了然和尚さんの登録情報
平均点:5.53点 採点数:116件

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採点傾向好きな作家

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No.116 4点 騎士の盃- カーター・ディクスン 2016/05/19 19:33
HM卿最後の作品です。全く最後っぽくないです。前作同様殺人事件のない笑劇で、少しオカルトや歴史的味がつい多分、冒険やスポーツ要素がなくなり、本格構成も苦しいものとなってます。
全体によく分からない作品でした。

No.115 4点 赤い鎧戸のかげで- カーター・ディクスン 2016/05/19 19:30
HM卿事件簿もあと2作です。次も読んでますので、まとめて言いますと本格ではあるが、事件が軽い(殺人でもオカルトでもない)ので、読後がっかりです。本作は怪盗は誰かという笑劇冒険譚でした。あまり集中して読めなかったのですが、本格ものとして手がかりが振られ、最後に回収されています。スポーツネタは過去2作と続いて野球→テニス→ボクシングときましたか。


No.114 4点 パーフェクト・マッチ- ジル・マゴーン 2016/04/20 20:43
みなさんご指摘の通りメイントリックは、古典によくあるパターンで、現代の捜査において成り立ちにくいパターンですが、まあそれはそれなりに話にはなってます。
不満なのは捜査陣で、男女の本職警官なのですが、この2名の知的役割がはっきりしていないのが推理物としてつまらない。二人出てくるならホームズとワトソン型とか役割がはっきりしないと読者が一緒に楽しめません。でも、男女で性的役割ははっきりしていて、安易にひっつくのはハリウッド映画みたいで、面白い人には面白いのでしょうか?夏樹静子的男女の情緒もなかったな。

No.113 5点 殺人行 おくのほそ道- 松本清張 2016/04/14 18:42
テレビドラマにもなっている典型的な松本清張もので、少し平均より落ちる気がしたので−1点。
いつものように、いいペースで人が死んだり謎が暴かれたりします。結末もまあまあです。(テレビと真犯人が入れ替わっていたのは興味深かった。 どっちもあり) 松本清張作品は旅情感と昭和の時代感が好きなのですが、本作ではその辺がものたりません。タイトルからは見立て殺人やトラベルミステリーを期待しますが、効果的に「おくのそ道」が使われていません。後の殺人では静岡が舞台で、かろうじて地名の共通点で「おくのほそ道」に引っ掛けていますが、なんか「日本海パートの取材ができなかったので、馴染みの伊豆あたりでやっつけておくか」みたいな裏事情を勘ぐってしまいます。


No.112 6点 帝王死す- エラリイ・クイーン 2016/04/11 18:39
本作については犯人をネタバレされてもかまいませんが、犯人の出自については絶対秘匿ですね。この意外な展開は本当に驚いて、嬉しかったです。国名シリーズから、たまたま本作へ飛んで読んでしまったら全く感動がない作品になってしまいそうです。「災厄の町」から順番に読むことをお勧めしたいですね。国名シリーズ、ポワロもの、カーとかはどれから読んでも、大して変わらないと思いますが、後期のクイーンは順番は大事ですね。
で、また今回も探偵クイーンは踊らされる(しかも親子で)わけですが、単純に結論に飛びつくわけではなく、なぜ踊らされているのかを考察し、本格パズルを組み立てています。この辺の推理についても、連作で読んでいれば読者の意識とシンクロして楽しめます。


No.111 5点 魔女が笑う夜- カーター・ディクスン 2016/03/31 20:02
カーのパズル小説としては最低レベルでした。ピースも組み立て方も出来上がった絵も特に印象に残りません。HM得意のドタバタ劇が本作では序盤とクライマックスと2回読めます。なんかドタバタ劇に関しては手抜きなしな感じで力が入ってます。HMものはこの後2作となってしまいましたが、紹介文を読めば、2作ともドタバタが楽しめるようです。実は大昔に両方読んでるのですが、内容はすっかり忘れてます。

No.110 7点 無実はさいなむ- アガサ・クリスティー 2016/03/26 21:09
再読ですが、前に読んだ時より+2点で評価アップしました。レギュラー探偵は出てきませんが、謎の進め方や、他視点で描写されるところなど、非常に今風かと思います。
意外な犯人は、いかにもクリスティー好みだなと思います。
よくあるトリックですが、今出てきた→今入ったトリックが、さらっと使われていますが、扱いが軽すぎて違和感ありました。うまく組み立てられたのに、結論のまとめ方はちょっと雑な気がしました。

No.109 6点 殺人は容易だ- アガサ・クリスティー 2016/03/24 13:03
ちょっと派手に殺されすぎていると思いますが、クリスティーのサービス精神でしょうか。真相から考えれば、一人死んで、特定人物に疑いがかかればいいのですが、うまくいかないので次々と。。。というのはシニカルです。倒叙でも面白い味になりそう。
他作品(特にマープルもので)でも出てきますが、犯罪者の異常な眼差しにふと気がつくシーンがありますが、結構怖いですよね、クリスティーの実体験から来てるのでしょうか?


No.108 5点 墓場貸します- カーター・ディクスン 2016/03/22 10:00
人間消失ものですが、騙される人3人、騙す人3人というがっかりなトリックです。ネタのヒントを提示したり(いつものドタバタで)、別解を用意したり、奥行きは出しているのですが、肝心の犯人(被害者?)の行動の必然性がイマイチでした。
次作「魔女が笑う夜」を読み始めましたが、冒頭でテニスの試合に関する細かい描写があるのですが、本作では野球に関してかなりページが割かれています。何か、本編のトリックと関係があるのかと思い、HMの打ったホームランボールが被害者に当たって、はずみでナイフが刺さったという空想をしてしまいました。

No.107 4点 警官嫌い- エド・マクベイン 2016/03/17 15:59
警察小説と本格推理(パズtラー物)の違いは、警察小説では、リアルな捜査や、ワクワクする展開に味があり、伏線や論理的解決やトリックの意外さは必要ないと定義できると思います。
本作では、捜査陣が全くの行き当たりばったりで、同じ空振りでもコリン・デクスターものとは雰囲気が違います。
イマイチだったのは、最後の80ページぐらいで突然意外な犯人や動機などが提示され、出来の悪い本格推理小説のようになってしまったのが読後感を悪くしました。
あくまでも小細工なく警察小説で完結させてほしかったです。

No.106 4点 考える葉- 松本清張 2016/03/12 23:48
全くいつも通りな松本清張なのですが、どこか空虚というか熱が入っていないような気がしました。全然つまらないわけでも破綻しているわけでもないのに。松本清張の全作品の中で1つだけゴーストライターがあるとすればどれか?とか聞かれたら、本作をあげたくなるような感じです。あとがきによれば本作は日本の黒い霧、球形の荒野、わるいやつら、砂の器と同時に書かれたとのこと。(納得)

No.105 7点 フローテ公園の殺人- F.W. クロフツ 2016/03/09 21:48
いつものパターンなのですが、王道とでもいうのでしょうか。楽しめました。
列車による轢死ということで、死体の身元が怪しく(いわゆる顔のない死体)、人物の入れ替わりはすぐわかりましたので、注意して読むのですが、巧みにかわされます。(写真の件など)
犯人とか、トリックとかが途中でわかったらつまらないとかいう話もありますが、本作では、ラストのご対面の場面が「ほら。キタキタ」みたいな感じで素晴らしい構成力で楽しめます。
クロフツのフレンチ以前ではベストだと思います。

No.104 7点 帽子から飛び出した死- クレイトン・ロースン 2016/02/23 10:55
読みごたえありの1冊です。冒頭に出てくる推理小説論や、度々出てくる推理小説とマジックの共通点(ミスディレクション)の話など楽しめます。
本編の方は、本格時代の作品とはいえ、これだけ本格度の高い作品は無いんじゃないでしょうか。その分、ストーリー性や描写の面白さはなく、読み手を選ぶタイプの本ですね。
ま、最大の肝である人物トリックがすごすぎて、いろいろ詳しく描写しづらい部分があり、それでも挑戦的な手がかりの記述もあるわけですから、読みにくくなるのは仕方がないです。
本作の欠点は登場人物が多すぎることですね。4、5人削って、容疑者3名ぐらいの作品で、人物のメイントリックを使えれば、もっとすごい作品になったと思います。
実際、カーやクイーンでは少数の容疑者でも、最後にやられた感のある作品を書いてますが、本作はデビュー作ということで、ロースンは慎重になったのでしょうか。

No.103 7点 悪の起源- エラリイ・クイーン 2016/02/14 17:52
この頃のクイーンの作風らしく、またもクイーンは真相とは別の結論を出します。言い方を変えると真犯人にまんまと利用されます。しかし、今回は承知の上であり探偵としてはかっこいいです。最初に指摘した犯人に対する疑問(こんな動機か?、頭良すぎないか?、証拠が都合良すぎないか?)はそのまま警部の疑問として示され、意外な真犯人が示されます。まあ、ちょっとお伽話的なんですが、本作では結末としてしっくりしていて、納得です。「十日間の不思議」、「九尾の猫」、「ダブル・ダブル」と連続して読んでいくと、今回のクイーンの判断が際立ちますので、この読む順番は守りたいですね。
悪の起源が種の起源をガチガチにモチーフにしているのも良かったですが、最初に死んだ犬の犬種(ビーグル)はもっと早く出しても良かったですね。(どうせわかりません)
ちなみに、結末までの展開と文体(アメリカン!)は4点もののつまらなさでした。読み終わってみれば(絵が完成すれば)高得点になるとは推理小説は奥が深いですね。

No.102 6点 疑惑の影- ジョン・ディクスン・カー 2016/02/08 19:14
ミステリーとしての基本構想だけを取り出せば、ここ1年で読んだ最高作に近いものと言えるのですが、物語としては不出来な部分が多く、残念な作品になってしまいました。
2件目の殺人に関して、犯人の完璧なアリバイ(別件裁判で勾留中)、1件目の無罪を主張できない裏事情は、すごく好きなのですが、本作の内容では、(共犯?)女中の役割が大きすぎ、1ヶ月放置した水を飲ませるという可笑しさが、トリックの偉大さを消してます。何かもうちょっと、どうにかならんかったのかと、もどかしいですね。
事件の背景として、さらっと殺人クラブによる交換殺人ネタが出てきてますが、毒殺入手の方法等は、これで1作書けるぐらいで、惜しげなく使っている点で+1点
悪魔崇拝ネタは、正直イマイチなのですが、第二次世界大戦の終戦4年後という雰囲気がわからない読み手にとっては、評価は保留になりそうです。

No.101 5点 スリーピング・マーダー- アガサ・クリスティー 2016/02/02 11:20
マープルもの完読です。
皆さんご指摘の通り、比較する作品は「カーテン」ではなく「五匹の子豚」ということになりそうですね。「五匹の子豚」は容疑者があらかじめ示されており、聞き取りと手記から論理で追及していく、本格の良さはあるが、読み物として退屈。本作は、冒険譚的で、意外な犯人を見つけるまで読み物として楽しいが、本格の手がかりは甘く、論拠は怪しい。クリスティーが推理小説の両極を同時期に仕上げたのはさすがです。
本作では、特に手がかりも無く、容疑者に挙がっていないという理由で犯人の予想ができてしまうのですが、重要な証言である目撃された車について「しゃれたという形容詞は彼にとっては無意味だったのよ」とか、それはないでしょう。

No.100 5点 復讐の女神- アガサ・クリスティー 2016/02/02 11:06
構成としてバスツアーの内容が、本格ものとしての要素も、旅情ものの雰囲気としても物足りないのが残念で、イマイチでした。犯人については姉か妹かというところなのですが、当然郵便物を出した妹に疑いはかかるのですが、ただのお使いだったとは。明らかに燻製にしんとして誘導している分、真犯人の方の動機や内容が、ちょっと取ってつけた感がありました。
ラストではマープルが遠慮なく報酬の2万ポンド受け取ってますが、使い道が気になりますね。
本作は3部作の2作目ということで、完成しなかったマープルのラスト作では、この2万ポンドがどうなったか描かれているんでしょうね。マープル最後の事件とタイトルされていれば当然犯人も〇ー〇〇なんでしょうが。
読みたかった。。。


No.99 4点 火の路- 松本清張 2016/01/23 12:14
失敗作!(と断言)
本作はミステリーと歴史考察ものが同居しているというのが売りだと思うが、全く水と油で小説として成り立っているかすら疑問。
歴史については斉明天皇と日本へのゾロアスター教の伝搬というテーマで、松本清張のイラン紀行と大論文が展開されています。
ミステリーについては、この歴史考察につながりを持つように話を絡めようとしていますが、あざとい。(最初のシンナー少年が出た時点でなんとなく酒船石の役目も。。。。)
ま、1冊で2冊分読んだと思えば、宗教史や古代史好きにとっては読み応えがあり、読んで損なし。
ミステリーパートの方は大損。


No.98 5点 製材所の秘密- F.W. クロフツ 2016/01/10 11:16
巻き込まれ主人公の一部と警部による捜査の2部立てになっていますが、捜査にキレがない感じがして、もう一つでした。クロフツは元鉄道技師ということで鉄道トリックは多いのですが、船ものも同じくらい多いですね。最後の犯人追求の段階で鉄道トリックらしい小ネタがちょっと入るのは(図面付きで)サービスでしょうか。
本格ものとして、手がかりを多く示し論理で進めたり消したりするスタイルは、「樽」や本作では希薄なのでクロフツは非本格と思われているかもしれませんが、「死の鉄路」あたり以降の作品では、本作と近いスタイルながら本格ものにもなっていて、作者の技量に感動します。
ビッグ4の中ではなかなか作品が手に入りにくく、古本屋、オークションを日々チェックが欠かせませんねえ。

No.97 6点 二銭銅貨- 江戸川乱歩 2016/01/01 04:40
2016年1月1日 とうとう江戸川乱歩の著作権保護期間が経過しました。これで青空文庫で読めると、前々からこの期日を意識していたのですが、本日覗いてみると早速、二銭銅貨が!
再読ですが、夜明け前に、一読。心理試験、D坂同様、短編のキレが痛快ですね、どなたかが指摘されているように、落語的雰囲気を感じました。世相をからめた前ふりから、論理の展開を経て意外な結末。最後にそれらしいオチを加えてもらって、落語語りで聞いてみたいです。
今年は、江戸川乱歩が全部読めそうで楽しみです。


No.96 7点 兄の殺人者- D・M・ディヴァイン 2015/12/30 14:44
3、4年前に他の作品を読んだときには、他視点もので馴染みにくい感じがして評価が低かったですが、本作は良かったです。巻き込まれ型主人公の一人称スタイルなので、まあ読みやすさは確実なのですが、本格としての手がかりの散らし方も良くできていました。個人的には犯人に目星がついたので、その検証(犯人であり、オリバーの相手である)を考えながら読みましたが、否定の仕方(ごまかし方)が嘘的なことが多くてやや不満で残念でした。
今後もデヴァインは続けて読もうかと思いますが、なんか本作が最高とかいう評価をちらちら見ますので、気になりますねえ。

No.95 5点 時計の中の骸骨- カーター・ディクスン 2015/12/28 16:59
カーの作品は30年くらい前にほぼ全部一回は読んでいるのですが、本書は初読。あらためて書かれた順番で読んできましたが、本作は初期の頃のスタンダードなカーの雰囲気に戻った感じですね。で、内容は平凡なので、結果としてぼちぼちな感じです。
本作は、自分には意外な犯人でした。ネタバレで書きますが、子供が犯人であるというのは、あの有名作品の専売特許かと思っていたので、カーにもあったというのが驚きでした。あとがきで書いてあったのですが、この犯人は「曲がった蝶番」の変形で(どっかでクリスティーが先にやられたと言ったとか書いてたっけ)カーとしては自慢のトリックだろうと思います。
その落下トリックですが、冷静に考えるとむこうずねの裏を殴られて前に倒れるか後ろに倒れるかが1/2のような気もしますが、痛そうなので実験する気にはなりませんね。
本作は前半の内容であれば、犯人は死刑部屋に閉じ込められたアリバイの完璧な男で、ちゃんと血の付いた剣で時間トリックもはってあり、共犯らしき女性の行為も出てきます。この燻製にしんに比べると、過去の事件はトリッキーですが現在の事件があまりにも意味不明なので、全体にまとまりがなくなってます。



No.94 4点 落差- 松本清張 2015/12/23 14:30
本格ものを基準とした祭典ですので4点ですが、読み物としては6点ものです。本作では、推理要素とかは出てきませんし、傷害事件(多分起訴猶予?)が1件あるだけです。
本作の主人公の大学教授は、最低エロ爺(40代半ばだが、まあエロ爺と呼びたい)で、「わるいやつら」のボンボン医師が可愛く思えるぐらいの悪党です。いつ報いを受けて命乞いするような死に方するのかとページが進みます。
犯罪小説ではないのですが、最後に関係者一同が高知に集まってクライマックスを迎えるあたり、清張流で、結末がぼんやりというのも、いつものパターンですね。
作品の舞台は教科書検定なんですが、昭和35年頃の話です。つい先日、出版社が学校の先生の接待等でニュースになってましたが、50年以上進化なしですか。。。

No.93 3点 バートラム・ホテルにて- アガサ・クリスティー 2015/12/22 08:21
5、6年前に読んで再読。あまり面白くなかった印象があったが、再確認。その割に不思議と犯人とかそこに至る展開とかはよく覚えていたりします。(不満すぎて印象が強かったかな)
内容は「ビッグ4」なみの駄作ということでおわかりいただけるかと。ちなみに、「ビッグ4」は完走すらできなかったので、評価不能でしたので、本作は最後まで読めるだけ上かな。



No.92 6点 カリブ海の秘密- アガサ・クリスティー 2015/12/17 12:14
前半はクリスティーものあるいは翻訳物の特色として、やたらカタカナ名前が乱発し、しかも本作は登場人物紹介が関係者11名がひとくくりで「帯在客」となってたりします。比較的早く事件が起こるのが救いですが、なんかアウェー感みたいな読みにくさです。(マープルの心情?)それが、中盤からスピードアップして、ぐんぐん面白くなり300ページとは思えない充実感で終わります。この立体感を感じる構成がどこまで作者の意図なのか偶然なのか興味のあるとこです。平凡な内容にもかかわらず、比較的皆さんの評価が高いので、作者の実力なんでしょうね。


No.91 5点 人形はなぜ殺される- 高木彬光 2015/12/13 13:09
完璧なアリバイがあると思われる関係者が、一つ大きな仕事の後で大食いしてるところで犯人であると見当がつきました。犯人がわかれば、「人形はなぜ殺される」の意味にたどり着くわけですね。同機も第一の犯行をからめて推測できるのですが、登場人物が被害者一家の財産所有を否定したのは、ちょっと反則ですね。
自分の推理どおりの展開で、7点ものの楽しさだったのですが、探偵が間違えてしまうという、残念な話になって、マイナス2点です。間違った推理に費やされたページは、最後の殺人において、AプランからBプランに切り替わったあたりをもう少し描いたほうが面白くなりそうですね。
第一の殺人において、精神病院にいきつくまでは、読者も犯人は推定しえない。この状況において神津先生は、データが足りないと言って全くやる気がなく、精神病院訪問で、結果的には首なし死体の首(の部品)と遭遇している。この辺りの本格推理の構成が素晴らしいですね。

最後の結婚式のシーンで、ぶち壊せと命じられた松下君は何か因縁をつけていましたが、突然花嫁にプロポーズして逃げていく(「卒業」ですな)シーンを空想してしまいました。本作の映像化の時は、ご一考を。

No.90 7点 掏替えられた顔- E・S・ガードナー 2015/12/10 12:28
ペリーメイソン12作目。ここまで続けて読んできましたが、よく言われるようにどれも平均点な感じで、外れがないです。(当たりもないと言われるけど)その中でも本作はベストに近いのではないでしょうか。
事件が見事に最後に一つにまとまっています。本格志向なので、伏線もうまくひらっています。鮮やかすぎて、引っかかりがなく印象に残らないことが欠点といえるぐらいの出来です。法廷ものとしても目撃者の視力(今では平凡だが)とか、デラの謎の失踪とか、検察側をはめて弁護側に有利な証人を探させるとか、あくまで論理で読ませてくれます。
ポケミス版ですが、入手に苦労しただけのことはありました。
(次作もポケミスですがなかなか見つからないですね)

No.89 4点 厭魅の如き憑くもの - 三津田信三 2015/12/08 16:01
最後の推理の場面がダメすぎ。「一体いつまで私らは、こんな茶番に付き合わないけませんのやろうねぇ」(まったくです) 撒いたもん全部出したいのはわかるが、これではダメ。カー、クリスティーなども別解答は匂わすが、ここまで平坦に並べたら台無し。
叙述トリックも、私にはどうでもいい要素なので、評価低いです。デクスターとかと比べて、多視点の書き方下手だなと思ってましたが、トリックのためだったというのは残念。
読後感はなんとなく「すべてがFになる」(森博嗣)を思い出しました。

No.88 5点 終わりなき夜に生れつく- アガサ・クリスティー 2015/12/03 14:24
<クリスティー作品ネタばれまくり>

この作品を評するにどうしてもこう書きたい
アクロイド殺し(1926 )+ ナイルに死す(1937) ー ポワロ
本作の前後においては
1965 バートラムホテルにて(マープル)
1966 第三の女(ポワロ)
1967 終わりなき夜に生まれつく
1968 親指のうずき(トミタペ)
と、年一作の時期において、あえてのノンレギュラー探偵ものでした。探偵を出すとやっぱり一人称のトリックが再利用と批判されるからでしょうか。出版当時の評価に興味があります。
アクロイドよりは物語として面白いと思いますが、ナイルに死すの方が本作よりは面白いと思います。
テレビドラマではマープルものになってました。「犯人はお前だ」はやっぱり欲しいですね。


No.87 6点 青ひげの花嫁- カーター・ディクスン 2015/11/30 15:36
まず11年前の殺人鬼と不可能犯罪が語られて、現在においてさあ、殺人鬼は誰でしょう?という趣向は、良かったし、犯人を演じる役者(終始、燻製にしん)というのもはまっていたので、7点ものだったのですが、読書後、整理してみると、そもそもの発端である殺人鬼が自伝台本を役者に送るあたりの心情とか必然性が不明で、マイナス1点でした。
 H.Mは本作でもゲーセンでクレーンゲームにパンチバッグぶつけるなど大活躍ですが、肝心の推理では、最終盤に妙な活劇を物陰でじっと見つめているだけで、イマイチでした。
 本編ではないのですが、あとがきにて翻訳者さんが、歴史上の殺人者を小辞典並みに解説されてますので、参考までに名前だけでも上げておきます。
ランドリュー、スミス(浴室の花嫁)、ドゥーガル、ソーン、ディーミング、マニング夫妻、グロスマン。なお、切り裂きジャック、クリッペン この2名は有名すぎるので省略されてます

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