレをしています。

 自分にとっての栗本薫といえば、グインサーガです。120数巻は読んでいました(関係ない話ですいません)。

 かなり文が読みやすく、すぐに読み終わりました。かなり意外な結末で、予想ができませんでした。

 ただ、共犯者がかなり多く、自殺とその幇助?が結末だったため、そのためトリック的なものはなく(何でもできる)、あまり本格推理小説といった感じではありませんでした。
 事件の中心人物の記述による、重要な部分を伏せて謎に見せるトリック(叙述トリック?)は、他にもたくさんあり、いまさら感があります。
 この小説での一番の魅力は、自殺者たちの理由と、"ぼくら"の狙いだと思います。が、自分にはあまりハマりませんでした…。

 あと、第一の自殺は自分で刺したんですよね? しかも一撃死ですよね? あれって、できるものなのでしょうか? 普通に考えると、あまりにも難易度が高い殺人だったため、"もしや自殺?"と一瞬頭をよぎったものの、"自分で背中をさせるわけがない"と思い、すぐ却下してしまいましたw

 こてこての本格が好きな私としては、密室が一番面白かったです。ただ、それも、犯人の意図しない密室でしたが。

No.139 7点 そして誰もいなくなる- 今邑彩 2018/12/10 17:12
 ネタバレをしています。

 すさまじい量の伏線とミスリードがあり、ページを戻して読み返すのが楽しい力作だと思いました。クリスティー作品顔負けのどんでん返しでした(詳しいわけではありませんが)。
 なんで、孤島でも無いのに、こんなに簡単に殺されまくるんだ、警察は無能か?と思っていた自分はもう騙されていたわけですね!

 どんでん返しに次ぐどんでん返しですが、問題の形式(?)はなく、真相の推理自体は不可能かと思われます。ただ、こだわらなければ、非常に楽しめる作品でした。このへんもクリスティー作品顔負けでした(詳しいわけではありませんが)。
 難癖をつけるようですが、最初の殺人で、演劇をめちゃくちゃにしたいだけなら、死ぬ可能性のある毒は入れないのではと思いました。洗剤をまぜるとか、炭酸コーラとかどうですかね? それでも、飲み込んで続行する可能性はありますが・・・
 皆川は、少女を自分の手では殺さないが、殺しを裏で幇助する? 防げた犯罪をあえて見逃す心情は良くわかりませんでした。

No.138 6点 ジェリーフィッシュは凍らない- 市川憂人 2018/12/07 01:37
 ネタバレをしています。

 また、だまされてしまいましたw
 非常に読みやすかったです。ジェリーフィッシュ内の話、事件を追うマリア達の話、インタールードと、場面や時間や人物や真空気嚢式なんたらかんたらの説明の話が飛びながら少しずつ明かされていきますが、とても理解しやすかったです。
 大掛かりなトリックも面白かったです。最初から2機あったとは思いませんでした・・・。

 いくつかの解決を妄想しました。
 エドワードが、全ての犯行を終えた後、あらかじめ止めてある2機目のジェリーフィッシュか気球かなにかの移動する乗り物がある地点へ、乗っているジェリーフィッシュを動かしたのかと思いました。バラバラ死体はあらかじめつんで置くか、その地点においてあるものを使ったと思いました。
 また、マリアのバカ推理(ジェリーフィッシュの中にジェリーフィッシュ)ではないですが、気球的な、小型の移動手段を仕込んでいるとも妄想しました。
 いずれにしても、一人だけで完遂することが難しい点と、ウィリアムがバラバラ死体(サイモンだった)をエドワードと認識した点がわかりませんでした。


 以下、難癖や好みでは無かった点。

 犯人以外に隠し事をしている人物が多すぎ、また亡命組はレベッカの件とは別に壮大な嘘があります。亡命を示唆する伏線はありますが、ちょっと難易度は高かったと思います。

 ウィリアムがサイモンの死体をエドワードと認識した点は少々苦しいと思います。たしかに、死体を発見したときはパニックになっていたし、ややあいまいに書かれていましたが・・・

 犯人の計画が成功するかは、結構、運がいる・・・かもしれない・・・ 


 全体的に、大トリックを実現するために、それにあわせて少々強引な所もあったと思います。そのへんに目を瞑れば、面白かったです。

No.137 6点 ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!- 深水黎一郎 2018/12/03 03:06
 ネタバレをしています。 ちなみに、最後のトリックの方を買いました。
 犯人は・・・俺だ俺だ俺だーッッ

 この作品の前に読んだ本が読み辛い海外作品だったためか、この作品はとても読みやすく感じました。"読者が犯人"がテーマの作品ですが、それを成立させるためには何が問題か? というのがわかりやすく説明されていて、考えながら読むのが楽しかったです。

 また、作中にでてくる、テレパシー姉妹のイカサマは盲点でした。前に読んだ、乱歩の作品を思い出しました。ぶっちゃはなし、これが一番アッとさせられましたw 歌詞を使うとは・・・すばらしいトリックです(実際のマジックであるんでしょうか?)。


 以下、好みでは無かった部分。
 "犯人"は殺意があってほしい。仮に、この結末で、読者が犯人としても、事故死だと思います。
 作中で解説があった"死体が犯人"の話は、あれも死体犯人というよりは、死体が凶器なのでは?と思ってしまいました。ただ、すごい魅力的な話ですが。

 被害者役は、全力で死を回避する行動をとってほしい。

 読者全てに共通する点は、文字を読むことと、ページをめくることなので、それをしたときに被害者役が死ぬことが"読者が犯人"になりえることは予想しました。
 極端な話、"このページをめくると物語の被害者が死ぬ"という文章があるのと同じな気はします。そんな被害者役を、現実世界にいるような人間で登場させられるか期待しましたが、やはりあまり現実的ではありませんでした。
 読者が犯人のトリックがあるんだ! ではなく、読まれると死ぬ人間の話なんだ!という印象があるのですが、まったく見当違いの意見でしたら申し訳ありませんw 

 やや話が暗い。香坂の性格の暗さがちょっとでていて、切ない感じです。
 

 評価点をつけるのを迷いました。推理小説としてみなければ、なかなか満足な作品でした。逃げの6点・・・。

No.136 6点 ギリシャ棺の秘密- エラリイ・クイーン 2018/11/30 19:39
 ネタバレをしています。

 すごく時間をかけて読んだにもかかわらず、まったく犯人を当てられませんでした;; 警察を、ほとんど無意識に犯人から除外していたためです。それは、警察や医者や推理の元となる証言者が犯人であってほしくないという考えからでした。警察は人を殺さないとかいう話ではなく、推理小説は警察の熱心な捜査から得た情報から推理するものだと思っているからです(ヒント提供役まで疑うと疲れる)。ただし、これは好みの問題かもしれません、アンフェアではないと思います・・・。
 前半~400ページぐらいまでは、かなり好みの作品でした。容疑者が嘘をつきすぎている点や、証言の曖昧さはあります。しかし、中盤ぐらいまでは、ちゃんと容疑者を犯人から除外する証拠があり、かなり端正なフーダニット(?)だと思いました。はじめから主要人物以外を容疑者から除外して考えていた私は、容疑者がほぼいなくなってしまって困りました。不自然な点がありつつも、ジョーンが犯人と思っていましたw  ただ、ベルの証言の"顔がわからない男”の証言が曖昧で、声を聴いている風でもあったため、女性ではありえないのかもしれません。また、ヴリーランド夫人の気絶によって、ギルバードに電話を掛けられなかった点もありますが、その真贋もまた微妙だと思います(間違っていたら申し訳ありません)。

 以下、難癖にちかい不満点。
 読みづらかったですw 自分の読解力が低いのもありますが、誰がいつのどの件の話をしているかが飛び過ぎていて、把握しづらかったです。

 "意外な犯人”は、この小説の良い点の一つかと思いますが、どんでん返し要素のためか、論理的なフーダニットという点では過去の国名シリーズより落ちる印象があります。フェアではあるんでしょうが、警察犯人ものは好きではありません。

 ラスト100ページ付近のタイプライターの件が、この小説のにおいてかなりのウエイトを占めてしまっていて、それまでの消去法による容疑者の排除が無駄になってしまった感じがあります。ノックス邸のタイプライターを使えた人物しか犯人になりえないという推理は納得なのですが、ハルキス邸にいる主要人物のほとんどがこれで除外となります。どんでん返しを入れたいがために、ラストで薄味になったような…

 また、ジョーンは犯人ではないという理由が弱かった気がします。ジョーンが雇われた探偵だったことと、"ノックスの千ドル札の話をするときにその場にいて、ノックスを陥れるような真似はしない"ことからジョーンは犯人ではないとしているが、ペッパーの制作した脅迫文の"3”の打ち損じはわざとであり濡れ衣工作としています。なにがミスで、なにが裏を突いた行動なのかは、推理できないと思います。ジョーンが犯人だとすると、不可解な言動や行動があるのはわかりましたが、

 ワーズ医師は、犯人ではないが嘘の証言をしてしまっています。ベルとの証言の矛盾が、挑戦状まで明らかにされていませんでした。

 非常に文の量がある小説ですが、"未熟なエラリーが間違った推理をしてしまった!”要素がやりたかったから増えてしまった感があります。結局この結末では、不要に思える場面が多かったです。

 本格推理小説としてはオランダ靴、物語の面白さと読みやすさの点でエジブト十字架のほうが上かと思いました。

 う~んまた長ったらしい書評を書いてしまった;;

No.135 7点 夜よ鼠たちのために- 連城三紀彦 2018/11/21 11:41
 ネタバレをしています。

 どの話も、長編でもおかしくないレベルのどんでん返しやミスリードを含んだ短編集でした。非常に面白かったです。

 ただ、1冊の本としてみた場合、推理小説としての質が似ている話が多かったです。
 また、すこしだけ暗い話が多いですね。これはただの好みの問題ですが。

No.134 5点 死びとの座- 鮎川哲也 2018/11/18 06:37
 ネタバレをしています。

 メイントリックと、プロローグによるミスリード部分がよかったです。

 不要に思える登場人物や、話、場面がコロコロかわる・・・など物語の核心に迫るまでが長く、非常に読みづらかったです。読了まで時間がかかりました。何が謎なのが終盤まではっきり見えず、考えながら読むことができませんでした。

 ちょっと好みではありませんでした。

No.133 6点 99%の誘拐- 岡嶋二人 2018/11/16 00:16
 ネタバレをしています。

 今読んでもまったく古さを感じず、一気に読み終えました。

 今日では、キーボードで打った文字などを合成音声でしゃべらすことは、ゲーム実況動画などでよく目にします。"アスカ"の音声が、私の頭の中では、例の声で再生されました。これを80年代後半?で書いていたとは・・・。(私はパソコンについてド素人のため、もしかしたら全くの別物かもしれませんが)

 生駒慎吾の、ダイヤを回収する手段は天才的で、ハッとさせられました。

 慎吾誘拐事件の動機や意外さにかけていたことは、やや不満でした。あとは、どんでん返し的要素に乏しく、その意味では地味でした。

No.132 7点 朱の絶筆- 鮎川哲也 2018/11/13 01:11
ネタバレを含みます。

 良いトリックでした。暗闇祝言の朱の印のトリックは何度も考え、わかったときは快感でした。また園田を毒殺したトリックもなかなか面白かったです(無目的殺人も起こる可能性がありますが)。本全体として、共犯が無いというところが取っても気に入っています。

○以下、好みでは無い部分。
・第一部が長いわりに、本編とはあまりかかわりが無いように思えた。最初、A~Gの主観に名前が無いため、そこに大きなトリックがある期待した。
・めぐみ殺しが成功するとは思えない。
他にもこのようなトリックを知ってますが、犯行現場と思われる部屋に突入するときは犯人が残っていないか注意して見るもんじゃないですか?
・千恵子殺しは難易度が高い。なんとなく想像は出来たものの、絶対に殺せるものですかね?
・警察が無能すぎる。
いる意味がないレベル・・・ッッ あと、毒がどこについていたかぐらいは言えやw

 フーダニットとしてではなく、アリバイ崩しものとして満足です。

No.131 7点 名探偵はもういない- 霧舎巧 2018/11/07 19:28
ネタバレをしています。

 いろいろな仕掛けと、問題点をわかりやすくしている書き方が好ましい作品でした。いい伏線やミスリードがありつつ、時間をかけて謎を検証するのも楽しめると思います。

 自分は、ある程度は真相に近いものを推理しましたが、福永が殺人(事故に近い?)を犯せたと思えず、完全には推理できませんでした。狂人という言葉が作品で使われていましたが、あるところでは下僕のようで、あるところでは殺人し、あるところでは敬虔なクリスチャンで、やや作者に都合がよいキャラクターだと思いました。

 偽エラリー・クイーンを出すために登場人物紹介をだせなかったのでしょうが、わざわざそれを書いたことで別の何かを期待してしまった感じがありました。偽探偵要素はなかなか面白いですが、登場人物紹介のくだりは不要かもしれません。

 ちょっと点数に困っていますw また変更するかもしれません…

No.130 4点 リアル鬼ごっこ- 山田悠介 2018/11/04 14:38
ネタバレをしています。

 文庫版です。さきほど押入れを整理していたら、この作品が出てきました。映画などで有名?で、聞いたことのあるタイトル名だったのですが、読んだことはありませんでした。数時間で読み終えるほど読みやすかったです。

 だれもが知っている"鬼ごっこ"とサスペンス要素が合わさり、独特な世界観に惹かれました。またテンポが良く、すいすい読めました。

 以下、好みでは無かった部分
・王様があっけなく死ぬ。なぜああなったのかとか、もうちょい知りたかった。
・五百万人を殺すのはさすがに現実的じゃない。死体はどうするのか?
・本筋をあまりかかわらない話が多い。伏線ともミスリードともに薄かったです。どんでん返しがほしかったです。

 じいは、捕まえた佐藤さんを裏で改姓し、王様を欺き、クーデターをする・・・という結末の妄想をしました。じいにはがっかりです。教育役がじいならば、じいが一番の元凶ですね。
 また、王様は佐藤姓であるが名前や年齢(最後に出る)が伏せられていて、ここにトリックがあると期待しました。が、特にそういうことも無い・・・。王が佐藤である必要も無かったと感じます。

 設定がよかったけど、うまく広げた風呂敷をたためなかった印象。出落ち感がつよく、どちらかというと短編に向きだと思いました。

No.129 6点 スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎001- アンソロジー(国内編集者) 2018/11/04 11:46
 押入れを整理していたら出てきて、書評をしていないことに気づきました。いろいろなタイプの短編があり、枠にとらわれない選出が東野さん的な感じがします(それほど知っているわけではないけど)。
 サボテンの花と双子の家が、特に頭に残っていました。

No.128 6点 碆霊の如き祀るもの- 三津田信三 2018/11/03 18:04
ネタバレをしています。

 このシリーズは好きです。雰囲気がとても良く、すいすいページが進みます。また、今回は密室4連発であり、豪華です! いつもの多重解決→どんでん返しもあり、いままでの流れが踏襲されています。

 竹林宮の密室による餓死は好きです。偲との会話でヒント(もはや答え?)で気づきましたが、面白いですね。しかし、腕に縛り後など残らないものでしょうか?
 物見櫓のトリックも、自分は好きでした。人形的なものを使ったとばかり思っていたのですが、死後硬直は盲点でした。過去に、死後硬直を利用した作品を見ていたのに・・・ 死体が無いのもミスリードですかね。

以下、好みで無かった部分
・結局、四つの怪談に、何かしらの解決がなかったのは少し残念。竹林は途中会話にあった狼か何かかと思いましたw 
・リレーの様な殺人で、笹舟の理由も納得ですが、一人による犯行のほうが好み。
・絶海洞のトリックはいまいち・・・。
・他殺に見せかけた自殺→密室は嫌い。
・ラストのお決まりのホラー要素は、なぜか怖さを感じなかった。ラストの展開によって、ゲンヤの推理が破綻するようなものを期待していた。過去作品のように。

 同シリーズの過去作品に比べ、ホラー要素や意外な犯人や大どんでん返しの面でスケールダウン感は否めません。ただ、大掛かりな仕掛けがないため、逆に本格度が上がっている気もします。

No.127 6点 インシテミル- 米澤穂信 2018/10/31 16:26
ネタバレをしています。

 この本を読む前に、テレビで映画をみてしまいました。しかも、ラストシーンだけを中途半端に見てしまった。かなり残念なことをしました。なので、中途半端にネタが割れた状態で読みました。

 設定がよく、引き込まれました。だれがどの凶器を持っているのか?を考えるのがたのしい。クローズドサークルはやはり楽しい。
 自殺の使い方がうまい。うまくミスリードされました。
 関水の自分の凶器の偽装が天才的。日数がたたないうちにあれだけのことが出来るとは。結城がメモランダムを見つけたとき、"タイプライターで打ったような"という記載があり、それを見逃してしまって悔しい。主人側が、凶器の偽装をさせるためにあえてワープロを用意させているのだと思うと、漫画のライアーゲームを思い出します。思えば、毒殺と薬殺は被っていて怪しいかったです。
 より多くの利益を出したいときは自分で殺し自分で暴くのが効率が良い、というのは盲点でした。ルールの裏をついていて、これまたライアーゲーム的です。

以下、好みでは無かった部分。
 実験的にも、小説的にも、最初の自殺はどうか? 関水のように、殺人してでも金が必要な参加者を募ったほうがよかったのでは。それとも、あまり殺人する必要が無い人のクローズドサークルでの行動を実験しているのか? さらに、自殺者が主人側の意図しない自殺の仕方をしてしまっている。これを推理するのは難しい。
 なぜはじめに全員の凶器を金庫に入れようとしないのか?(これは、護身用に取っておくということも考えられるが)
 急にIQが下がってしまう安東w

 続きがあったら買いますが、結城は次回の実験に絶対に出ないでしょうね・・・
 ごめんなさい岩井。僧正読んでいません・・・海外古典作品は翻訳が古くて読みづらくて(自分の読解力不足)。


No.126 6点 そして扉が閉ざされた- 岡嶋二人 2018/10/28 23:41
ネタバレをしています。

 ほぼ事故のようですが、主観犯人に近い?タイプで、犯人が犯行に気づいていないパターンは面白かったです。誰一人、完全に真相を知る人物がいないのがミソで、それによってあれこれ考えて話し合う構図が成立するところは今まで見たことが無く、読了後2週目をみても面白いです。
 勘違いしている共犯者が2人いて、偶然に偶然が重なっているため、やや強引な印象がありますが、話として良かったです。
あと、本格好きとしては、正志のアリバイトリックが良いものを期待してしまう。



No.125 6点 パノラマ島奇談- 江戸川乱歩 2018/10/27 11:19
ネタバレをしています。

 角川ホラー文庫の、江戸川乱歩ベストセレクション⑥のパノラマ島綺譚です。石榴も収録されていました。

○パノラマ島綺譚
 人見の作った人工楽園の描写が、なにかすごく不気味に感じられました。最後、人見の爆散自殺を前にしても、あまり騒がなかった楽園の人たちにも、妙に恐怖を感じました。
 その一方で、過去に見た江戸川乱歩の短編よりかは狂っている度合いが低く、割かし主人公もまとも(?)に思えました。また、私の読解力が低く、人工楽園の世界もどの程度頭の中で映像化できたかわかりません;; 

○石榴
 個人的には、こちらのほうが好みでした。話の展開的には、旅館で知り合った猪股という紳士は"谷村"か"琴野"だと予想しましたが、結局はっきりとはわかりませんでした。自分の存在を消すために用意したトリックは面白かったです。実は途中、絹代が2人を殺した展開もあるのかとも思いましたw



No.124 6点 水族館の殺人- 青崎有吾 2018/10/25 23:29
ネタバレをしています。

 前作に続いて、非常に読みやすかったです。本格度?の高い犯人当てもにくわえて、アリバイ崩しの要素も加わりました。

 評価の点数に迷いました。自分は犯人当ての解決編を読むときは、あたっていてもいなくても楽しいことが多いのですが、今作はいまいちピンときませんでした。それは自分の読解力の低さからくるもので、例えると、ウィキペディアの数学の定理の項目や物理学の項目ページを見ているときの理解できない感じと同じでした。そんな未熟な人間が、この作品を評価していいものやら;; 

 お蝶婦人的なキャラがでてきて、物語とどう絡んでくるか(天馬とも関係がありそうな描写)たのしみでしたが、そのまま終わって残念でした。たぶん、次あたりに出るのでしょうね?

No.123 7点 赤い密室 名探偵星影龍三全集(1)- 鮎川哲也 2018/10/23 17:51
ネタバレをしています。

 全体的に満足度の高い短編集で、大満足でした。
①呪縛再現
 長編バージョンのあの作品を読んでいるので、ネタは割れた状態でした。長編よりもすっきりしていて、こちらも好きです。
 星影龍三短編集なのに、鬼貫警部にこてんぱんにされていて、顔真っ赤シーンは楽しいやらかわいそうやらでした。
②赤い密室
 卑怯なところの無い、納得感のある密室もので好きです。換気孔から死体の部位を入れたこと、胴体を棺を使って入れたことはなんとなく想像できたのですが、新聞の問題だけさっぱりわかりませんでしたw 一番単純なことが盲点でした。
 星影の台詞の"犯人がなにも密室にする必要が無いのに、わざわざ密室犯罪を作り上げている。言ってみれば作者が密室トリックを思いついたから、それを誇りたいために密室小説を書くのが大部分さ。"が強烈ですねw
③黄色い悪魔
 これって、星影の台詞の"密室にする必要が無い密室"じゃないですか?
④消えた奇術師
 読んでいると、すぐトリックがわかったのですが、トリック自体結構好きです。
⑤妖塔記
 他の作品と違って、怪奇小説っぽい雰囲気がある・・・? 鳴神の嘘話だったということですが、そのあとすぐ死んでしまったのが皮肉ですね。
⑥道化師の檻
 トリック自体はすぐにわかったのですが、これはかなり面白かったです。本来は共犯が嫌いな私ですが、全員が共犯でないと成立しないところがいいですね。

 文を短くしようとしたのに、まただらだら無駄なことを書いてしまいました。

No.122 7点 キングを探せ- 法月綸太郎 2018/10/17 20:30
ネタバレをしています

 最初から最後まで騙されっぱなしでした! よく考えると、複線やミスリードがたくさんあって、楽しめました。
読んでいくと、自然にキングがあると勘違いしました。ラストのページの、アリは王がいないのくだりも、かなりセンスがあると思いました。

 妃名子の死が、他殺に見せかけた自殺で、そこがポイントだろうとは思いましたが、それいじょうのことは何もわかりませんでした。
また、4人が偽名をつかっているため、それを利用した叙述トリックの類も妄想しましたが、作者の手のひらで踊らされました(勝手に踊っただけかも…)

No.121 5点 白馬山荘殺人事件- 東野圭吾 2018/10/16 20:09
ネタバレをしています

 非常に読みやすく、読了までさほど時間はかかりませんでした。密室の謎は、マジックのようで楽しめました。ただ、暗号解読の件は好みではありませんでした。長編にしてはすこし地味な印象があります。5にしました。

 私は最初、叙述トリックの類かと妄想しました。登場人物紹介の書き方が独特で、名字だけあるいは"マコト"や"ナオコ"など文中の表記と違うのがみそなのかな~と思いましたが、全然ちがいました。

No.120 7点 密室殺人ゲーム2.0- 歌野晶午 2018/10/05 19:19
ネタバレをしています。

 長い停電のときに読んだためか(多分関係ない)やたら面白く感じました。 

 前作もそうでしたが、ザンギャ君の殺人が面白かったです。被害者の娘が脈を確かめるところまでいったので、結構きわどいと思いますがw
 次に、コロンボの問題も面白かったです。普段、密室殺人と見せかけての自殺は嫌いな私ですが、設定が生きていてよかったです。ただ、殺す対象を顔写真付きで予告や、コロンボの受け答えが一方通行(コロンボのキャラがミスリード?)なことから、自殺であることがうすうす予想できてしまいました。土嚢がどうとか、細かい点は一切わかりませんが。
 頭狂人のアリバイトリックは、なぜか前作も今作も気づいてしまいまた。なんとなく映像を使わせたこと、被害者をコントロールできる立場の人間が犯人であることなど。
 aXe?の問題は、自分にはよくわかりませんでしたw
 教授の癒し系問題の発展型問題を頭狂人が出していましたが、どっかでみたことあるな~と思ったら、近いものを同作者が書いていましたね。

 そういえば、前作頭狂人は自爆して死んだぽいですが、他人を巻き込んでしまっていますね。直接爆弾を取り除こうとしたのでしょうか?
 あと、前作教授は死んでいない…?ので、最後のページは教授なのでしょうか??

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