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平均点:7.08点 採点数:390件

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採点傾向好きな作家

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No.390 4点 Bハナブサへようこそ- 内山純 2018/12/14 17:22
 最終話を除いて登場する事件はビリヤードと特に関係なく、ごくオーソドックスな体裁の連作です。持ち込んだ独自の素材が話と溶け合わず分離したままなのが残念で、事件の鍵をビリヤード用語になぞらえるという範囲にしか活かされてないように思えます。よけいな設定をどけて普通のミステリ一本で勝負した方が面白いのでは?

No.389 9点 暗闇坂の人喰いの木- 島田荘司 2018/12/10 06:52
 まさに島田荘司ワールド全開といった感じ。細かいリアリティ云々といった批判が通用しない本格推理作家というのはこの人ぐらいじゃないでしょうか。後半の目くるめく展開などは最早ミステリの枠を飛び越えているような気さえします。説明しきれない箇所はすべて偶然で片付けている所など普通なら到底許容されないのですが、それをものともしない勢いが驚異的な傑作です。

No.388 7点 聖女の毒杯- 井上真偽 2018/12/09 14:42
 前作から更に複雑化した論理展開が面白いです。トリックの提示と破棄を長い一覧表にして説明するなど、凝りに凝った推理が楽しめます。残念なのは、毒殺の方法をこれだけ考えておきながら、最後あっけなく小ぢんまりと着地してしまった点です。前作の好き放題にトリックを連発した豪快さと比べ、明らかにスケールダウンしています。題材的に仕方ないとはいえ、もう少し派手さを期待していました。

No.387 8点 その可能性はすでに考えた- 井上真偽 2018/12/09 14:31
 犯行を「証明する」のでなく「否定する」探偵という特殊な着想が活きた快作。連発されるトリックとそれを打ち消すロジックだけでなく、終盤に探偵の推理が矛盾を来してしまう展開など、飽きさせない面白さがあります。ただ、こういう特殊すぎる作品が生まれてしまう事は、ストレートなパズラーを書く道が遂に袋小路にぶつかってしまっている証拠のような気がして、危機感も覚えます。

No.386 7点 OZの迷宮- 柄刀一 2018/12/09 14:20
 個々の短編というより全体の構想に感心した作品集。偶然が多かったり、根拠に乏しいったりなどの詰めの甘さも散見されますが、魅力的な謎を提示する作者の腕は確かです。よけいな遊びのない文体にも好感が持てます。好きなのはユニークな犯行の『逆密室の夕べ』です。

No.385 6点 ゴーレムの檻- 柄刀一 2018/12/09 14:10
 『アリア系銀河鉄道』と比べ、異世界の設定が面白さに直結してないのが目立ちます。表題作をはじめ、どれも辻褄は合うけれども突き抜けてないトリックなのが大きく不満です。他の誰もやってないアイデアで勝負している所は評価されるべきだと思いますが。

No.384 8点 猫丸先輩の推測- 倉知淳 2018/12/04 18:02
 表題通り猫丸先輩が行うのは確たる証拠はないので推理というより推測に近いもの。しかし、予想の斜め上を行くロジックの転がせ方はどれも面白く、それでいて妙に納得させてしまうあたり日常系ミステリとしてはかなりの水準にあります。特に『夜届く』は粗がないわけではないですが、視点の変換による解決が鮮やかで隠れた名編です。ほんわかした挿絵も良し。

No.383 5点 玩具店の英雄 座間味くんの推理- 石持浅海 2018/12/04 17:50
 前作『心臓と左手』より明らかに落ちるのは他の方の書評と概ね同じ意見です。個人の見解ですが、石持作品の文章は普通以上に上手いと思うのに何故か引き込まれるものがありません。連作の形式が「マンネリ」という悪い方向に作用してるのも、この文章の問題が大きいのではないでしょうか。

No.382 7点 皇帝と拳銃と- 倉知淳 2018/11/29 21:39
 まさか倉知淳氏による倒叙ものが読めるとは。いちばん好みなのは最初の『運命の銀輪』で、犯人にとって落とし穴になる証拠は完全に盲点でした。犯人の設定「相棒の実力で地位を得ているが、その相棒が独立をしたがり、自分の作家としての無能さの露見を恐れて殺害する。性格は傲慢で虚栄心が強い」を書き出すとまんまコロンボの『構想の死角』で、そこも含めて面白いです。逆に『恋人たちの汀』は細かい科学捜査で解明されるトリックなのが完成度は別として嗜好に合いませんでした。

No.381 6点 幻獣遁走曲 猫丸先輩のアルバイト探偵ノート- 倉知淳 2018/11/29 21:19
 他の猫丸先輩短編集と比べるともう一つなのは否めないものの、嫌みのない文体とユーモア、そして魅力的なキャラで十分読ませる本になっています。『たたかえ、よりきり仮面』をはじめ、ほのぼのしたオチが多めで好き。

No.380 8点 九人と死で十人だ- カーター・ディクスン 2018/11/27 21:12
 シャープに仕上がった小品という感じ。不可解な殺人事件が犯人の仕掛けた単純なトリックを軸に展開されており、そのトリックが暴かれることで全てが無理なく収束されます。肝心の○○の偽造が上手くいくかは意見が分かれるようですが、そこに目を瞑れば完成度はかなり高いです。

No.379 5点 白い僧院の殺人- カーター・ディクスン 2018/11/27 20:51
 人物の行動が理に適っていて良くできてはいるのですが、個人的には強引にでも驚かせるような作品を書くカーの方が好きです。また、注釈が付いている伏線があまりにも細かすぎて読者にはまず気付けません。厳しめの5点。

No.378 6点 数奇にして模型- 森博嗣 2018/11/27 20:27
 シリーズ9作目ともなると癖のあるキャラクターに慣れが出てきて、犀川創平の思考や発言にも抵抗なく付き合えるようになってきました。今回も(これまでの作品同様に)内容に対して分量が多すぎる気もしますが、裏の裏をかいたような真相や狂気的な犯人像は十分なインパクトをもたらします。冷静に考えればけっこうショッキングな事件なのに冷たい論理パズルのような要領で解決される様は森ミステリらしい所です。

No.377 7点 アリア系銀河鉄道- 柄刀一 2018/11/27 20:12
 ボーナス・トラックを除く4編について一言ずつ。
①『言語と密室のコンポジション』 本来ならオマケになるはずの言葉遊びを密室トリックそのものに持ち込んだのが秀逸。
②『ノアの隣』 スケールのでかい発想が光る佳作。
③『探偵の匣』 もっともオーソドックスな一編かと思わせてラストに一捻りあって面白い。
④『アリア系銀河鉄道』 宇宙を話に上手く絡めていて表題作にして連作の締めにふさわしい内容。

 他の方もおっしゃるとおり柄刀一は文章が読みづらい作家ですが、頑なに我が道を行く一途さには好感が持てるのでもっと評価されて欲しいです。

No.376 6点 探偵さえいなければ- 東川篤哉 2018/11/27 02:32
 『ゆるキャラはなぜ殺される』が快作です。ユーモア・ミステリならではの状況設定、鵜飼と剣崎マイカによる手を抜かない謎解き、意外なオチと東川短編屈指の出来ではないでしょうか。その他の話も気軽に肩をこらさず読める作者らしいものが揃っています。

No.375 9点 悪魔の手毬唄- 横溝正史 2018/11/27 02:22
 横溝正史の真骨頂が出た傑作。見立て殺人、消えた男の謎、犯人側のドラマなど読者を引きつけるポイントが多いです。そして、まさに映像化向きの名シーンが数多いのも特徴と言えると思います。登場人物が多すぎて整理が大変なきらいがあるのだけが欠点。

No.374 2点 ミステリー・アリーナ- 深水黎一郎 2018/11/27 02:08
 本ミス1位獲得など世間では好評を博した作品ですが、全くツボに嵌らず……。これまで小説の面白さなんて好み次第だし、どれにも何かしら良さがあると考え最低ラインを4点としていましたが、これはダメです。
 無味乾燥な作中作に捨てトリックの在庫一掃というのが第一の感想で、トリックの酷さも読み進めるごとにエスカレートしてただの意地悪クイズと化しています。ギャグがことごとく上滑りしているのも読んでて苦痛でした。

No.373 7点 インド倶楽部の謎- 有栖川有栖 2018/11/23 18:53
 「前世」をキーワードに毛色の違う展開を見せる異色作かと思いきや、それだけでなく相変わらず論理への執着も忘れない安定の火村シリーズです。今回は登場人物の意外な過去を掘り出すと同時に、動機と機会に焦点を当てた推理が冴えます。思えば犯人の最大の条件は最初から書かれていた訳で、さりげなく伏線も周到な力作となっています。

No.372 9点 遠きに目ありて- 天藤真 2018/11/23 18:43
 『大誘拐』に次ぐ、天藤真のもう一つの代表作。単純に完成度のみで見るならば第一話がナンバーワンですが、それ以上に最終話の幕引きの美しさが特筆ものでは?どんでん返し的な大オチではなく、こういう良い余韻を残す短編集が最近少ない気がします。

No.371 8点 キッド・ピストルズの冒涜- 山口雅也 2018/11/22 18:46
 パラレル英国で活躍するパンク族の探偵という異色設定でありながら、展開する推理は意外にも硬質です。中でも『カバは忘れない』『曲がった犯罪』では、ラストに放り込まれるキッドの鋭い台詞が強い印象を残します。馬鹿げた事件に若干のシリアスさを織り交ぜる手腕が味わえる名短編集と評価。

No.370 4点 Rのつく月には気をつけよう- 石持浅海 2018/11/22 18:34
 恋愛にまつわる謎に酒と美味しいおつまみを無理なく絡めた点は面白いものの、解決の納得度(そしてそれ以上に魅力度)が低いのは大きな難点です。石持短編の悪い癖である似たような読み味ばかりで飽きが来る所、最後のサプライズが多くの読者に空振りに終わってしまったであろう所も評価しがたく、ぎりぎり5点に届かない4点とします。

No.369 6点 墓場貸します- カーター・ディクスン 2018/11/20 18:47
 人間消失ものという作者好みなテーマの一作で、奇術系な犯行が巧妙で完成度は高いです。この手の作品のパターンを抜け出せてない(どうしても○○犯じゃないとこの謎は成立しないのはわかるけど)のだけが不満。

No.368 6点 ノッキンオン・ロックドドア- 青崎有吾 2018/11/19 21:35
 なんといっても表題になっている第一話に尽きます。一見バカミス的密室トリックのようでいて、その弱さを動機の妙で補強してバランスを保っているのが絶妙。このレベルの短編がもう一つ二つあれば凄かったのですが、二話目以降尻すぼみになっているのがなんとも惜しいです。シリーズを続けるとしたら、もうちょっとネタを煮詰めて欲しい所。

No.367 8点 煙の殺意- 泡坂妻夫 2018/11/19 21:19
 久々の投稿です。
 いろんな味が楽しめる贅沢な短編集。作者お得意の奇妙な動機や逆説が見事に嵌った『紳士の園』『煙の殺意』『開橋式次第』を推します。特に、表題作はアイデアとしては類例があるそうですが、その扱い方の大胆さで頭ひとつ抜けてる印象。

No.366 6点 象は忘れない- アガサ・クリスティー 2017/03/09 13:17
 同じ回想の殺人をめぐる『五匹の子豚』より話題にならない本作ですが、解決編の反転の見事さはそれに劣らない質を維持しています。夫婦の心中事件と若い男女のロマンスを、雑多な感じは全くなくまとめ上げているプロットが実に巧みです。現在進行中の事件がない、しかも過去の事件は一応解決済み、という派手さのない題材を好んで使用するあたりがアガサ・クリスティーならではと言えるでしょう。また、ポアロの結びの一言が爽快で、そこも作者らしさが滲み出ています。

No.365 7点 死者のあやまち- アガサ・クリスティー 2017/03/09 12:56
 ミステリーでよく使われるふたつのトリックの合わせ技や、周到な伏線の配置とその回収によって読み手の意表を突く、アガサ・クリスティーの面目躍如の秀作です。かなり後期に書かれた作品で、新鮮味はあまりありません。しかし「彼女らしさ」は衰えを知らず、ミステリーの女王の風格を示しています。
(以下、ネタバレあり)

 この小説に対する唯一にして最大の不満は犯行動機です。クリスティーではよく出てきますが、「口封じの殺人」は怨恨、報復、狂気といった動機に比べ話が盛り上がりにくく、事件の性質上仕方ないとはいえ物足りなく感じます。

No.364 6点 ダブル・ダブル- エラリイ・クイーン 2017/03/08 19:33
 童謡殺人テーマを大きく捻ったことでユニークな事件の構図を作り上げているのですが、いかんせんストーリーに盛り上がりがなく、引き込まれ夢中になるだけの魅力が欠けています。個人的にハマれなかった『盤面の敵』ほどではないにしても、やや趣向・仕掛けが不発気味に終ってしまっているように感じます。ピークを過ぎたクイーンの変化を付けようという試行錯誤や意欲は買われるべきだと思いますが。

No.363 6点 九尾の猫- エラリイ・クイーン 2017/03/08 19:24
 これほど人により評価の分かれる有名作も数少ないのではないでしょうか。登場人物表だけで犯人が割れてしまうなどと言われることもあり、これを名作と考えるか凡作と考えるかは読者の好みや懐次第と言えます。そして、個人的には凡作とまでは行かなくても不満が残る作品と捉えています。口に入れたものがあまりに予想外な味だったら美味しくても不味いと感じてしまうように、クイーンに求めるのはこれではなかったんですよね。そもそも高度な理解力を要する作品を楽しむにはある程度の素養が必要で、僕にはそれがまだ欠けていたのもあるかもしれません。いつか再読した頃には面白いと思えるようになりたいものです。

No.362 8点 招かれざる客たちのビュッフェ- クリスチアナ・ブランド 2017/03/08 19:04
 本格推理の名手ブランドは、短編を書かせてもハイレベル且つ多彩なアイディアの持ち主であることが存分に味わえる作品集です。白眉は『婚姻飛翔』。仮に今の作家が書いたとしても通用するほど、練られたトリックが光る毒殺ものの名作です。有名な『ジェミニー・クリケット事件』の高密度さもマニアには堪らないものがあります(しかも最後の一撃が強烈)。若干気取ったような文体でスラスラとは読みづらいきらいのあるブランドですが、ひとつひとつがサクッと読めてその醍醐味が味わえるこういった作品集こそ初めての人に読んでほしいです。

No.361 7点 太陽黒点- 山田風太郎 2017/03/08 18:48
 下手なことを書くと大きくネタバレしそうなのであまり多くは語りません。ただ、「そう来たか!」と唸ること請け合いのテクニカルな作品であることだけは自信を持って言えます。しかし、本格マニア受けしそうな『明治断頭台』よりあまり大作感がないこれがランキング上位に来たのは意外でした。

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